「SCIENCE FICTION」発売後の宇多田さんを追う⑧−2
こんにちは。自己満足な毎日をすごしたいです。
「SCIENCE FICTION」発売後の宇多田さんを追う⑧−2です。
⑧シリーズでは、4月21日(日)に放送されたEIGHT JAM、デビュー25周年 宇多田ヒカル特集!!を紹介しています。
前回は、インタビューの導入とスタジオの場面だけで終わってしまったので、今回からようやくインタビュー内容に入っていきます。
以下、宇多田さんの発言を⭐️、インタビュースタッフさんの発言を■個人的な考えは🔹で記載しています。
Q.今、ベストアルバムをリリースした理由は?
経緯だったり、想いについてのお尋ねです。
⭐️25周年というのが大きいですね。今まであんまりベスト盤の意味がよく分からなかったんですけど。自分の25周年だよー、自分を祝ってじゃなくて、そこまで運んでくれたというか、一緒に歩んでくれた人たちとか、応援してくれたみんなと何か一緒に祝うことなんだなと思ったら、すごくいいことだし、今やらなかったら、次50周年くらいまでやろうと思わないだろうから、ここで一回やって、思いっきりやろう!!って思いました。
キレイですよね25って。4分の1だし、5の2乗だったりとか、なんかいい数字。点(・)で並べたら四角にもなる。
🔹ベスト盤を出すこと、みんなでお祝いすること、25という数字については、これまでも語っていらっしゃいましたね。でも、今やらなかったら50周年くらいまでやろうとは思わなかったという発言には、「いやーやめてー😱」と心のなかで叫びました(笑)
Q.アルバムタイトルの「 SCIENCE FICTION」とは?
■そのベストアルバムがタイトル「 SCIENCE FICTION」(SF・科学的空想)ですけど、これはどんな想いでつけられたのかなと思いまして。
⭐️ずっと、それこそ15歳で日本でデビューした時から、それこそ「First Love」が世に出た後も友達とか、前の学校の子達とかが、「ヒカルあの曲が、誰の事なのか皆でウワサしてる、あいつのことなの?」とか、「誰の事なの?」とか聞かれて、いや、そういう、そこまでただなんかあったことをただそのまま記事、新聞記事みたいにとか日記みたいに書いてるわけじゃないし、曲によるけどあれは別に誰のことでもないし、もうちょっと大きい別れとか喪失のことを書いていたのと、若かったから、ホント、それこそそんな大きい直接的な、みんなが曲から想像するような体験はなかったんだろうけど、それに近い感情を、なんかで感じてたのが曲になって。それを説明するのも難しくて、ノンフィクションのルポルタージュみたいなものでもないし、かといってただの作り話でもないし、フィクションでもノンフィクションでもないのをどう言ったらいいんだろうってずっとモヤモヤしていて、それで、今回のベスト盤のタイトルを考えていたときに、サイエンスフィクション(SF)って、私、1番好きなジャンルで。小説でも映画でもずっと大好きだったし、科学と文学も1番好きな分野の2つだし、なんかしっくりくるなと思って。今ある現実とちょっとだけ先に見える未来を行き来する感じがあるじゃないですか、サイエンスフィクションって。今のここだけじゃない、時代的に先なのか過去なのか、ここじゃないどこかで起きているどこかに連れて行かれる、私も行っている感じを音楽を通して感じてもらえてたらいいなっていつも思っていたので。なんかかっこいいですよね、SCIENCE FICTION。すごい良いタイトルを思いついちゃった!って。
🔹SCIENCE FICTIONというタイトルについても話をされていますね。でも、「今のここだけじゃない、時代的に先なのか過去なのか、ここじゃないどこかで起きているどこかに連れて行かれる、私も行っている感じを音楽を通して感じてもらえてたらいいなっていつも思っていた」という話は初めてかも? ドラえもんの「タイムマシン」と「どこでもドア」、どちらも音楽を通して使えるという感覚なのでしょうか🤔
Q.traveling(Re-Recording)、なぜ☆Takuにオファーを?
ナレーション
では、☆Taku Takahashiと共同プロデュースで再レコーディングされた「traveling」、一体どんなやりとりがあったのか?
⭐️他の曲に関しては、最近一緒に共同プロデュースをする、コラボレーションする人たちは、イギリスの人だったんですけど、「traveling」に関しては、曲のコンテクスト(背景)として、どんな感じで曲が出たかとか、平家物語の引用とかもありますし、日本人の、そういうのが全部、歌詞の感じとか全部分かってくれて、思い入れも持ってくれている人だったら、絶対、素敵なことが出来る!!かなと思って、☆Taku Takahashiさんにお願いしました。
🔹そういうことだったんですね。「gold〜また逢う日まで」でもご一緒していたり、イベントなどでもお顔を拝見していたりしたので、タイミングが合ったから、とかいう話だと思っていました。
ナレーション
実は「traveling」の歌詞にはサビの直前で、平家物語の冒頭の引用がある。メロディーラインから和を感じた宇多田が古語を使うなど、日本人にしか分からない魅力がある曲なのだ。
Q.アレンジにはどんな要望を?
■やりとりをされる中で、☆Takuさんにお願いした事は?
