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市内RPG 17レベル8

蛙神社で青いウシガエルを倒したぼくらのパーティーは全員レベル8になった。

戦士ヤスは相変わらず呪文を覚えない。

勇者のぼくは、火の呪文アツッと回復呪文ナムーを覚えていた。
しかし、今回のレベルアップでは何も覚えなかった。こんなこともあるのだ。

魔法使いヒラは呪文がそろってきた。
火の呪文アツッと強化呪文メチャアツッ。
水の呪文ツメタ。
雷の呪文ビリー。
どれも攻撃魔法だ。しかもビリーは金縛りの効果も期待できる。

僧侶カナも呪文が増えた。
回復呪文ナムーとその全体呪文ナムミナー。

カナは今回のレベルアップでさらに4つの呪文を獲得した。

視覚を鈍くするミエン。鋭くするミエルー。
聴覚を鈍くするキコエン。鋭くするキコエルー。

「頭をよくする呪文を覚えてくれればいいのに」
戦士ヤスが言った。

「そんな魔法、前から知ってるわ」
僧侶のカナが言った。

「本当に?」
戦士と勇者と魔法使いが飛びついた。
「本当よ」

「かけてくれ」
戦士ヤスが言った。

「じゃ、いくわよ」
ぼくらは息をのんだ。

カナは呪文を唱えた。

「シュクダイー、ジブンデー、ヤルコトー」

カナは笑っていた。

ヤスはまだ気づいていなかった。
「これで賢くなったかな」

ぼくとヒラは顔を見合わせた。

「その呪文は即効性はないみたいだよ」
魔法使いのヒラは言った。

「いつごろ効くんだ、カナ」
「たぶん、夏休みの終わりごろよ」

、、、そのころにヤスは気付くのだろう。

夏休みの終わりにはまだ時間がある。
宿題も気になるが、今は魔王を倒さなければ。

次の目的地は横熊山遺跡。歩いて目指す。

だって、近いから。

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