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高卒市役所職員がITエンジニア・デザイナーに未経験転職した話

はじめまして、システム開発会社でインハウスデザイナーをしているささきです。

現在の職場では、プレイングマネージャーのような立場で、「システム・アプリのデザイン・コーディング」「Webサイトの運用」「ポスター・パネル等のDTP」など多岐に渡った業務について、マネジメントをメインに、自分でも手を動かすような働き方をしています。

最近、キャリアに関する相談を受けることが多いので、本記事では「未経験でもエンジニア・デザイナーになれるの?」というところを中心に綴りたいと思います。

私自身の転職やキャリアの運び方については、我ながら上手くいった方だと自負しておりますので、拙文ではありますが、これを読まれる未経験業界への転職希望者の参考になれば幸いです。

私の略歴

大した経歴ではありませんが、本記事の説得力を(こんな奴でも?的な感じで)増幅させるために、まずは私の略歴を紹介します。

❶地元北海道の小中高を卒業し、そのまま地元の市役所に入職。世間知らずな公務員が誕生。

❷7年ほど経った頃(25、6歳)から、ほかの職業への興味が高まり、転職を考え始める。
特段ITに興味があったわけではないが、経産省によるIT人材不足のデータなどを目にし、なんとなくプログラミング学習サービス(ドットインストール等)でHTML、CSS、Javascriptの独学を始める。(ITパスポートも取得したが、個人的には不要だった気がする。)

WantedlyというIT専門求人サイトで、東京にある実務未経験OKのSES(※)企業にエントリーし内定。(面接などでポテンシャルを感じてもらい採用)

SESとは「システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)」の略で、明確な定義のある言葉ではありませんが、多くの場合、契約で定めた期間、クライアントに対してエンジニアの技術力や専門スキルを提供するサービスを指して使われます。

https://doda.jp/engineer/guide/it/066.html

当時好きだったわけでもないIT業界への転職を決めた理由はたくさんありますので、後述します。

❹8年半勤めた市役所を退職し、上記企業に転職。(27歳)

❺3ヶ月間、社内研修でプログラミングや開発現場のイロハを学習し、その後フロントエンドエンジニアとしてシステム開発の案件に参画。

❻開発業務を経験していくにあたり、デザイン領域に興味を持ち、上長の計らいによりデザイナーへとキャリアチェンジをさせてもらう。

❼1年ほどデザイナーとして勤務し、現在在籍しているシステム開発会社にインハウスデザイナーとして転職。(強気な待遇交渉にも成功しました💰)(28歳現在)

というのが私の略歴です。詳細は後述します。

今から未経験転職は可能?

結論:年齢によって難易度は異なるが、可能だと思います。

まず、会社とは利益活動を追求する組織ですので、以下のような人材を採用したいはずです。
①若くてポテンシャルのある人(将来性)
②経験豊富で即戦力になれる人(実績)

突然当然のことを言いましたが、要するに年齢が高いならそれなりの実績が必要ですし、年齢が若くても将来性を感じてもらうことは必要ということです。

このように、採用側の立場に立ち、お互いのWin -Winを考えた上で「自分が転職先にどのような価値を提供できるか」を面接等で伝えられるよう、転職活動の戦略を練ることが大切だと思います。(もちろん面接で話せるような実績や根拠は必要)

IT業界は転職者のライバルも多いですが、業界自体がまだ若い業界なので、経験が少ないライバルばかりです。
この駆け出しの群衆の中で、「会社に採用してもらう」という考えよりも「会社にこう貢献できる」というgiveの精神でいかに頭角を表せられるかが大事なのでは。と偉そうに語ってみたりしちゃいます。

