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パンがなければマカロンを食べればいいのよ〜ラデュレのレシピで3色マカロン

きっかけは今日もまた、noteの世界。

日々、古今東西の美味しいものを追究しまくっている通称おいたんことケイチェルおじさん。日本のパリとフランスのパリでお互い切磋琢磨?しあいながら、楽しいnoteライフを送っている。

先日おいたんが、お菓子作り歴4ヶ月でピエール・エルメのマカロンを作っていて、「まじでこの人天才すぎる!!」とパリから拍手喝采を送っていた。


マカロンって、見た目ものすごく可愛らしいけど、歯にシミるほど、甘い。それにあんなに小さくて1個1ユーロ以上して、お値段はまったく可愛らしくない。

もちろん自分で作ろうなどと思ったことは一度たりともなく、個人的には、頂きもので食べるくらいしかしない、日本でいうところの羊羹みたいな位置付けだった。

そんなマカロンと聞いてふと目に留まったのが、本棚に鎮座する「ラデュレ」のレシピブック

こちらはシャンゼリゼ通りにあるラデュレ本店だ。

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レシピブック。ラデュレだけあって、装丁がこれまた死ぬほど可愛らしい。

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この本はかれこれ7年前。フランス駐在に旅立つ前、学生時代の女友達がフレンチレストランで壮行会を開いてくれたときに、プレゼントしてくれたもの。

お菓子がつまった「シュクレ版」。おかず系のレシピがならぶ「サレ版」の2冊。今でもずっと大切に持っている。

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ラデュレといえば、マカロンだ。レシピの先頭を飾るのもマカロン。アマンド、ショコラ、シトロン、フランボワーズと充実のマカロン・ラインナップが並ぶ。 

そして我が家のキッチンには、なぜかマカロン用のオーブンシートがある。賢い読者の皆さんはすでに当たり前のように想像がつくと思うが、こちらもちろんOtto氏所属。

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さてと。おいたんからのインスピレーションに加え、ここまで色々揃っていれば、もう作るしかなかろう。30うん年生きてきて、初めてのマカロン作りに、いざ挑戦。


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昨日のクイズ、正解は黄色のレモンマカロン。各材料の内容は手書きで記入したのでご参考まで。

Choi.hageこと世界のちょいハゲおじさんの「お好み焼き!」というシャープすぎるお答えには笑いをこらえられず。そして4名の方々が答えて下さったレモンタルトでもレモンパウンドケーキでもございませんの。残念でした!

そんななか、さすが経験者のケイチェルおじさん。ほぼ全ての材料を的確に見抜き、マカロンアイスとのお答え。だいたい、正解。さすが天才は違うなー。Félicitations 🎉

当初はラデュレレシピ(約50個分)の半分の量で、黄色のレモンマカロンだけを作る予定だったので、スタートの写真はレモンマカロンのみの材料なのである。それにしても、砂糖の量の多いこと!こりゃ歯にシミるわけだ。


まずは、中に挟むレモンクリーム作りからスタート。前日からつくっておく、って書いてあるけど、いきなりレシピを無視して、当日(先週の日曜日)のお昼前に開始。その他にも、お得意の「面倒そうな工程ははしょってやる」が炸裂する今回のマカロン作り。

まずは、レモンを絞って55g。皮は1個分すり下ろす。

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小鍋にグラニュー糖80gとレモンの皮を入れ、よく混ぜる。

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さらにコーンスターチ2.5gを加えて、混ぜる。

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卵1.5個とレモン汁を少しずつ加えて、混ぜる。

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弱火で沸騰ぎりぎりいかないくらいまで温めながら、とろっとクリーム状になるまでゴムベラでよくかき混ぜる。

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少し冷ましたら、室温で柔らかくしておいたバターを加えて、泡立て器でよくかき混ぜる(レシピでは、平たい羽をつけたハンドミキサーで混ぜると書いてある)。

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タッパーに入れて、冷蔵庫で休ませる(最低12時間休ませるとあるけど、半日)。

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さて次は本番のマカロン生地(コック)。

アーモンドパウダー138gと粉糖125gを合わせてふるいにかける(レシピではフープロにかけるとある)。

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90gの卵白をハンドミキサーで泡立てる。

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よく泡立ってきたらコック用のグラニュー糖105gの3分の1量を加えて泡立てる。

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そしてさらに残りの半量を加えて約1分泡だて、そして最後に残りを全て加えて1分泡だててフィニッシュ!

