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フランドル地方の郷土料理、牛肉のビール煮〜カルボナード・フラマンド

ククー!フランスは北国よりユイじょりでっす。

さて今日は、ジャストナウ思いついた「訪れた土地でその土地の郷土料理を作って食べるシリーズ」といこう。ただ食べるだけじゃなくて、作るというところがポイント。


まずは、振り返り

シリーズ第1弾は、去年書いたこの記事。

ってリアルにちょうど1年前!?なんというミラクル。1年前とやってること変わらないのか、おお・・・。


続いてシリーズ第2弾もある。この記事だ。


そして今日の本番、第3弾は、フランドル風牛肉のビール煮込み、カルボナード・フラマンド(Carbonade flamand)だ。

どれもフランス北部を舞台にした料理である。
冷静に考えると北に滞在することしか現状ないので、北の料理しかこのシリーズ成り立たない説。


さて第3弾のお話。きっかけはつい2週間ほど前にさかのぼる。

アラフォーがビル4階分から飛び降りたこの記事で書いた際、海辺のレストランでOtto氏が食べていたこの一皿がまさにこのビール煮込み。

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見た目は牛肉を赤ワインで煮るブフ・ブルギニョンに似ているけれど、味は全然違う。これは内陸に戻ったら作ろうと心に決めていた。



ベルギー?フランドル?どっち??

日本語のサイトだとベルギーの料理と書かれているものも多いので、気になって「ベルギーの料理だよね」とOtto氏に尋ねてみると、「フランドル地方の郷土料理だ」とあえて修正して返答される。さてその心は・・・?

ちなみにフランス語の「フランドル」、英語では「フランダース」。
昔よく読んだ『フランダースの犬』のフランダースである。

そのワードを聞くだけでも泣きそうになるけれど、この物語はフランドル地方北部のアンヴェール(アントワープ)が舞台。書いただけでネロとパトラッシュのあの大聖堂の最期のシーンを思い出して泣きそうだ。。うわーん🐶


気を取り直して料理の話。フランスのwikipediaをみてみよう。

La carbonade flamande ou carbonnade à la flamande est une recette de cuisine traditionnelle des cuisine belge (Flandre belge) et cuisine du Nord-Pas-de-Calais (Flandre française), variante de carbonade à base de morceaux de bœuf braisés à l'étouffée avec de la bière belge ou bière du Nord-Pas-de-Calais. (上記サイトより引用)

なるほど。よく「ベルギーの郷土料理」と書かれてはいるけれど、ちゃんと言うと「ベルギー(ベルギー側のフランドル)」&「ノール=パ=ド=カレ(フランス側のフランドル)」の料理と言えそうだ。もちろんビールもその土地のもので!

ここでぴよっと思い出したけど、そういえばフランスの北の都・リールの駅の名前も「リール・フランドル」駅じゃん!

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Otto氏がフランドルを強調したのは、「ベルギーに限らず自分が生まれ育ったフランス側のフランドルも含まれてるし!」ってことだと考えれば合点がいく。

東のドイツ国境地帯、「アルザス・ロレーヌ地方」は歴史上あまりに有名だけど、南西にスペインとフランスにまたがる「バスク地方」があれば、北にはベルギーとフランスにまたがる「フランドル地方」がある。料理を通じて学ぶことは多い。



カルボナード・フラマンドの材料&作り方

ってことで、しんみりしたりウンチク垂れたりするのもほどほどに、材料&作り方でーす!

郷土料理はフランスのサイトにて検索すると決めている。暇だったので、シェフのyoutubeとか色々みてみたけど、まあどれも大きな差はないことに気づいた。

ってことで結局、最終的に参考にしたフランスのクックパッドみたいなサイトを貼り付けておこう。

(ここのサイトの材料からちょいと足したり引いたり調整してます)

【カルボナード・フラマンドの材料(3〜4人分)】

・牛肉(スネ肉とか煮込み用の硬い部分):700gくらい
・たまねぎ:2〜3個
・にんじん:2〜3本
・ビール(琥珀色したアンバー系を使用):500ml
・かたくなったパン*:3枚
・小麦粉:大さじ1、2杯
・カソナード(なければ黒糖とか三温糖でもいいかも?):大さじ1杯
・マスタード(粒なし):パンに塗りたくれるくらいの量
・バター:適量
・タイム、ローリエ、塩・胡椒

*わりと多くのレシピが「パン・デピス」というスパイスケーキみたいなものを使っているけれど、Otto氏も私も苦手なうえこのために1本買うのは気がひけるので、普通のパンにて。

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奥のほうに映っている缶ビール「La Goudale (ラ・グダル)」 は義母宅にほど近いフランス北部のビール。その土地のビールを使えってことで!!


まずは牛肉を40g〜50gぐらいずつになるように切って(とか言ってるけどテキトー)、たっぷりバターを熱した鍋で軽く焦げ目がつくまでこんがり焼く。

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焼けたら一度取り出す。

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同じ鍋にバターをちょい足し、玉ねぎ・にんじんを投入。小麦粉とカソナードを加えて全体に馴染ませながらじっくり炒める。飴色玉ねぎを作る要領で気長に。

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ここでラルドンとか豚バラの塩漬け(パンチェッタみたいなやつ)を細かく切って一緒に炒めるレシピも多々あったけれど、今日は牛で一皿入魂。

全体がしんなりしたらビールをとぷとぷと注ぐ。ひゃー、一緒に飛び込みたいね!

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かき混ぜながら沸騰させたら、牛肉とハーブたちをのせて蓋をして、コトコト45分煮込む。

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45分後、なんかもう食べてもいいんじゃ・・・・?と思いつつ、まだまだ先は長い。

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固くなったパンにマスタードをたっぷり塗りたくって、上にのせる。
そしてさらに90分煮混んだら出来上がり。

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ちなみにこれを作り始めたのが夜だったので、このマスタード塗りたくりパンをのせた時点ですでに22時を回っていた。note書きながらコトコト煮込んで一晩寝かせ、翌日のご開帳をまたれよ。


フィニッシュ&ボナペティ

「煮込みは24時間後が一番うまい」とは、もはやOtto氏の口癖。今回はまさにそれを地で行ってるもんね〜〜!

ということで、翌日の晩御飯でいただきます。

付け合わせは北フランスでもベルギーでも定番のフリット。太めのフリットがなかったので、カリカリ系フリットにて。口休めにサラダも添えておこう。

そしてお供はビール一択!!
ビール煮込みをビールで流し込む、またよろこばしからずや。

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これはですね、控えめにいって大成功。
私のボキャブラリー内でなんと表現していいかわからないけど、甘くて香ばしくて複雑な味。なによりビールで煮込んでいるからかビールで流しこんでるかわからないけど、ほのかに感じる苦味がよい。

氏からも「レストランの味だ」と拍手喝采アリガトウ。
48時間後にはタリアテッレと合わせて残りを食べたけれど、さらに美味しくなっていた。煮込みは寝かせてナンボってことだ。

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このヒトサラで学んだことはたくさんあれど、一番の学びはやはり、「その土地でその土地のスペシャルなものを自ら作って食べる」という行為は最高の贅沢だ、ということかもしれない。



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