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アーティストトーク'My work, my process and inspiration(私の作品、プロセス、インスピレーション)'by Lin Cheung

現在シェフィールドのキュポラギャラリーで個展を開いているLin CheungのアーティストトークイベントがYoutubeに上がっており、面白かったのでご紹介します。https://www.youtube.com/watch?v=PZg53w2JU8I トークの内容は、アートに携わるかただけでなく、新たな表現方法を模索しているかた、そして自己理解の手段としてのアートに興味があるかたにもお薦めです。Lin Cheungはイギリスのダービーシャーを拠点にして活躍している抽象画のアーティストです。

‘Connections and Associations’ by Lin Cheung at Cupola Gallery

トークの前半では、Linのアーティストになるまでの軌跡を説明しています。幼い頃に自分が作らなかった作品を自分のものとして紹介した違和感、学生の時に制作したceramics(陶磁器)の作品が高い評価を得たという感動、自分の意見が受け入れられなかった時のフラストレーション、美しいマーケティングの資料制作した時の感動、アートで表現しようと決意した瞬間など、アーティストとなるまでのキーとなる瞬間を語っています。フルタイムでアーティストとなる前は、サイコセラピストであったという経歴が、自分の軌跡をしっかり見つめなおしていることにも表れていると感じます。

現在はフルタイムのアーティストとしての地位を確立しているLinですが、自分の表現方法を見つけるまでは、様々な画材を試して、レッスンを受けたりしたそうです。その後あるアートレッスンとの出会いで、自分にピッタリとあう方法と方向性が定まっていったそうです。Linの作品の最大のテーマはself expression (自己表現)であり、描く際の道具、絵具、紙、プロセス、自分の反応を観察し、次のアクションとる、という形で進行していきます。サイコセラピーで行っていたことを絵という手段で自分に対して行うようなイメージのようです。

Linはアーティストとして作品を生み出し続ける方法についても話しています。自分が作品を作るのに適した曜日と時間帯を確保することが大切で、彼女にとっては日曜の午前中だそうです。その際まず自分の作品を見て、何かを感じて、アクションをとるのが彼女の方法だそうです。何をしようかなと白いキャンバスの前で立ちすくむのではなく、自分が反応できるように何かを用意しておく、というのはとても有効な方法だと思います。

Q&A のセッションに入り、あるアーティストの方が、「大抵のアーティストはLinのようにポジティブな感情でなく、製作中にネガティブな感情と対峙する時間が多い。」と話されていること。また、別の人からの作品テーマに関する質問に対し、Linは自分の生い立ちから、常に自分の作品には二つの対立するような事象が入ってくることが多いと話していることなどもとても興味深かったです。

途中ギャラリーの目の前を走る路面電車の音などが聞こえますが、それも現地の風情として楽しんでもらえたらよいのですが。
Linのウェブサイトはこちらです。

展覧会とトークの会場であるキュポラギャラリーのリンクはこちらです。

昨日ギャラリーに行って、Linの作品を見てきました。Cupola Galleryでの展示会は今日が最終日でした。実際に作品の前に立って、作品の色や筆のストロークが語り掛けてくることを感じたり、そして絵具の厚みや削られているところがあったりすることをじっくり見ることができました。写真やビデオを見て知った気になっていることが最近多いような気がして、ちゃんとこの目で見に行かなければいけないと思ったのでした。最後にLinが作った30日スケッチブックチャレンジの本を買って帰ってきました。毎日のチャレンジの内容が設定されているだけでなく、制作したものを振り返る際の設問もしっかり書かれていて、自分をきちんと振り返ることができるようになっているところがLinの本ならではだと思います。


’Creative Connection’ book by Lin Cheung #sketchbookcreativity

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