ユチャマイルド

フィクションがメインです。エッセイはエッセイっていうマガジンにいれていきます(^-^)…

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フィクションがメインです。エッセイはエッセイっていうマガジンにいれていきます(^-^) リアルな気持ちを詰め込みたいです。

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最近の記事

21.「ダサいスーツを、着こなせるようになった」

ダサいスーツを、着こなせるようになった。 わたしは昇進したのだ。 入っては辞めて、入っては辞めてしていく営業会社はわたしの2社目の職場で、いつの間にか28歳になっていた。 明るい茶髪に染めたロングヘアは今のわたしにお似合いで、バサバサのマツエクは40代男性上司のウケ最高だ。 ネイルは薄ピンクのフレンチネイル。 今時こんなのってどうよ。 入社当時はキラキラのビジューのついたヒールのサイズが合わなくて、赤く腫れていた足。 皮が厚くなって痛くなくなった。 この仕事は、移動時

    • 20.「自分が分からなくなったとき」に映画を観る理由

      週5日、出社してパソコンとにらめっこするのは気が滅入る。 というか、朝ごはんも食べずに駅までダッシュして1時間かけて電車で会社に向かうだけでも気が滅入ってしまうんだけど。 できれば毎日、ゆっくり落ち着いて他人の心に触れて自分の心を知りたい。 つまり、日常から離れて、映画や本や音楽から感じ取れる「人の心」を自分のなかに染み込ませたいのだ。 毎日毎日、同じように起きて、会社に行って、残業をして、最寄駅のスーパーで値引シールのついたお弁当を眺めていると、自分のことが分からなくなって

      • 19.「私のお家は杉並区にありまして」

        「私のお家は杉並区にありまして」 仕事帰りの1人飲みはサイコーだよ! 好きなものを、好きなだけ頼める。 あれ頼んでいい?これな頼んでいい?とか、お酒のペース合わせなきゃな、とかいちいち考えなくていいし。 今日も行きつけの焼き鳥屋さんに寄った帰り、セブンイレブンに寄って缶のお酒とスルメを買う。 家まで待ちきれなくて、信号待ちでプシュッとあける。 るんるんな気分でお家に帰る。 私のお家は杉並区にありまして。 24時間営業している西友があります。 仕事が終わった後はもち

        • 18.「言葉っていうのはとても楽しい時とか、嬉しい時には出てこないものなんだよね」

          今日は久しぶりに文章が書ける日だと思う。 最近はとてもダメで、全然ダメだった。 全然頭に言葉も感情も浮かんでこなかったのだ。 それほど穏やかに過ごしていたのかもしれない。 悲しいかな、言葉っていうのはとても楽しい時とか、嬉しい時には出てこないものなんだよね。 辛い時とか、寂しい時とか、自分が誰なのかわかんなくなっちゃった時とか、涙すら出なくて自分がバラバラになっちゃいそうになったり、いつかは消えて無くなっちゃうのかなとか思った時に。 頭の中が大渋滞してショートしち

        21.「ダサいスーツを、着こなせるようになった」

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        • 東京の話
          17本
        • エッセイ
          4本

        記事

          17.「わたしが女じゃなかったら、あなたはわたしを好きにならないんでしょう」

          今、わたしには、大切な恋人がいる。 こう7年も東京にいれば年齢だけじゃなくて価値観も結構変わった。 とくに、「恋愛」とか「性」に関しては壁をちゃんと乗り越えられたと思う。 上京する前は「人と付き合うなんて無理」って思ってたんですよね。 中学生でも高校生でも「できる子は普通にできている恋愛」が20歳を超えてもまるでできなかった。 好きな人ができても、いざ付き合うとなると気持ち悪くなってしまうとかが普通にあった。 これが俗にいう「蛙化現象」というものなのだということは、この現象を

          17.「わたしが女じゃなかったら、あなたはわたしを好きにならないんでしょう」

          16.「天沼、きみと秘密基地」

          「天沼、きみと秘密基地」 かわいいねとかすきだよとか。 きみのくれた言葉を全てかき集めて押し花みたいにずっと保存しておきたかった。 「なこと付き合えたことがオレの人生の1番のファインプレー」 ……なんて言われたときは笑っちゃったけど、すごく嬉しかったのを覚えている。 きみと出会ったのは、まだわたしが22歳のころ。 きみは28歳、仕事を辞めたばかりの自由人だった。 天然パーマのくるくるの髪にパッチリした目が印象的なきみは、高円寺の小さな古着屋さんで働き始めたばかり。 夜中に

          16.「天沼、きみと秘密基地」

          15.「僕の人生をカテゴライズしてほしい」

          「僕の人生をカテゴライズしてほしい」 僕の人生を、カテゴライズしてほしい。 君なりの言葉でいいから。 路地裏を歩いていて、カレーの匂いがしたとき。 昼間の公園でヨーグルトを食べながら、 ドッジボールをしている子供達をながめたとき。 自分だけが溶けてしまう気がする。 シャワーを浴びながらいつの日か終わりが来ることを考えてしまうとき。 誰かが僕のことを考えていてくれたらいいのに。 本当は君じゃなくていい。 誰だっていいんだ。 0.5+0.5は1だ。 君と僕は気

          15.「僕の人生をカテゴライズしてほしい」

          14.「煮込みハンバーグ」

          「煮込みハンバーグ」 1年間の浪人時代を経て、 わたしはようやく大学進学をした。 同時にお兄ちゃんと2人暮らしを始めた。 場所は吉祥寺。サンロード商店街を抜けた住宅街。 築35年。家賃9万円の2DK。 この部屋に、わたしとお兄ちゃんは2人で住んでいる。 早いことにもう、わたしは大学2年になった。 同時に、お兄ちゃんと暮らし始めて1年とちょっとが経とうとしている。 それより、聞いてほしい。うちのお兄ちゃんは本当に信じられない。 トイレ掃除をしたばかりなのにうんちをするのだ

