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【ドラッグストア】お客様、私ではそのお薬は販売できません!

この話は、「一般教養」として中学・高校・大学(基礎教養科目)の「保健体育の教科書」に是非とも掲載して欲しいなぁ…と思っています。

皆さん、ドラッグストア等の小売店でどの様にお薬を購入していますか?
「制服を着た専門スタッフ」に相談して購入する方よりも、パッケージや価格を見て何となく選んでいる、昔から馴染みのあるものやCMで見たことのあるものを購入している方の方が多いような気がします。

治療中の病気がある・アレルギーや副作用の経験がある・妊娠中や授乳中である等の事情がある方を除けば、その買い方は間違っているとは言い切れないと私は思います。

今やネットで簡単に調べる事ができますし、「鼻からくる風邪に」「眠くなりにくい」等の製品の特徴や「してはいけない事」等の注意事項が外箱に記載されて選びやすくなっているため、なおさらその様な傾向になるのだと思います。
私も持病やアレルギーが無いので、以前はパッケージやCMでの宣伝文句を参考にして何となく選んでいました…。


《薬局なのに、この薬売ってないの!?》

上記の様な感じで、薬がより身近で手の届きやすいものになっています。
一部のディスカウントストアや家電量販店、ホームセンター等、意外な場所にもお薬コーナーがありますし…!

その一方で「ここ薬局なのにさ、何でこの薬が置いてない訳?」という事が接客する中で度々起きています。
お客様に理由を説明して、代替品をご提案したり、取り扱いのある店舗を紹介したりしていますが、「今どうしてもこの薬が欲しい!」と納得していただけないこともしばしば…。


《皆さんに知って頂きたい事》

そこで、皆さんに知って頂きたい事が2つあります。
1つ目は、先述した「制服を着た専門スタッフ」には「薬剤師」「登録販売者」がおり、それぞれ役割が違うという事。
2つ目は、市販薬には「リスク区分」というものがあり、その中には薬剤師しか取り扱えないものがあるという事です。
接客をしていて、「これらの事ってあまり知られていないなぁ…」と思うことが度々あります。

そのざっくりとした違いは以下の通りです。↓

薬剤師】

●処方せんの受付・服薬指導(調剤薬局併設店舗の場合)。
●要指導医薬品の販売。
●一般用医薬品(第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品)の販売。

※要指導医薬品・第一類医薬品は、薬剤師による書面を用いた情報提供を受けないと購入できません。

※制服は、カッターシャツに「白衣」を羽織ることが多い。


【登録販売者】

●一般用医薬品(第二類医薬品・第三類医薬品)の販売。
●お客様の「セルフメディケーション」のサポートをする。

※一般用医薬品の9割以上が、第二類医薬品・第三類医薬品とされています。

※制服は、薬剤師と区別する為に「前ボタンor前ファスナー」の「白衣とは異なる服」を着る。制服の色は企業によって異なる。

※正社員も一定数いるが、パート・アルバイト(主婦・フリーター・学生)の比率が高い。


《意外と多い!?要指導医薬品・第1類医薬品》

「処方せんが無くても購入できる薬の9割以上が、薬剤師さんがいなくても買えるんだ!」と思うかもしれませんが、広く名前が知られているお薬には、意外と要指導医薬品や第一類医薬品が多かったりするのです。

CMを作る際に「薬剤師のいるお店で!」という文言を強調して頂きたいものです…。

私が「接客する中でよく聞かれるもの」は以下の通りです。
全ての該当商品を挙げている訳ではないので、実際はもっとたくさんあると思います。
皆さんも一度は名前を聞いたことある商品のはずです…!


