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肥大化する経済 『くもりときどきミートボール』(2009)

76点/100


今回で、映画を見て、感想を伝える投稿が10本目。yeah!!

マガジンも作ってみたので、是非、拝読して頂きたい。


あらすじ


主人公 フリントロックウッドは、発明家だが、失敗作を作り続け、幼少期から、変人扱いされている。

靴紐がほどける問題を解決するため、噴射すると、スニーカーになるスプレーを作るも、脱着出来ず。

自走式のテレビを作るも、テレビが迷子になってしまう。

ネズミ鳥を作り、大量繁殖させてしまう。

そんな彼を支えたのは、母親であり、

"有名な発明家は、みんな変人扱いされている"

"あなたの個性を世界が必要とする"

とさとす。

時がたち、母親も他界してしまい、父親と二人暮らしのフリントロックウッド。

そんな彼の暮らす島は、大西洋の小さな島「スワローフォールズ」。

オイルサーディンの缶詰で、盛んだったが、工場が潰れ、売れ残ったイワシの缶詰を食べる生活に飽き飽きしてしまっている島民。

それを解決するべく、水を入れたら、食べ物が出てくる[FLDSMDFR](フリズムドファー)を開発するも、家庭用電圧では、足らず、配電用変電所で、電気を盗んで、給電するも、ロケットのように、天高く飛んで行ってしまう。

フリントは、街を騒がせてしまい、逃げ出した波止場で、お天気お姉さん見習いのサムスパークスと出会う。

街を騒がしたことで、テレビ中継が台無しになったと、フリントとサムは、言い争っているところに空からチーズハンバーガーが降ってくる。

それによって、街は、発展していくのだが。。。


父に理解してもらえない


スパイダーバースのフィルロード&クリスミラーの作品なので、いつか見ようと思って、ウォッチリストに入っていた。この機会に観てみることにした。

当方が見た作品は、レゴムービー1、レゴバットマン、ミチェル家とマシンの反乱、スパイダーバース1,2は、視聴済み。

『他者に理解してもらえない』

って言うのが、作品の特徴で、今作の主人公 フリントロックウッドも変人扱いされ、父親にも、呆れられてしまう。

同じようにオタクで、変人扱いされてきたサムスパークスと出会うことで、お互いに理解し、名声を失ったベイビーブレントがそれぞれの弱さ、コンプレックスを認め、武器にして、今作の問題である[FLDSMDFR]を止める話になっていく。

釣具屋の父 ティムは、自分の本音を息子であるフリントロックウッドに直接伝えることが出来ず、漁師のことわざでしか、会話が出来なかった。

最終的に、おさるのスティーブの翻訳機を使うことで、ティムは、自分の息子を

"誇りに思っていること"

"愛していること"

まっすぐに伝える。


ドッペラーウェザーレーザー2000ターボ


ゼリーの城にて、フロントがサムに対して、

"なぜ賢い話を途中で止めてしまうのか?”

指摘する。

サムは、自分の幼少期にバービー人形よりも、天気予報探知機の方が欲しいオタクであり、成長の過程で、周りになじむ為に、眼鏡を外し、シュシュをやめて、オタク的な会話を辞めた経緯を話す。

フリントロックウッドは、彼女の本来の姿を見て、眼鏡の時の方が素敵だと伝える。

その眼鏡をかけて、視野がクリアになったことで、本来、自分の欲しかった"ドッペラーウェザーレーザー2000ターボ"がすごく近くにあったことに気付き、それを武器にして、[FLDSMDFR]にたどり着くための気象を伝える重要な役になっていく。

このガジェット感がいい。

当方が一番思い入れのあるアナログシンセで、korg ms-20があり、昔、憧れた大人っぽさと古びた感じとオタク感がたまらない。

あと、サンプラーなら、mpc-2000とか。rolandのsp-404とか。

ベースなら、tr-303とか。

やめとこう。。。

とにかく、手軽だけど、優秀な昔のマシンに感じる憧れに

"わかってる~"

と伝えたい。


Swallow falls


今作の舞台スワローフォールズの看板の名前が何回も変化する。

swallow falls → swallow alls → chew and swallow → chew → chew and swallow 2

となる。

swallow falls
(堕落したものを飲み込む)

[FLDSMDFR]が飛んでいったことによって、fが外れる。

swallow alls
(すべてを飲み込む)

街おこしの為に、市長が名前を変更

chew and swallow
(よく噛んで、飲み込む)

ダムの巨大化した食べ物が暴れ、看板を壊し。

chew
(噛まれる)

エンドロール。

シューズスプレーで、フリントと父親のティムが始めた屋根のシーリング材の会社のロゴで、

chew and swallow 2
(よく考えて、飲み込む 2)

という変遷になっている。

chewは、「噛む」という意味と「熟考する」という意味がある。

父親 ティムの考えて、行動することを当てはめると、「よく考えて」の方が、正しいと思った。


肥大化した経済


リーマンショックが起こったのが、2008年。

今作が2009年7月にアメリカで、公開となっている。

今作のヴィランである市長は、

自分がこんなちっぽけな島じゃなく、ビッグになりたい。

キャラクターである。

あと先、考えずに、利益を追求した結果、スワローフォールズは、危機的ダメージを受け、関係ない諸外国にも、ダメージを与える。

リーマンショックのような話である。


また、本作の主人公 フリントも市長に"誰にも愛してもらえなくなるぞ"と脅され、消費社会に目がくらみ。サムの忠告も聞き入れず、サムの天気予報への愛情を否定しまう。

欲望によって、本当に大事なものが見えなくなるフリント。

眼鏡によって、本当に欲しいものを見つけるサム。


swallow fallsの看板の変化もあり、この作品が単なるファミリー映画ではなく、リーマンショックを子供に非常にわかりやすく伝えるような機能も付随しているように思う。


感想


失敗作が後から効いてくるのは、見ていて、爽快。

フライングカー2などの炎の噴射や爆発。街並みの紹介映像。にリアルな映像が入っていて、この頃から、スパイダーバース味を感じてしまう。

パスタのトルネードが『すずめの戸締り』感があって、すごくよかった。

新海誠氏は、影響を受けたのかなと思った。


今作は、利益を追求する消費社会へのアンチテーゼの意味合いがある。

消費社会は、食べ物への感謝やマナーや、謙虚さを忘れ、欲望につき走ってしまう。

他者を重んじず、利己を重要視してしまう。

ティムのように、『愛してる』と他者を重んじる事が社会に重要なことだと教えてくれる。


ここまで、読んで頂き、ありがとうございます。
愛してるぜ!!

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