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ファミリームービーと見せかけて、お仕事映画 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 (2014)

75点/100


一回目観たら、50~60点ぐらいかなと思ったが、二回目観たら、考えが変わったので、この点数に。

先入観は、よくないと思わされる。

あらすじ


主人公 カールキャスパーは、レストランのチーフをしている。

彼には、パーシーという別れた妻 イネズとの間に息子がいる。

2週間に1回、息子 パーシーと過ごす事が出来る。

パーシーは、父とお互いに交流を深めたいと思っているが、カールは、料理の腕はいいが、父親として、自信がない。

そんなある日、カールのレストランにブロガーで、批評家のラムジーミチェルがやってくることになる。

カールは、新しい料理を提供したいが、オーナーのリーバにいつものメニューを出せと言われる。

やむなく、いつものメニューを出すと、ブロガーのラムジーにブログで、"古臭い"と酷評されてしまう。

twitterのダイレクトメッセージで、レビューに対して、反論したつもりがリポストになっており、世間で、盛り上がってしまう。

カールは、憤りから、"新しいメニューを出すから、食べに来い"と挑発してしまう。

しかし、オーナーのリーバに契約上、厨房では、自由だと言われていたが、自由ではなく、"いつものメニューを出せ、出せなければ解雇にする"と脅される。

カールは、レストランを去ることを決意する。

ブロガーのラムジーは、前回のメニューと同じことに"カールは、逃げ出した"と挑発する。

それにカールは、怒り、レストラン内で、公開のバトルをする。

それがネットに拡散してしまい、無職の上、職も見つからなくなってしまう。

パーシーと約束した[ニューオリンズで、ベニエを食べに行くこと]も立ち消えになってしまう。

それを危惧して、元嫁のイネズにマイアミに行くのに、子守として着いてきてくれないかと打診される。

カールは、昨晩、ワインセラーのモリーに[パーシーとの時間を作ってあげる]よう諭されたのを思い出し、泣く泣く、それに応じる。

マイアミで、過ごす中で、イネズに前々から誘われていたフードトラックをすることを決めるカール。

前のレストランで、助手だったマーティンとカール、夏休み中のパーシーの3人で、行く先々で、料理を販売し、ロスまで、帰るロードムービーとなっていく。


パーシーの成長


フードトラックを洗車している際に、冷蔵庫のトレーが臭すぎて、投げ出すパーシーに

"仕事なんだから、嫌なこともしなくちゃいけないんだ"

と注意するカール。

また、洗車終わりにカールは、報酬一人の料理人(仕事人)として、ナイフをパーシーに買ってあげる。

焦げたパンを無料なんだからと提供しようとするパーシーに仕事の誇りを教えるカール。

ファミリー映画に見えて、実は、お仕事映画でもあることに気付かされる。


パーシーは、それまで、ベジタリアンだったが、肉を食べ、ビールを飲み。下ネタで笑うようになる。

股間にコーンスターチをふりかけているカールとマーティンを見て、真似てみる。

それまで、シングルマザーと乳母の女性の中で、育ったパーシーが男だけのロードトリップを通して、一人の男へと成長する。


働く意味


前のレストランで、助手だったマーティンは、そのレストランで、2番手のシェフになったことをカールに報告した後、すぐに仕事を辞め、マイアミに飛び、給料の出ないカールのフードトラックに乗車する。

これは、マーティンがボスであるカールと仕事がしたいからである。


カールが最初に、シェフを始めたマイアミからロサンゼルスまでの旅を通して、カールが料理をお客に提供し、喜びを感じることで、仕事の楽しさを再発見する。

それまで、カールは、5年間、同じメニューをお客に提供し、仕事の意味を無くしていた。

責任感から孤独になり、パーシーを厨房に入れることが出来なかった。

自分の仕事に自信を持てていなかったのだ。

そんなカールが自分の足跡を辿りなおす事で、仕事の意味を取り戻し、自信も取り戻すことで、一人の父親になっていく。


人に頼れない男と頼れる女


カールは、Al Green - tired of being aloneの人形劇を観て、自分を重ねている。


嫁が去っていき、お客に自分の料理を提供出来ず、孤独で、誰にも頼れず、息子のパーシーにも、かっこいい父親を演じなくては、いけない強迫観念の中にいる。

イネズは、エージェントやカールの前の旦那であるマーヴィンにも頼る。

そんな彼女にカールは、"乳母なんていらない"と言う。

劇中に登場するパーシーの父、元旦那のマーヴィンは、プライドが高く、カールと小さなことで、マウント合戦をする。

男は、プライドが高く、頼ることが苦手だ。

そんなカールがイネズに頼り、マーヴィンに頼り、マーティンに頼り、息子のパーシーに頼ることで、彼自身が成長する。

最後には、自分の弱さを息子のパーシーに伝えることで、父と息子という本来の形になっていく。


感想


料理が美味しそうだった。

特に、スカーレットヨハンソン扮するモリーのまかないペペロンチーノがめちゃくちゃ美味しそうだった。

食べたことないのに、シンプルな料理が多いので、味が想像できるのが良かった。


スカーレットヨハンソンもイネズを演じたソフィアベルガラも無駄にセクシーだった。

ロバートダウニーjrは、相変わらず糞野郎だった。

マーティンは、人に頼める唯一の男で、何でも、卒なくこなせる役。ジョンレグイザモにすごい説得力があった。

ジョンファブローは、キャスト力が高い監督だなと改めて、思わされた。


今作は、twitter、facebook、vineが映画の中で、非常に大きな意味を持っていて、カールを傷つけるものとして、登場していたが、最終的に"1日1秒"の思い出ムービーで、親子を再認識するツールとして、機能していた。


全体を通して、仕事とは、親子とはを伝えると共に、頼れるときは、人に頼りましょうという映画だった。


ここまで、読んで頂き、ありがとうございます。
愛してるぜ!!

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