要指導医薬品】

●ナシビンメディ (持続性点鼻薬)
●サンヨード(殺菌消毒用点眼薬)
●オキナゾールL600(膣カンジダ再発治療薬)
●バップフォーレディ (過活動膀胱治療薬)
●ベルフェミン(足のむくみ改善薬)
●コルペルミン(過敏性腸症候群改善薬)
●イラクナ(胃腸薬)
●ロキソニン総合かぜ薬・コルゲンコーワLX錠・ルルアタックLX(ロキソプロフェン配合の風邪薬)
●アレグラFXプレミアム(鼻炎用内服薬)


【第1類医薬品】

●ロキソニンSシリーズ・ナロンRoxy・バファリンEX (ロキソプロフェン配合の解熱鎮痛剤)
●ガスター10 (胃腸薬)
●ヒアレインS (ヒアルロン酸配合目薬)
●タリオン (鼻炎用内服薬)
●ミルコデ錠A(鎮咳去痰薬)
●リアップ・スカルプDメディカルミノキ・LABOMOヘアグロウ (ミノキシジル配合発毛剤)
●ニコチネルパッチ(パッチタイプの禁煙補助薬)
●トランシーノⅡ (肝斑改善薬)
●エンペシドL (膣カンジダ再発治療薬)
●メンソレータムフレディCC1 (膣カンジダ再発治療薬)
●口唇ヘルペス再発治療薬
●排卵日予測検査薬
●バポナ殺虫プレート(ジクロルボス配合殺虫剤)

【その他】

※大塚製薬の「エクオール」配合サプリメント「エクエルシリーズ」は、薬剤師のいる医療機関・調剤薬局限定販売の商品です。

※最近のホットな話題だと、ドラッグストアで「コロナウイルス検査キット(抗原検査)の販売」や、実際に「検査業務」を行うには、「薬剤師」が勤務していなければなりません。
「登録販売者のみで営業している店舗」では、これらの業務はできません。


なぜ知っておいていただきたいかというと、せっかくの時間がもったいないですし、購入できないことで辛い思いをするからです。
小売店が少ない(店舗間の距離が離れている)地域だったり、徒歩や自転車でご来店される場合、あちこちお店を回るのは結構な負担になると思います。
それに、欲しい物がすんなり手に入らないと気持ちが塞がりますよね。

現状、全てのドラッグストア等の小売店で要指導医薬品や第一類医薬品を販売している訳ではないのです。
ちなみに私の勤務先は「登録販売者のみ」で営業しており、要指導医薬品や第一類医薬品は販売していません。

特に、ディスカウントストア・家電量販店・ホームセンター等の「薬を専門としない小売店」の場合、そもそも薬剤師は勤務していないと思います。

ドラッグストアは全国各地で乱立していますが、薬剤師さんが勤務しているドラッグストアはまだまだ少なく、希少価値が高いのです…!

そもそも「薬剤師さんの人数」が全国的に足りていないですし、「人件費が非常に高い」ので1つの企業で大勢の薬剤師さんを雇用する事ができません。

また、仮に薬剤師が勤務していたとしても、「夕方以降の遅い時間帯」や「土・日・祝日」は不在になる場合が多いのではないかと思います。

GW・お盆・年末年始などの「連休中」は、薬剤師さんがお休みされるので要注意。
鎮痛剤などの「常備薬」は事前に準備しておくことをオススメします。

薬剤師不在の時間帯に、どれだけ登録販売者に「何とか売ってください!」と言っても、「法律違反」になるため販売することができないのです。

これらの事を知っておくだけでも、確実に欲しいものが購入できる店舗へ足を運ぶことができると思います。


《まとめ》

皆さん、市販薬のリスク区分・薬剤師と登録販売者の役割についてお分かり頂けましたでしょうか?

皆さんのご家庭に置いてあるお薬、体調を崩した時に購入したことがあるお薬、CMで見て気になっているお薬のリスク区分はどうなっていますか?
また、お住まいの地域に要指導医薬品・第一類医薬品を取り扱っているお店はどのくらいありますか?

せっかくの時間をムダにしないためにも、あらかじめ調べておいて損はないと思います。ぜひ確認してみてください。

これからドラッグストア業界で働くことを考えている方も、よろしければ参考にしてくださいね。

※医薬品は市販後にも有効性・安全性等の確認が行われる仕組みになっており、それらの結果を踏まえて「リスク区分の見直し」が行われています。

例えば「ロキソニンのテープ剤とゲル剤」は、2020年8月に第1類医薬品から第2類医薬品に変更されています。
そのため、この記事は「リスク区分の変更」があった際には加筆・修正をする予定でいます。


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