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・・・のはずだった。さあここでハプニング発生。メレンゲの角が立たない。

我が家の定番ふわふわキッシュ(下記記事参照)をつくるときに、手動の便利泡立て器を使うと簡単にメレンゲができているのに。なぜハンドミキサーだとメレンゲにならないの・・・?


色々原因を考えてみたけれど、もしかしたら砂糖をいれるタイミングが早過ぎたのかもしれない。卵白と砂糖に申し訳ないけど、使い道はあとで考えることにして、もう一回90gの卵白と105gのグラニュー糖を用意して、リベンジ。

・・・今回も、ダメ。1回目と同じ状態。

やだもう泣きそう。ソファで寝っ転がっているOtto氏に、「メレンゲができないよどうしよう!!助けてー!!」と嘆いてみると、重い腰をあげてやってきた氏が放った一言。

「当たり前だ、これじゃない」

そう言って、ハンドミキサーについているアタッチメントを取り外し、別のアタッチメントをささっと装着。職人のような身のこなしで泡立て始めた。

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らば!!!


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1分も経たないうちに、ピンと角がきちんと立つご立派なメレンゲが出来上がったではないか。最初の失敗作もお願いしたら、こちらも必殺仕事人、あっというまにメレンゲとして蘇った。

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まさかの救世主はOtto氏だった。さすがRobotとか業務用の絞り用袋100枚入りとかクレープ用のフライパンとかあれもこれも持っているだけある。大感謝。

ただ、思いがけず倍量のメレンゲが出来上がってしまった。これはまたどうしよう。。とりあえずレモンマカロン用のコックだけは先に仕上げて、それから考えることにしよう。

このメレンゲにアーモンドパウダーと粉砂糖をふるい合わせたものを加えて、ゴムベラでやさしく混ぜ合わせる。

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恒例の、躍動。卵白をほんのひとたらし加えて、黄色の食用色素を入れ、さらにやさしくかき混ぜる。

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こんな感じで、レモンマカロン用のコック完成。レシピには、「ゴムベラで生地をとって上からたらしてみて、全体がつながってゆっくりと落ちるくらいになるまで混ぜる」、とある。なんかよくわかんないけど、多分こんな感じにできてるような気がする。

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いよいよマカロンシートの出番。口金をつけた絞り袋に生地を全部入れて、シートに絞り出していく。オーブンは150度に予熱。

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レシピにはこのあと、「マカロン 生地には何もかぶせず、18〜20度の乾燥したところにおき、表面を指で触ってもつかなくなるまで乾かす(環境により10分〜1時間)」とあるが、この大量のマカロンを焼き上げるのにそんな悠長に待っている場合ではない。

ということで、オーブンへ早速お入りいただくことに。

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お、膨らんできた!」でもなんか、ヒビが入ってる・・・?

ここでマカロン共通、シェフのアドバイスを抜粋してみよう:

材料やオーブン、混ぜ方など、様々な理由でマカロンの表面が割れることがありません。理由はどうであれ、気を落とさないで!そして、安心してください。割れていても味は変わりません。経験を重ねるにつれきれいなマカロンができるようになります。

・・・とにかく経験あるのみ!ってことか。初めてだし、仕方ないな。

でも、今後のために割れる原因の目星くらいは付けたいなとネットで検索すると、原因のひとつに「オーブンの下火が強いせいかも」とある。あ、これビンゴだ。オーブンを見ると、なぜか下火しかついてなかった。凡ミスだ。

気を落とさずに、第2ターン。今度はきちんと上下から熱が入るようにしたところ、じゃーん。

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今度は割れないで綺麗に焼けた!!わーい。

オーブンから取り出したら、少量の水を天板とペーパーの間に流し込んで、常温で冷ます。この冷ます時間ももったいない。。このマカロンシート、もう一枚欲しいな。

こんな感じで黄色いコックを沢山作ったのだが、問題は残りのメレンゲ。同じものを作るにしても、アーモンドパウダーの量がかなり足りない。そして時は、日曜日の夜19時半。

