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読書感想文

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2021年5月の記事一覧

読書記録006「私の奴隷になりなさい」サタミシュウ

読書記録006「私の奴隷になりなさい」サタミシュウ

会社の同じ職場の女性に惹かれるが、冷たくあしらわれる。そんな経験がいままでなかったから、主人公は一層その女性に執着するようになる。突然機会が訪れる。「今日、セックスしましょう」。そして、「ビデオカメラで撮ることが条件」だという。主人公は謎を抱えたまま、その女性と行為に至ることになる……。

官能小説でなくても性行為の描写は結局のところパターン化されているが、その限定された条件のなかでどのように性行

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読書記録005「可愛いかがわしいお前だけが僕のことをわかってくれる(のだろうか)」鹿路けりま

読書記録005「可愛いかがわしいお前だけが僕のことをわかってくれる(のだろうか)」鹿路けりま

――冴えない浪人生の主人公夢野巡のもとに悪魔ドロルフィニスが現れる、

この物語のテーマはなにか。

”魂の救済”。それである。

何事においても絶望し、なんどでも自殺しようとする主人公には、ドロルフィニスの導きで、それまでできなかったことが叶えられる。恋愛、金持ち、才能。ドラマの前半は、ラノベにふさわしいバトルが予想される下地にあてられる。好きな女性との恋愛模様、異能力を扱う敵、絶対的な兄貴。前

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読書記録004「ベケット・放浪の魂」堀田敏幸

読書記録004「ベケット・放浪の魂」堀田敏幸

「放浪」を軸に、ベケットの小説(戯曲は2本だけ)をいくつかの観点から考察している小論集。

先に断っておくが、僕はベケットの戯曲は結構読んでるが、小説の既読は二冊のみ。「モロイ」と「マーフィー」。積読本には「マロウンは死ぬ」「並には勝る女たちの夢」。

ベケットの小説はとにかく長くて苦しいから読み終えると読み終えた達成感でいっぱいになり、内容をほとんどなにも覚えていない、ということがままある。なの

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読書記録003「フィルス」アーヴィン・ウェルシュ

読書記録003「フィルス」アーヴィン・ウェルシュ

やってくれた。

ラストを読み終え、煙草を一服。

そして呟く。

ブラボー!

フィルス(filth)とは、「汚物」。そして俗語で「警察」の謂い。そして本作、アーヴィン・ウェルシュ3作目のタイトルであり、映画化もされている。

<警部昇進を画策する巡査部長ブルース・ロバートソンが、同僚たちを出し抜きながら、黒人が殺害された事件に挑む>

ではこれは、警察小説?犯罪小説?ちゃうね!これはそんな枠じ

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