はんぺんになれなかった、コロッケの話
「はんぺんつくる」
私の瀕死iphone6Sのメモ帳に書いてある、このひとこと。
パリの夜間外出禁止令が出される1週間ほど前に、パリ深酒系友Aちゃんとビールを飲みながらおでんの話をしていたとき。「こっちで練り物って冷凍でしか売ってないし、基本まずいよねー」というくだりでメモったものだ。
こんな感じで、練り物は入手できるが全部冷凍
なんでも自作できるんじゃないか?と、
エイのヒレを干したあたりから若干の自信を持ち始めてきた私。
はんぺんもきっと自作できる。
そう信じて実現する日が、ついに訪れた。
フープロ、ついに到来
先週、パリ左岸のデパートに秋のセール品を買いにいったと頭出しした。年に数回あるこのセール期間は、かなりのキッチン用品がお得価格になる。皿・料理道具好きとしては見逃せない期間。
一度終了前に偵察にいったときに、キッチンエイドのフードプロセッサーが3割引きになっていることを発見した。これは喉から手が出るほど、ほしい・・・。キッチンエイドはうちの優秀Robot君と同じメーカーなので、性能は信頼している。
今までの投稿で何度も語っているが、ひき肉が必要なとき、フープロという文明の利器がないがゆえに両手に包丁の2刀流、ドラマー気取りで豚かたまり肉だの鶏肉だのをミンチしまくっていた私。
指の皮を剥くのはしょっちゅうで、手首が腱鞘炎になったりしたこともある。
こんな状況なので、いかにフープロによって私のQOLが向上するか(ぽなちゃん、使い方あってる?)、健康上のリスクが減るかなど、フープロの必要性を切々とOtto氏に語った。結果、協力をとりつけることに成功し、購入するに至ったのだ。
そしてこちらが、新参者のフープロ。あーまじでうれしい。
新しい料理器具や食器をおろす瞬間は、かつて、新しく買った化粧品のパッケージを開封するときに得ていたえもいわれぬ高揚感に似ている。
これを使って、週末はふわっふわのはんぺんを作るんだもんねー。
週末を楽しみに、はんぺんの材料をそろえることにした。
はんぺんの材料を探す旅
はんぺん自体を自作するレシピ、今回はこちらを参考にすることにした。
題して「男の趣肴HP」。
相変わらずつくるものが渋い。
特別用意するものは、タラの切り身と大和芋。
タラの切り身は生よりもむしろ冷凍モノのほうがいいとある。ラッキー。
これならスーパーでもピカールでも安く見つかる。
もうひとつの大和芋が問題だ。
他のサイトもいろいろ見てみたが、山芋と書いてあるサイトもある。
そもそも大和芋と山芋と長芋の違いがあまりよくわかっていなかったのだが、よくいくアジアン食材店にはいつも「igname」というフランス産もしくはブラジル産のごつい外見の芋が売られている。
この「igname」、ロベール仏和辞典では、
熱帯地方に多いヤマノイモ科のつる性多年草。ヤムイモ、日本産のヤマノイモ、ナガイモ、ダイジョなど
と定義されているが、要は山芋も長芋も全部ignameと言うらしいということは理解できた。
日曜日。いつものアジアン食材店は週末になっても品切れ状態だったので、日曜も営業しているいつもはあまり訪れない韓国系のエピスリーに足を伸ばしてみた。
すると、冷蔵コーナーに、それっぽいものが。
お店の方にたずねると、「これはignameだよ」と。しっかり真空パックされているもの、初めてみた。見た目なんとなく長芋っぽいけど、これでトライしてみるか・・・。ということで、小さい方を購入してみた。
はんぺん作りにとりかかる
日曜の夕暮れ時、はんぺん作りを開始した。
この時点では、すでに白くてふわふわなはんぺんが綺麗に出来上がることしか頭にないので、
「前日開封したロシアンたらこ缶でたらこマヨを作ってはさんで焼いたらさぞおいしかろうヒヒヒ・・・」
なんてことしか考えていなかった。
用意した材料は、こちら。
タラの冷凍、パッケージをあけたらこんな大理石のような状態で、あらびっくり。
四角い型は、麻婆マロニー豆腐で使った常温豆腐パックを洗って干しておいたので、解体して、あらかじめ自作しておいた。
よし、生地の製作にとりかかろう。まずはこの大理石風な冷凍タラをブロック状に刻んで、フープロにかけやすくした。
セットして、スイッチを入れる前の緊張の瞬間。
文明の利器、さすが!!パワーすっご!!はっや!!