          14.「煮込みハンバーグ」

          13.「大人になることは苦しいことなのか」

          大人になることは苦しいことなのか。 日々考えている個人的な悩みであり、 大人であることに疲れ始めている、愛すべき20代の大人たちと共有したい話を書いていく。お時間あれば読んでください。 まず、大人って何歳からだと思いますか。 「お酒とタバコが許される20歳からが大人」という認識で、わたしはいる。 そんな20歳からは、もう数年が経ってしまった。近頃、スポーツ選手や起業家、アイドル等の有名人として名を上げている人々の多くは、自分より年下であるということが増えてきている。インタ

          13.「大人になることは苦しいことなのか」

          12.「Summer with distance 」

          「Summer with distance 」 ビーサンでGO! 誰にも会わずに商店街を抜けて、 コンビニでチョコアイスを買うよ。 ビーサンでGO! この日のために買ったんだ。 大好きなネオングリーンのビーチサンダル。 ちょっとヘタッピだけど、 ペディキュアを塗ってみた。 ピンクは苦手だけど、 今日はなんとなく気分だったんだ。 当たり前にラメ重ね塗りでしょ! 今日は天気が良くて気持ちがいいな。 先週、住んでいるアパートに宅配ボックスが付いたんだ。 注文していたスカイブルーの

          12.「Summer with distance 」

          11.「ベルジャンホワイト」

          「ベルジャンホワイト」 嫌いな人に嫌いと言えないから、 仕事を辞めた。 ベルジャンホワイトが好きだ。 口に入れた瞬間ふわっとひろがる香りと、 苦味を邪魔しないフルーティさが好きだ。 巷では薬の開発がされていないウイルスが流行っている。 わたしは26歳になったばかりだ。 ウイルスは、2年は流行るという。 わたしは、28歳になってしまうのか。 オレンジ色の薄明かりに照らされた部屋がすきだ。 口の中にふわっと広がる甘みだけを感じていたい。 シャワールームに照明は要らない。 向か

          11.「ベルジャンホワイト」

          10.「La lune brille pour toi」

          「La lune brille pour toi」 彼の口ずさんでいた日本語の曲のメロディには聞き覚えがあった。 有名な日本人作曲家の作曲で、これまた有名なフランス人の女性歌手が歌った、”La lune brille pour toi”という曲だった。 フランス語が分からなかったわたしは、それを本当の歌詞だと思い、その歌詞が気になって、彼に話しかけたのだった。 歌詞はデタラメの日本語だった。 でも、いい歌詞でしょ。 そう言って笑った彼はまだ23歳くらいで、すっきりとした

          10.「La lune brille pour toi」

          9.「シティボーイ」

          「シティボーイ」 東京に出たならば、 やっぱり僕はIT会社とかWEB会社とか、 そういう今時っぽい会社に入社するものだと思っていた。 東京の大学に進学したならば、 大学はやっぱりビルにかこまれていたり、 周囲にはオシャレなカフェがたくさんあったり。 そんな環境だと、思うだろ? それと同じようにさ。 僕の朝は早い。 アラームはうるさい。 東京の大学に進学してから新卒で今の会社に入社している今までずっと同じ曲をアラームにしている。 昔大好きだった曲も、毎朝聴くと何も感じなくな

          9.「シティボーイ」

          8.「改修工事中」

          「改修工事中」 急行が運休なんてついていない。 いつもより早めに会社にいくから、 早めに家を出て、6時40分発の電車に乗った。 今日は7時30分には会社に着きたかったからだ。 その希望は叶わなかったが。 4時13分に異変を検知したとかで、急行電車が運休になったのだ。 各駅停車の電車に乗った。 結局いつもより遅い時間につく羽目になった。 電車の中ではいつもイヤフォンをつけている。 冬は好きだ。 コートでスーツを隠せるから。 意地だ。悪あがきだ。 誰にも分かってもらわなくて

          8.「改修工事中」

          7.「サイコーの夜」

          「サイコーの夜」 それなりにアルバイトをしてきた。 それなりの大学を問題なく卒業をした。 痛みと辛みは同じだという。 初めは、一味唐辛子だった。 今は、デスソースになってしまった。 脳が痺れる感覚が好きだ。 僕が生きている証明書みたいだ。 僕の部屋は絶望だ。 窓からの景色は最高だ。 新宿のオフィス街がキラキラしている。 無理した家賃を払っているだけある。 ここから落ちたらどうなるんだろう。 ベランダで缶ビールを片手に思った。 「イジリ」といえばなんでも許される。 無理して

          7.「サイコーの夜」

          6.「素敵な5332日」

          「素敵な5332日」 電車を降りて、耳にかけていた髪をおろす。 頬にかかる髪があると安心できる。 つまらなくなってしまった。 自分の部屋が嫌いで、いられなかった。 どうしようもなく捨てられない物ばかりがある。 桜ヶ丘にお気に入りの飲み屋があった。 1人で仕事終わりに行くのが定番だった。 店員に連絡先をわたされてから一気に興醒めしてしまった。 もうここはダメだ。 オフィスカジュアルに身を包み家を出る。 肩がぶつかって舌打ちをされる。 この街は臭い。うるさい。歩きづらい。 だ

          6.「素敵な5332日」