マガジンのカバー画像

芸術一般

109
芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

<閑話休題>私と林達夫

<閑話休題>私と林達夫



 林達夫の『精神史』は,1969年に発表されているが,僕が読んだのは20歳の頃だったので,1979年になる。発表してから10年が経っていたが,当時は今よりも世の中が変わる速度が遅かったから,少しも古びた感じはなく,むしろ絵画の下絵をX線で読み取るという話題は,非常に新鮮なものがあった。

 『精神史』については,たまたま読んでいた大学の友人は,その冒頭に書かれているバロックやらレトリックという

もっとみる
<書評>「クラシック千夜一曲-音楽という真実」

<書評>「クラシック千夜一曲-音楽という真実」



「クラシック千夜一曲-音楽という真実」 宮城谷昌光著 1999年 集英社新書

 中国古典を題材にした小説で著名な作者による,偏執的な音楽評論。10夜(曲)として選んだ曲目も,また推奨するCDも,さらに指揮者や演奏家に対する評価も,かなり個性的かつ一方的に思える。

 結局,これだけの感想しかなかった。別にこの本が良くないということではなくて,私が読んで,どこまで刺激を受けたかという観点では,

もっとみる
<芸術一般:バレエと音楽>チャイコフスキーの三大バレエを比較してみた

<芸術一般:バレエと音楽>チャイコフスキーの三大バレエを比較してみた

フランス系の衛星放送で,クラシック音楽,バレエ,オペラ,ジャズを放映しているMEZZOというのがあり,家にいるときはいつも,見て・聞いている。特にクラシック音楽だけのときは,音楽を聴きながら好きな本を読むのが,私にとっては,とても精神的に落ち着ける至福の時間となっている。

このMEZZOが,2021年12月を「ダンス月間」として,チャイコフスキーの三大バレエを繰り返し上演してくれた。「くるみ割り

もっとみる