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友情の総重量【毎週ショートショートnote】

体が重い。重い足取りでとりあえず前に進む。
どうしてしまったんだろう。
よく思い出せない。

そう言えば、車が突っ込んできて、、、。

人の気配を感じて、見上げると、閻魔大王が目の前に座っていた。
「お前は、もうすぐ死ぬだろう。だから、ここに来たのだ。」

これから天国行きか地獄行かの裁きが始まるのだろう。

それにしても、体が重い。
地面がやわらかいのか、足がめりこみ始めた。あっと言う間に、ひざまで・・・。
閻魔大王も驚いている。まわりの鬼たちも騒ぎ始めた。
「むむむ、どういうことだ。」

とうとう、全身が沈み込んでしまった。

このまま地獄に行くのだろう。

・・・・・。

目を覚ますと、病院の白い壁が見えた。体は動かせない。包帯で全身を巻かれている。

閻魔大王の声が響いてきた。
「友情の総重量でお前は下界に戻された。しばらくそこにいよ。」

私を心配して駆けつけてくれた友人たちがうれし涙を流しながら、ベッドの周りを取り囲んでいた。

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