7.「サイコーの夜」

「サイコーの夜」


それなりにアルバイトをしてきた。
それなりの大学を問題なく卒業をした。
痛みと辛みは同じだという。
初めは、一味唐辛子だった。
今は、デスソースになってしまった。
脳が痺れる感覚が好きだ。
僕が生きている証明書みたいだ。

僕の部屋は絶望だ。
窓からの景色は最高だ。
新宿のオフィス街がキラキラしている。
無理した家賃を払っているだけある。
ここから落ちたらどうなるんだろう。
ベランダで缶ビールを片手に思った。
「イジリ」といえばなんでも許される。
無理して笑えば場は和む。
「マジレス」しちゃだめなんだ。
じゃあ僕が、
「ガチ」でここから落ちたらみんなはどんな顔をするんだろう。
1週間は話題として、もつだろうか。
iPhoneのインカメで自分の顔を見た。
こんな風になるなんて愛してくれた両親は、
思っていなかっただろうな。
好きだったバンドのライブには行かなくなってしまった。
あの頃、楽しかったな。
一気にビールを流し込む。
僕には発泡酒ですらもったいないな。


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