マガジンのカバー画像

140字小説集

18
140字小説を新旧問わず置いておきます
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

流行りの香水 140字小説

流行りの香水 140字小説

押収した楽園というドラッグ。見た目は香水。

ラブホにて遺体で見つかった女子高生の親。
「娘はそんなの使わない!」
いつまでも純粋であるわけがない、そんな迷信めいたこと信じるのか。

現場検証後、家に帰ると妻が他の男と抱き合ってた。足元には見たことのある香水ボトル。

神様なんてどこにもいない。

悪いこと、それはわかっている 最終章 140字小説

悪いこと、それはわかっている 最終章 140字小説

‪奥さんと別れないって知っていた。
でも私もいけない。

周りはあなたは悪くないというけれど、奥さんにお前のせいでと罵られ。
あなたは君は悪くない僕がいけなかった、やめろと。

だけどあなたたちの前で窓から身を投じた。

この世にはわたしを救ってくれるものは誰もいない。

全ては私のせい、わかってる

悪いこと、それはわかってる④140字小説

悪いこと、それはわかってる④140字小説

喫茶店、彼と対面しコーヒーを飲む。まるで無声音の映画のように周りの声どころかカップの音は聞こえない。
「大丈夫か」
彼が強めに言った声にハッとした。そうだ、私は彼に別れ話を持ちかけられてショックのあまり世界の終わりかのように何もかも聞こえなくなってしまったのだ。

今度こそ、さようなら。

悪いこと、それはわかっている③ 140字小説

悪いこと、それはわかっている③ 140字小説

「会えるの楽しみね」
とメール。メールの送り主は部下の由美から。僕の本心はもう別れたい。

しつこい、僕が既婚者だというのに。ほんの火遊びのつもりだった。

「ああ、僕も君と会えること心待ちしている」

妻が屈託のない笑顔で返信する。

由美、待ち合わせ場所に来るな、妻にお前とのことはバレている。

悪いこと、それはわかっている② 140字小説

悪いこと、それはわかっている② 140字小説

あの人が転勤で海外に行く日、空港で。同僚たちが涙を浮かべ見送る。

相変わらずクールに去っていくのね。

あれ、あなたが飛行機乗るときに胸元に入れている遺書。何故か私の鞄の中に。

渡すとホッとした顔を見せた。

すると後ろから親子三人が来てパパーと叫ぶ。彼は手を振った。

さようなら、お元気で‬。

悪いこと、それはわかってる① 140字小説

悪いこと、それはわかってる① 140字小説

清廉とした身のこなし、社内で一番人気者の彼が海外転勤わする。
海外出張も多かった彼だからもう慣れっこだろう。私は花束を渡した。

「頑張ってください」
「ありがとう」

クールに微笑む彼の秘密を私だけが知っている。
飛行機が苦手な彼は飛行機に乗るたびに遺書を書き胸ポケットに入れていることを。‬

ママの推しは戦隊ピンク

ママの推しは戦隊ピンク

僕のママはミーハーだ。
「また色が変わったね」
ピンク色の物が増えた。
こないだまで緑だったのに。
「戦隊にはまったって。ピンクの」
「へぇー、ピンク嫌いって言ってたのに」
どちらかといえばピンクの戦隊よりもそれを演じる男の俳優が好きらしい。
僕を見て。
これみようがしに僕もピンクを身につけた。

選挙

選挙

何十年前に、とあるアイドルが大人数で踊って歌って「選挙行って外食するんだ」と。

外食も好きなように楽しんでできる生活を送れるようになれるのか、この一票は。

とか思いながらも先に外食を済ませて買い物をしてある程度経済回してから選挙に行った。

人それぞれ。

みんな今後も幸せでありますように。

錠剤 140字小説

錠剤 140字小説

鬱で人に悪意を向けそうになったら赤の錠剤を、鬱で自分を傷つけそうになったら白の錠剤をと薦められた。

それを見て早速近くの薬局に買いに行ったのだが白の錠剤がごっそり売り切れていた。赤よりもやや二倍以上の値段なのに。でも私はホッとした。

街は平和である。

私は微笑んで赤の錠剤を手に入れた。

アームカバー

アームカバー

六月というのに肌に照りつく日差し。

そろそろあいつの出番か、アームカバー。

こないだネットで見たなんらかの鉱石が練り込まれていて日除け以外にも腕、二の腕が引き締まるというものがあった。

値段は……そんなの百均でいい。

どこかしらに失くすただの布にそんなお金をかけてられないが何枚無くした?

本物の罪滅ぼし 140字小説

本物の罪滅ぼし 140字小説

夫が日曜日はゴルフ次の会社の仲間たちと週末は飲み会。

その罪滅ぼしと家族を回転寿司に連れて行くって。

それらを罪と思うなら行かなきゃいいのに。
私にとって罪滅ぼしは離婚届に記入して捺印押して荷物持って出ていってくれることが1番。それがわからないのなら「罪滅ぼし」だなんて言わないで欲しい

雨 140字小説(BL)

雨 140字小説(BL)

「これが最後だから」
何度目なの、この言葉?
不倫相手と外は雨が降る車の中で激しく愛し合う。
パートナーにLINEで電車が無く知り合いに送ってもらうと連絡。
結局帰ったのは明朝。
帰宅してパートナーの寝顔を見た。
彼の頬に涙の跡がある。
僕は最低だ。
外はまだ雨が降っている。

雨音は彼の心の中か?

ビールのある風景 100字小説

ビールのある風景 100字小説

仕事帰りに行きつけのバーでビールを飲む。

「そろそろ奥さんのところに戻らないと」
「そうだね。まぁまたビール飲むけどな」
「本当好きね」
「好きだよ、ビールは」

バーテンは首を横に振って笑う。

「奥さんのことよ」

みたされない 140字小説

みたされない 140字小説

ごゆっくりどうぞ、1人で食べる量ではない。

わかってるのに。とにかくいつもとは違うところで食べたかった。

許して胃袋。

この後絶対胃もたれ。

今も少し胃が受け付けていない。でも気持ちはハッピー。なんでハッピーかわからない。
この後絶対散財するだろうな。

なんで買い物したいかわからないけどさ。