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フォトギャラリーからイメージした物語を並べてみました。
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#毎週ショートショートnote

発砲通報プロ【毎週ショートショートnote】

発砲通報プロ【毎週ショートショートnote】

この町は、2つのギャングに支配されていた。

パンッ、パンッ。
パンッ、パンッ。
乾いた銃声が響く。

銃声が聞こえたとたん、警察署のアラームが光った。
「G地区で、発砲を確認。緊急出動!」
パトカーがサイレンを鳴らしながら、急行する。
ギャングたちは一網打尽だ。
市民にまぎれた、発砲通報のプロがこの町には潜んでいるのだ。

その活躍もあって、2つのギャングは壊滅し、ボスたちは逮捕された。

パン

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一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

2030年、お風呂は全自動になった。
高齢化が進み、介護の人出が不足しているため、オートメイション化されたのだ。
服を脱いで、お風呂場に立てば、ブラシが体と頭をこすり、ボディシャンプーとシャンプーをかけて泡だらけにし、適温のお湯でそれらを流す。
風呂場から出て、着替えれば、お風呂上がりの完成である。

2035年、お風呂の全自動化の技術は、大衆浴場や温泉にまで行きわたった。あたらな技術として、ベル

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一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

「お兄さん、いらっしゃいませ。2分で脱いでくださいね。かごと札の番号を確かめてください。着衣所まで運びますからね。タオルは忘れずに持って行きますよ。さあ、こちらへ。」
「ここで、かけ湯をします。5回流します。湯加減はどうですか。かけますよ、それ。次は、鏡の前に行きましょう。」
「お背中を流します。ゆっくりこすりますね。気持ちいいですか。お兄さん、スポーツか何かをしていたんですか。それでは、流します

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隔週警察【毎週ショートショートnote】

隔週警察【毎週ショートショートnote】

「きゃあーーーー。」夜の街に女の声が響く。

「やめろーーーーー。」男の声も響く、
「誰か助けてーーーーー。」

「じゃまをするなーーー。」
バタバタバタバタ。走り去る足音。

「バッグを盗られたわ。警察に通報しなくちゃ。今週は来てくれるの?」

隔週法という法律が制定された。・・・働き方改革を推進する法律である。警察や消防、市役所などは、隔週で休みと業務を交互に行うことになった。
「よかった。今

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隔週警察【毎週ショートショートnote】

隔週警察【毎週ショートショートnote】

「きゃあーーーー」夜の町に女の声が響く。

「やめろーーーー。」男の声。
「助けてーーーー。強盗よーーーーー。」

「その手を放しやがれ。」
バタバタバタバタ。走り去る足音。

「警察に通報、、、、、、。あ、今日は第2週かーーーーー。」
隔週法・・・働き方改革を推進する法律が制定された。警察や消防署、市役所などは隔週で長期の休みをとるようになった。今週は警察が休みの週なのだ。
「大丈夫か。けががな

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復習Tシャツ【毎週ショートショートnote】

復習Tシャツ【毎週ショートショートnote】

この夏の試験を乗り越えなければ、留年が決まってしまう。

追い詰められたおれは、カンニングを実行することにした。

チャリティ番組で、紹介された不思議なアートをヒントにした。写真をたくさん並べて、一つの絵をつくるというものだった。なるほど、その手法を使えば、書かれた文字も絵のように見えるはずだ。
試験官の目をごまかすことができるだろう。

おれは、白いTシャツに、文字を書いていった。細かい文字でび

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復習Tシャツ【毎週ショートショートnote】

復習Tシャツ【毎週ショートショートnote】

やばい、この夏の試験を乗り越えなくては。留年が決まってしまう。

追い詰められたおれは、カンニングを実行することにした。

少し前にチャリティ番組で、不思議なアートが紹介されていたのを思い出す。写真をたくさん並べて、一つの絵をつくるというものだった。なるほど、その手法を使えば、書かれた文字も絵のように見えるはずだ。
試験官の目をごまかすことができるだろう。