ここパリでは、最近でこそ日曜営業するスーパーも増えてきたが、基本的に日曜は空いているスーパーも早く閉まる。Google mapで近所のスーパーの営業時間を調べたところ、一番近いところが19時45分まで、そこそこ近いところが夜20時までとある。

黄色いコック、最後の焼き上がりをOtto氏に託し、大急ぎで部屋着から着替えて、お財布とケータイだけ持って家を飛び出す。久しぶりの猛烈ダッシュ。

19時45分に閉まるはずの一番近いスーパーは、19時40分前についたけれどすでに完全店じまい。うわーやられた!

残るはそこそこ近いスーパー。500mくらいなので、マラソンペースで走っても3分くらい。フランスのお店は閉店20分前くらいになると店内にすら入れてくれないお店がたくさんあるので、ここは一縷の望みを託して、さらにダーッシュ!

汗だくでたどり着いたスーパー。天は私に味方してくれたのか、まだ開いていて、店内にも入ることができた。よ、よかった・・・(涙)

これでアーモンドパウダーの在庫がなかったらまじで死亡だなと思いながら製菓コーナーにいくと、こちらもよかった、ちゃんとあった。自動レジの行列に並んでアーモンドパウダーだけ買って、次のコックと挟むものはどうしようか考えながら家路につく。

コックは好きな色の組み合わせ、ローズとピスタチオグリーンにすることにした。普段からうずらの卵などに着色しているので、食紅的なものだけは事欠かない。

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こうして、約100枚のコックが出来上がった、我が家。全部焼けたのは22時前だったと思う。

そういえばこの日だ、ひとりごはんで牡蠣開きをしたのは。最後の緑のコックを焼き始めたと同時に牡蠣を剥き始め、ようやく座ることができた。

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生牡蠣を堪能した後、マカロンを組み立てる。黄色いコックにはもちろん、最初に作って冷やしておいたレモンクリームを。写真を撮り忘れたが、きちんと固まっていた。

ローズ色のコックには、冷蔵庫に眠っていたチェリーのジャムを。

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ピスタチオグリーンには、Otto氏の大好物、ヌテラ(ヘーゼルナッツチョコペースト)を、とろりと。

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はい、マカロン工房ユイじょり、オープン。

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お皿にのりきらない分は、お菓子の空き箱にラップをしいて、なんちゃって売り物っぽく。

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最初に割れてしまった黄色いコック、シェフのおっしゃるとおり、割れても味は同じ。これはこれでご愛敬。

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というかこれ、フランス南西部バスク地方、サン=ジャン=ド=リュズの老舗ADAMのルイ14世の結婚式に献上されたマカロンに似てはいまいか・・?

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バスクの思い出、くわしくはこちらに。


ここまでできて、シェフのアドバイスの続き。「マカロンは絶対に最低12時間は冷蔵庫で休ませてください。時間と空気によって生地とクリームがなじみ、味と食感が繊細になります」とのこと。最後まで待たせるねえ。

でも時はすでに夜中の0時を回っているから、ちょうどいい。冷蔵庫にいれて、おやすみなさい。


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翌朝、私が遅起きする前に、メレンゲ職人Otto氏がすでに半分くらい食べていた。

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私も寝ぼけまなこで一口。おおお、目の覚める甘さ!そして確かにしっとりサクほろ、美味しいではないか。
そして割れた生地が意外にヒット。コーヒーのお供にぴったりだ。

こうして今週は毎朝、毎食のデザートがこのマカロンとなった。
ちなみにOtto氏はヌテラがお気に入りらしく、グリーンのマカロンがあっという間になくなった。やはりチョコ系には目がないらしい。次つくるときはショコラ系のマカロンにしようかな。

「パンがなければお菓子を食べればいいのに・・・」と、かの有名なマリーアントワネットが18世紀後半にのたもうたように、「パンがなければマカロンを食べればいいのよ」を地でいく21世期の我が家なのである。


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ベルサイユのばらじゃない薔薇とミルゥ


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