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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第104話:意地と退屈。

 人は退屈だと意地になる。
 暇だと意固地になる。

 彼が目を覚ますと、すでに太陽はさんさんと輝いていた。
 ここ最近の陽気のせいか、または自粛のせいか、彼は自分の心が緩んでいることに気がついていたが、だからと言って張り直そうともせず、その緩んだ心で二度寝、三度寝、そして朝も遅くなってからようやく起きたのだ。

 窓を開けるとすでに風はあたたかく、彼はこのままどこか遠くへ行ってしまいたい気分に駆られた。

 のんびりと身支度をして、メガドンキへ。
 今日は肉の日。
 お肉が安くなる日だ。
 しかし、お店についてから知ったのだが、なんとコロナウイルスの影響で肉の日のイベントは中止になっていた。
 確かに肉の日はいつも混雑していた。
 それでも、彼を含めて楽しみにしていたお客さんはたくさんいたはずだ。その肉の日は本当にお肉が安く買えるのだから。
 コロナは怖い。でも肉も食べたい。

 みんな退屈なんだ。

 彼は一応お肉売り場へ。すると陳列棚はスカスカだった。おそらく、肉の日を目安にきた客が、安くはなっていないけどせっかく来たのだからと買っていったのだろう。
 それは彼も同じだった。
 例に習っていつもより高かったが、無事にお肉を購入。
 そにままプロテインを買いに二階へ。
 そのとき、彼はあるものを思い出した。

 以前から欲しかったあるもの。

 彼は店内をくまなく探したが、それは一向に見つからなかった。
 それはどこにでもありそうで、しかし専門店などないもので、どこに売っているのか分かりにくいものだった。
 例えばこんにゃくが売り場のどこに置いてあるのか分かりにくいように。
(例えが微妙過ぎるよね。ごめんね!)

 そのあるものは、今すぐなくても別に困らなかった。
 しかし彼はどうしても今すぐ欲しくなり、それは意地になった。
 そして彼は自転車でそれが売っていそうなお店を片っぱなしから探した。
 耳につけたイヤホンからは、懐かしのモーニング娘。が流れている。
 春とはいえ太陽が暑かった。
 汗ばんでくる背中。
 流れてくるラブマシーン。
 しかし、行けども行けども、どのお店も閉まっていた。
 それでも彼は諦めなかった。

 彼は退屈だった。

 退屈と暇は違う。
 彼はやることはたくさんあったのだが、なにか刺激が欲しかったのだ。
 
 人は退屈だと意地になる。
 暇だと意固地になる。

 結局からは違う店舗のドン・キホーテまで行った。しかしそこにもその商は売っていなかった。
 彼は諦めて通販で買うことにした。
 家に帰る。
 結局買いものに出てから、二時間近く経っていた。

 だから彼は今日やりたかったことの大半を諦めるしかないと思った。
 そのとき、彼はひらめいた。

「今夜も徹夜しよう」

 不思議なもので、そう思った瞬間に時間の余裕ができたのか、彼の心が一瞬で引き締まったのが分かった。
 作業もいつもより順調に進んでいる気がする。
 余裕を持つこと。

 退屈とは狭い折の中に閉じこめられているから起こるものなのかもしれない。

 その折を自分で開けられるか他人に開けてもらうまで待つのかで、意地か意固地化で変わってくる気がする。

 意地と退屈。
 彼はいま、退屈を満喫している。

 今日は本当にいい日だったね。
 デートしたかったなぁ。
 もしデートしていたらどこに行っていたかな?

 万博とか行きたいなぁ。

 来年の春、いったいどんな春が待っているのか、今からすでに楽しみなんだ。

 愛してるよ。

 一緒に年を取ろう。

 今日は都市伝説をビデオに撮ってくれてありがとう。

 今度一緒に見ようね。

 おやすみさなさい。
(よかったら一緒に徹夜しよ!)

 初めての人生、ものすごく無駄なことに意地になるときが多々ある。

 今日のぼくの行動なんて、本当に無駄な意地すぎて、

 もう意地の無駄遣いだったけど、

 それが振り返ってみると案外笑える。

 意地。

 どこに意地になるのか、

 結構大切なのかもしれない。

 または、周りからはくだらないことでも、

 意地を貫きとおせば、

 それは意地ではなく、

 人生の意義になってくる。

 意味なんて後付けで充分だ

 楽しいことを意地になってやろう。

 退屈だって、退屈に飽きるほど味わおう。

 良いも悪いもない。

 あるのはただ現象だ。

 その現象に色を付けていくのが人生だ。

 今日もありがとう。

 あなたは明日、

 どんなきれいな色を塗りますか?

 ゆっくり休んでね。

 また明日ね。

 今年も、残り247日あるよ。

 明日も一日あなたは信じられないぐらい、ありえない幸せをたくさん受け取る自分を受け入れ、認め、許し、愛します。

 おめでとう。

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