おれは必死になってカンニングの道具を何

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粒状の総料理長【毎週ショートショートnote】

粒状の総料理長【毎週ショートショートnote】

気が付くと、夕方の海辺にたどり着いていた。

「もうお終いだ。」
そうつぶやいたとき、男が、そばに立っていた。

真っ青なエプロンに、白いコック帽、白い口ひげ。瞳は海の色。
「何か困りごとかね。」

おれは、王様に今日の夕食を作ること、気に入らなければ死刑になってしまうことを話した。

「私が手伝ってやろう。」

おれは、その男を連れて、お城の台所に向かった。

必死になって、考えていたレシピを完

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友情の総重量【毎週ショートショートnote】

友情の総重量【毎週ショートショートnote】

体が重い。重い足取りでとりあえず前に進む。
どうしてしまったんだろう。
よく思い出せない。

そう言えば、車が突っ込んできて、、、。

人の気配を感じて、見上げると、閻魔大王が目の前に座っていた。
「お前は、もうすぐ死ぬだろう。だから、ここに来たのだ。」

これから天国行きか地獄行かの裁きが始まるのだろう。

それにしても、体が重い。
地面がやわらかいのか、足がめりこみ始めた。あっと言う間に、ひざ

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てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショート】

てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショート】

お日様へ
どうか、どうか、明日は「晴れ」にしてください。
わたしをつくってくれた絵美ちゃんの運動会なんです。

今日まで一生懸命にダンスの練習をしてきたんです。
はじめは、ステップが上手にできなくて、泣いていたんです。泣いても練習をやめずにがんばっていたんです。お友達の萌香ちゃんが一緒にれんしゅうしてくれました。
絵美ちゃんだけじゃなくて、たくさんのお友達も応援してくれました。
少しずつ少しずつ上

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洞窟の奥はお子様ランチ【毎週ショートショート】

洞窟の奥はお子様ランチ【毎週ショートショート】

おれたちは、楽園を目指す!仲間とともに!

まずは、洞窟を進む。雑草をかき分けて行く。吹き付ける強風にも負けることはない。雑草をつかみながら前に進んだ。どんな困難も仲間がいれば、超えていける。

だが、そう簡単にはいかないものだ。

次は、谷が待っていた。どこまでも続く谷。底が見えない。途中、二手に分かれる道があったが、こっちで正解だった。ゆっくりと降りていく。向こうに行ったら、細い道に枝分かれし

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行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

「田中のやつ、また来てる。吉田もいるぞ。」
「向こうには、安藤もいる。」
「みんな早いなあ。ちょっと出遅れたな。」
おれと白河は、足を急がせた。

ここは最近できた大型家電ショップ「ワイダデンキ」だ。
はじめに見つけたのは、斉藤だった。
「知ってるか、ワイダデンキのテレビコーナーのこと。リモコンを操作すれば、好きなアイドルがすべてのテレビに立体で映し出されるんだぜ。」
「つまりは、推しにかかかか囲

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ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

ツノがある東館【毎週ショートショートnote】

支配人赤丸剛士、宿泊部長青野正弘、料理長黄島健太郎、仲居長緑埼優子、バイトリーダー黒川亮介は、心を一つに叫んだ。
「ゴーゴーゴー!レッツメイキング!!合体!いけだや別荘!」

怪獣と戦うため、「いけだや別荘」が合体する。

青野が運転する宿泊棟の東館が、天高く浮き上がった。
次に、赤じゅうたんの廊下とロビーを擁する中央棟が続く。中心部は、赤丸が守る。
そして、お食事処「大正ロマン」とキッチンが立ち

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ドローンの課長【毎週ショートショートnote】

「本日をもって課長職は降格。AIを搭載したドローンを課長職とする」

人件費の削減。AIの導入。
わが社は大変な改革を行った。

課長の人件費をドローンの経費に振り替えたのだから、数十台が導入された。一人に1台のドローンの課長が付いてくる。

出張すると、頭上に課長が浮かんでいる。ルートを変えようとすると、警告音が鳴る。
「すみません。トイレに。」
「行ってきなさい。」パワハラ防止機能も設定されて

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