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よすけ
2022年12月7日 22:54
家の近くには、小さな公園がある。 彼と二人で散歩をする時にいつも立ち寄る場所だ。ここはわたしたちのお気に入りの場所だった。なんてことない、ただの公園。何をするでもなく、すみっこにあるベンチに座って同じ時間を過ごす。 思えばわたしたちは座ってばっかりだ。家のソファーにも、浜辺の石段にも。横に並んで座るのが、きっとわたしと彼の遊び方なんだ。 わたしはそれが好きでたまらない。時間がゆっくり流
2022年12月4日 22:11
空にはうっすらと、雲が浮かぶ。 青空を青いまま残して、昇ってくる太陽の光がそれを白く覆っている。 ふわっとラップをかけるように。 二つの間に膜を張るように。 肝心な部分を隠している。 大切なものを見えなくしている。 こぼれそうになるのを塞いでいる。 わたしは何かに目を背けている。蓋をしている。 開けようとして少しでも動かすと、きっと崩れて落ちてしまう。 そしてきっと、それ
2022年11月27日 21:25
こういう景色、あと何回二人で見られるんだろうね。 そういう話をして、この季節が何回過ぎたんだろう。あの時から変わらない景色を、僕はあの時から変われないまま、懲りもせずに考えている。 あぁ、でも。 あの時よりも、今の景色の方が綺麗なのかもしれない。とにかく、僕は君と一緒にいることができなかった。 前に進もう。前を向こう。そう思って歩き続けてきたはずなのに。 考えることを放棄して
2022年11月23日 19:53
つい先日まで夏服を着ていた気がする。 なんだか寒くなってきたな、と思っていたら、いつの間にかコートを着て町を歩くようになっている。 そうやってあっけなく季節が過ぎていくんだよな。わたしは気づけずに、置いていかれる。 毎日毎日、一日一日を過ごす。一生懸命になって、時々立ち止まって、そんなのを繰り返す。気を抜くと秋の風に吹かれて枯れてしまう。 いつもそう。 わたしは秋が過ぎるのに気づか