あんなに苦労していたミンチが一瞬でできてしまう便利さよ・・・。
ここに卵白をいれて攪拌し、さらに長芋っぽい芋をすりおろしたものと、砂糖と塩とみりんをいれる。
いい感じにふわっふわ、ではある。
下にクッキングシートを敷き、型をのせてその中に生地を流し込む。
これを、沸騰したお湯の中にいれて10分くらいゆでたらふわっふわの四角いはんぺんができあがり。
のはずが。えっ??
無残にも淡雪のようなお姿に・・・。
大きいのがいけないのかなと思ってツミレ状にしてみたりしたけれど、一向に形にならず。結局できあがったマイはんぺん第1号がこちら。
これは、単なるタラの身ほぐしである。
さすがにここまで形にならないのは、ショック。
あー久しぶりにドでかい失敗したなー。。
最愛レストランの一品から、即席リメイク
ごめんよタラちゃん・・・
せっかく大理石になってさらにミンチされて、おいしいすり身加工物になる予定だったのに。
私のフードロス嫌いがここで呼び起こされる。
うちにあるものでこのタラを使ってなにかできまいか・・・。
頭の中に浮かんだのは、この記事の中で書いた最愛スパニッシュレストラン、エウセビオのクロケット。
これ、コロッケなんだけど中身が白身魚と何かで、初めて食べたときに衝撃的に美味しくて感動したものだ。
失敗したたらの量が少ないので、いつだって庶民の味方、アイツを使おう。
主食じゃがいもと合わせて、コロッケ。これだ。
そうと決まれば話は早い。さっそく芋の皮を剥いて茹で始めた。
くたくたになるまで煮込んでマッシュポテト状態にして、熱いうちにバターをひとかけいれた。
タラと合わせて、混ぜる。
前日にベアルネーズソース作りに使ったエストラゴン使ってみよう。みじん切りにして、塩胡椒。
クリーミー系な生地ができた。
全部同じ味じゃつまらないので、当初たらこマヨで使う予定だったロシアンたらこをいれて、半分はタラモコロッケにすることにした。
私は適量というものがイマイチよくわかっていない気がする。結構入れた。
こうして2種類のコロッケ生地ができあがった。
円形がノーマルで、エウセビオ意識版がたらこ入りだ。
パン粉のあまりがちょうどいいくらいあったのがよかった。
ケイチェルおじさんのノンフライ製法*でコロッケ化していく。
(*パン粉はあらかじめオリーブオイルとともにフライパンで炒めたものをつけてオーブン焼き)
葉っぱやトマトで彩りを添えて、はんぺんになる予定だったコロッケの完成。
これにバゲットという質素な組み合わせだけど、お腹がすいて死にそうだとのたもうていたOtto氏は、パクパク平らげる。たらこは私用だななんて思っていたら、たらこOKみたいで、こちらにも手を伸ばしてくる。
結果、あっという間になくなった。おそらくはんぺんにするよりこちらの方が氏的にはよかったのかもしれない。
はんぺんになれなかったのは、なぜ?
終わりよければ全てよしではあるが、私はまだ自作はんぺんを諦めていない。
なぜ固まってくれなかったのだろうか。
考えられる理由としては、やはり芋の水分が多すぎたのではなかろうかということ。せめて見た目が長芋っぽくないものを買ってためしてみればよかった。
あと、卵白ももしかして要らなかったのかな。
どなたか私のしくじり理由に思い当たる節があれば、ご意見のほど、お待ち申し上げます。
今朝7時過ぎ、パリに現れた空飛ぶ羊🐏の心霊写真
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