おすすめのIT未経験転職の方法

私がおすすめするのは以下の3つです。

①SES企業に入る
これはポジショントーク抜きにして、一番現実的な方法だと思います。
日本の会社は、終身雇用制が終わりつつあるとはいえ、今でも雇用に対するリスク意識が非常に高いです。
要するに、容易に解雇ができない日本において、使えるかわからない未経験の人を雇うことに慎重にならざるを得ないということです。
その悩みを満たすべく大活躍しているのが、契約解除が容易にできるフリーランスやSESです。
SES会社が教育(研修)した人材というのは、クライアント会社からすると使い勝手が良く需要が高いので、未経験でもどんどん採用できるというシステムです。

※私自身が「商品」となった上で「SESというビジネスモデルはよくできているな〜」と感心させられましたが、ここでは詳細は割愛します。いつか記事にしようかなと思います。(暴露)

②小さい会社に入る
転職エージェント等に人材採用コストをかけられないような零細企業の募集はゴロゴロあります。どんな会社でも「実務経験」にはなりますし、とりあえず入ってみることを勧めます。
小さい会社ほど、(良くも悪くも)いろんな業務に携わることができるので、個人的にはおすすめです。
探す方法としては、IT特化の求人サイトや、企業HPの求人ページのどちらかになるかと思います。
特にHPの求人ページからの応募については、採用側からすると手数料がかからないし、応募の熱意が伝わりやすいと思うので特におすすめです。(探すまでが大変かもですが)

③バイト・業務委託(フリーランス)で入る
金銭面な不安定さがありますがこれらも全然ありだと思います。
いくつかの会社を掛け持ちして色々な業務を知るのもいいですし、とにかく実務経験を積むというのは、IT業界で転職する上でとても大切なことです。
IT企業の募集要項をいくつか探してもらえればわかると思いますが、必須要件に「実務経験○年」と謳われていることがほとんどだからです。

また、会社としても、バイト等で実際の働きを見られるというのは、どんな面接よりもその人のスキルがわかりますし、バイト先で評価されてそのまま就職なんてこともよくある話です。

自身のキャリアを振り返って思うこと

「自分の転職はうまくいった」などと大口を叩いておきながら、タラレバをあげようと思えばいくつかあります。

あと3年早く転職すればよかった

これには2つの想いがあります。
・市役所での経験は5年ほどで十分だった。
 (「勤務時間」に対する「得られる経験・スキル」が少なすぎた)
・早く転職した方が業界経験年数を重ねられ、スキル・給料が高くなっていた。(「前職の経験が評価されていない」とも言い換えられる)

公務員が27歳で転職というのは、体感的にギリギリセーフだったとも思います。

進学・就職において「環境を変えること」を考えればよかった

これは、生まれてからの27年間を同じ街でしか住んでこなかった私だからこそ思うことだと思います。

転職をして、生まれて初めて「居住地」「職業」「人間関係」全てが一変しました。

今思えば、地元で過ごした最後の5年ほどの自分は腐っていました。仕事の目標もなく、ただスポーツや趣味を楽しむだけの毎日でした。(それはそれで良いとも思いますが)

余談ですが、当時の私が市役所を受けるまでの思考プロセスはこうでした
①やりたいこともないし、とりあえず地元で就職かな
②公務員模試では毎回1位だし、市役所なら受かりそう
③高卒で市役所に入れるなんてコスパ最強だし安定じゃん

自身のキャリアをコスパという軸で考えてしまうなんて野暮な思考だと今となっては思えますが、当時は本気でこう思っていました。
また、ツブシが効かない公務員の経験しかないなんて、現代のいわゆるVUCA()時代においては安定どころか、超リスクだとも思います。

話が少しそれましたが、結果的にコンフォートゾーン(安全領域)を抜けることが成長につながると身をもって実感しています。

本記事では、これ以上意識高い系の話には踏み込まないようにしますが、この辺のマインドセットについては、ビジネス系のYoutubeや岡本太郎さんの著書「自分の中に毒を持て」などを読んでいただくと良いかと思います。(たくさん本を読む人間なので、こんな話もそのうち記事にしていこうと思います)


大学に行けばよかった?

