19.「私のお家は杉並区にありまして」

「私のお家は杉並区にありまして」

仕事帰りの1人飲みはサイコーだよ!

好きなものを、好きなだけ頼める。
あれ頼んでいい?これな頼んでいい?とか、お酒のペース合わせなきゃな、とかいちいち考えなくていいし。

今日も行きつけの焼き鳥屋さんに寄った帰り、セブンイレブンに寄って缶のお酒とスルメを買う。
家まで待ちきれなくて、信号待ちでプシュッとあける。

るんるんな気分でお家に帰る。

私のお家は杉並区にありまして。

24時間営業している西友があります。
仕事が終わった後はもちろん、友達と渋谷から終電で帰った1:30でも開いているんです。

この街には、キムタクが昔住んでいたとかいうマンションがあります。
キムタクがパパラッチされたとかいう、焼肉屋さんもあります。

高校生で地元の田舎にすんでいたとき、ラブジェネレーションを見たことがあったから、キムタクが住んでた街に住んでいるってだけでとっても都会人になった気分です。

高校生のときは、愛知県が舞台の携帯小説をモバゲーで読んでいて。
名古屋の大学を目指していたから、なんとその作者の女性とオープンキャンパス帰りにお茶までしたんです。

その携帯小説のタイトルが「ガラスの林檎」ってタイトルで。

「ラブジェネレーションみたいな恋」というフレーズが出てくる作品だったから、私にとってはラブジェネレーションはなんだか憧れのドラマだったんです。

そんなラブジェネレーションの主演は松たか子とキムタクで。

わたしのマンションは、ファミリー向けの戸建ての多い、高級住宅街と呼ばれるこの街には珍しく9階建てでして。

私は最上階の9階に住んでいます。

1Kの6畳なんですけど、私にとっては夢のお城なんです。
だって、9階なんてとっても高さがあるでしょ。

西新宿のオフィス街だって、東京タワーだって、ベランダから見えるでしょ。
ほんっとーにサイコー!

なんか、住む場所が違うだけで自分に自信が持てるみたい。

このマンションに引っ越してきたのは今から半年くらい前で、前はここから歩いて10分くらいの2階建てのアパートに住んでた。

なんでこんな近距離で引っ越したかって?
そりゃ、もう会いたくない恋人に家を知られているけど、この街が大好きだからっていうのが1番ですよ。

あとは、私、この7月に初めて正社員になったもので。

初めて家賃を自分で払うことになったんです。

それまでは学生で、両親に家賃を払ってもらってたんです。

だから、この引っ越しは私の人生の新しいスタートで。

少し、部不相応なマンションに住んでみたワケなんです。

絶対にお金持ちになって、好きな服を買って、美味しいご飯を食べに行って、良い家に住んで、自由に生きていきたいなって夢がたくさん詰まっているんです。

たくさん稼いで、いつかはタワーマンションに1人で住むんだ。

絶対に1人がいいよ。

だって、誰かと一緒にいるなんてめんどくさいもん。

とにかく一人暮らしってハッピーなんです。
誰にも邪魔をされずにYouTubeをスピーカーで観ます。

ちょっとくらい、部屋が汚くたっていいのです。

部屋には、どうせ誰も呼ばないし。

誰にも、入ってほしくないし。

だって、ここは私だけの夢のお城だから。


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