⭐️電話で話して、私がこの曲はこうって、オリジナルでアレンジをやってるので、そこからどう変えたいっていうのがあまりなくて、はっきりしたイメージがそんなに伝えられなかったです。ただ、お祝いじゃないけど、ただただ明るいのでもダメで、曲の根底にあるダークな部分とか、不安を掻き分けるように突き進んでいく感じとか、そういうちょっとクールなドライブ感はキープしたいけど、それを”ええじゃないか”ではないけど、日本のなんかある踊らにゃ損損みたいな。不安とか、怖いことを明るく吹き飛ばそうとする健気さみたいなものはキープしたいっていうちょっと話をして、「じゃあ、BPM(テンポ)を上げるのはどう?」「それはちょっと思ってたんですよね」みたいな。ちょっとあげていいと思います。
ここで2001年のオリジナル版と、今回のRe-Recordingバージョンを聞かせてくれました。
こうやって聴き比べるとわかりやすいです。
⭐️具体的な話はそれくらいしかしなくて。あとはひたすら、こんなのどう?っていう素材をばーんっていっぱい送ってくれて。で、それを私がDAWっていう音楽ソフトで1個ずつ並べてみて、これを使おう、これは使わない、これはここでこう使おうとかこう、久しぶりにそういうなんかアレンジ作業、他人からばーんっていっぱいもらった素材でやるっていうのは。初めてかなそれ。いつも、自分で作ったものでやってるので、初めてかもしれないです。それが楽しかった。面白かった。
■因みに、☆Takuさんに事前にお伺いして、宇多田さんとのやりとりがとても☆Takuさん的にも楽しくできたっていうことだったんですけど、宇多田さんに対して、因みに「凄く相手の事を配慮してくれる方で、『ここをもう少しこうしたい…』っていう時に、『ここまで頑張ってくれてるのわかるけど、スゴく良いんだけど…ワタシ的にはこうしたいんだよね』みたいな言い方をしてくれる」とおっしゃってました。
⭐️もっと、ばーんって言ってくれて、「気遣ってくれてるよね?」って言われて、あ、そういうことを言われるとでも余計、気を遣わないように気を遣っちゃうみたいな。
■なんか、それがとてもよかったっていう
⭐️恥ずかしい
■すみません、なんか垂れ込んだみたいになっちゃった
🔹「お祝いじゃないけど、ただただ明るいのでもダメで、曲の根底にあるダークな部分とか、不安を掻き分けるように突き進んでいく感じとか、そういうちょっとクールなドライブ感はキープしたいけど、それを”ええじゃないか”ではないけど、日本のなんかある踊らにゃ損損みたいな。不安とか、怖いことを明るく吹き飛ばそうとする健気さみたいなものはキープしたい」というコメントで、ああそれで「traveling」の原曲ってサビの明るさでグイグイ行く感じだけじゃなくて、「風にまたぎ月へ昇り 僕の席は君の隣 ふいに我に返りクラリ 春の夜の夢のごとし」や「波とはしゃぎ雲を誘い ついに僕は君に出会い 若さ故にすぐにチラリ 風の前の塵に同じ」、「どうしてだろうか すこしだけ不安が残ります」、「止まるのが怖いちょっと」っていう歌詞やちょっとイケイケとの差を感じる部分が残るのかな?と思いました。
あとは、宇多田さんが☆Takuさんに気を遣って、それを☆Takuさんも感じてというやりとりには、宇多田さんらしいなと思いました😍
ここでスタジオへ
村上信五さん
ああいった日本人的な要素をきちんと大事にキャッチしてくれる方っていう
と、☆Taku Takahashiさんへ投げかけます。
☆Taku Takahashiさん
そこまでは聞いてなかったんですけど。それこそ、1回リミックスやった後、また曲作れるっていう嬉しさが先走っちゃってて。
ナレーション
実は、楽曲のテーマに関するあるやりとりがあったそうで
🔹ん?これはまだなにか出てくる?
☆Taku Takahashiさん
今回「traveling」を作るときにどんな感じにしようか?って話してて、お祝い、英語で「celebratory」って言ってたんですけど、「お祝いムード」ってキーワードが出た時に、僕はちょっとわーいみたいな感じにとっちゃって、しかもなんかもう乗り気満々で2つくらいデモを作って、2つお祝いムードの曲を送ったら…
高橋茂雄さん
お祝いムードって言われてるわけですもんね
村上信五さん
そうですよね、最初の材料としてはね。で、返事はどうやったんですか?
☆Taku Takahashiさん
僕が勘違いしてて、「traveling」の久しぶりに作るお祝いムードっていう。「traveling」を介してちゃんと紹介しなきゃいけない。そりゃそうだよな、あの「traveling」がなんか有頂天にハッピーになってちゃダメ。やっちまったーって
「宇多田の要望:10代ならではの衝動や繊細な感情などクールなドライブ感はキープ」
村上信五さん
お祝いの捉え方間違っちゃったー
と、☆Taku Takahashiさんに乗っかって。
☆Taku Takahashiさん
俺の能天気なやつ。「それはそれでカッコいいんだけど」って言ってくれて。
🔹と、やっちまったのに宇多田さんが優しく一旦受け入れてくれて余計に恥ずかしいって感覚でしょうか?
村上信五さん
クリエイターのやりとりとしてはtofubeatsさん、いかがでした?
と他のゲストへ振ってみます。
tofubeatsさん
最初に出して全然違うんだよね、みたいなのって結構あるあるで。それが相手が宇多田さんっと思うと…
村上信五さん
ちょっと萎縮しちゃう感もあるけれども
tofubeatsさん
ちょっと心がキュッとなりましたね、話聞いてるだけで
村上信五さん
もし僕だったらと思うと…
🔹へ〜「最初に出して全然違うんだよね、みたいなのって結構あるある」なんですね。創作者として、音で表現をするのだけれど、それを言葉で伝えて、汲み取って再構築するということの難しさを感じさせられました。
と、今回はEIGHT JAMでの宇多田さんのインタビューの始まりを紹介してきました。えらく長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました🙇
次回も引き続きお送りします。
SCIENCE FICTION発売後の宇多田さんを追うシリーズのこれまではこちらから👇