こう聞かれることもありますが、正直、周囲の大卒の方と比べても高卒の私との差を感じないため、これは全く思っていません。(実力主義のIT業界ならではかもしれません。)

強いて言えば、「同じ大学の仲間」という縁故的な人脈を得られるのは魅力的ですが、そのためだけに学費と時間を費やそうとまでは思いません。

以上「当時同級生が大学生活を楽しんでいる様を市役所で納税義務者から怒られながら羨んでいた男」の強がりでした(笑)。


IT業界を選んだ(おすすめする)理由

先ほど、自身の略歴のなかでも触れましたが、私はITに特別関心があったわけではありません。
では、なぜ選んだかというと、大きく分けて3つあります。

独学がしやすい

現代はインターネットによって、さまざまな情報が取得しやすい世の中になりました。中でもIT分野の情報は特に充実しており、知りたいと思った情報はほとんど手に入る状況です。(発信媒体自体がITなので当然ですね)

そのため、「独学してみてイケそうなら転職してみよっかな?」と向き不向きを判断することが容易です。

プログラミングの学習難易度の話はさておき、この独学の敷居の低さは、インターネット普及による情報民主化の賜物です。

また、実際に現場に入ってからも「基礎知識があればあとはググればなんとかなる」ことが多いのも特徴です。
なので例えば「親方に教えてもらえるように気に入られないと。。(偏見)」的な理不尽が少なくて、好きな部分です。


平均年収が高い

転職をするからには、それなりのリスクがあると思っていました。

そのため、せめて市役所職員の生涯賃金は超えられるくらいの給与水準の業界を選ぶことにしました。

業界選びがとても大事というのがよくわかる話として、たとえば営業職の人がIT業界の営業職に転職しただけで給料が激増したというような話をよく聞きます。
これはIT業界が成長産業でありニーズがあるからこその現象だと思います。

また、IT業界内で転職をしてみてわかったこととして、スキルと経験があれば圧倒的に売り手(労働者)市場であるということです。
現在の会社との契約交渉の際にも、自分の意見をかなり通していただきました(もちろん会社の利益になるような提案もした上で)し、市場価値の高さを感じるため、正直もう金銭面での不安はありません。


どんな職業においても、ITの知識が必要と感じた

これは、現代の課題解決に多く使われている手段がITであるため、それを学びたいと思った。という至極シンプルで打算的な考えです。
逆に言えば、ITよりも優れた代替手段が出てくればそれを学びに動くことになると思います。

今思えばおそらく会社を経営している父の影響かと思いますが、私は定年まで公務員を続けるつもりは最初からなく、ぼんやりと野心のようなものを抱いています。
そのため、長い人生の中で汎用性の高いITスキルは教養として学ぶべきだと思い、この業界の門を叩きました。


最後に

結果的にITの良さばかり語ってしまい、記事の構成も相まって、なんだかアフィリエイトみたいになってしまいましたが、そういう利益は全く考えていません(笑)。
ただ、「転職をしたいと思っていた当時の自分」が知りたかったような内容を書くことで、誰かの背中を押すきっかけにでもなればな〜という聖人のような崇高な精神で綴りました。

IT業界で気を付ける部分を強いて挙げるとすれば、トレンド(AIを用いた効率的なツールなど)を取り入れ続ける必要があるところでしょうか。
新しい産業であるが故に流行り廃りが激しいので、保守的な人には合わないのかもなとは思います。
あとはやはり知能労働ですので一定の知能は必要かと思います。が、そこに関しては前述したようにまずは独学をしてみて、判断をしてみれば良いと思います。

なお、本記事の目的に沿わないことから、私の個人的な情報は極力省いたつもりです。
ただ今後は、そういった「誰のためにもならないような個人的な考えや趣味の話」なども自己満足的に投稿していこうかなと思っております。

転職するしないに関わらず、私の長い拙文が、将来について考えるきっかけにでもなれば幸いです。

以上。お粗末さまでした。

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