Yoshi-Yuki Makino 牧野泰之

樹木効能研究家 / 木工家 28歳で大手設備メーカーを辞めて、飛騨高山に移住して家具職…

Yoshi-Yuki Makino 牧野泰之

樹木効能研究家 / 木工家 28歳で大手設備メーカーを辞めて、飛騨高山に移住して家具職人の道へ。 家具を作ったり樹木の研究をしたり、小さな森の豊かな恵みに触れながら25年。 株式会社FUSHI 代表取締役 https://linktr.ee/fushi_tree

最近の記事

ヒノキ皮剥き間伐をしてみた

昨年の春に皮剥きしておいたヒノキ。上を見上げれば、葉もなくなり枝だけになっている。一年半ほど経つので、枯れて乾燥が進んでいると判断し、伐採することにした。 いつもの通りの受け口、追い口を作り倒そうしたが、倒れない。クサビを打ち込んでも倒れない。よく見ると、隣の木の枝に倒れかかり、そのまま立っていた。根もとは切れているのに、、、さて、弱った。 下から順に切り刻んでいこうかと思ったが、木材として利用したいのでそれはできない。そこで根もとに近い部分を引っ張って、無理やり引き倒す

    • 木はどれも一緒じゃないよ / ウッドショックによる国産材人気 / 信用ベースによる木材トレーサビリティ / 次世代木材産地判定技術の開発・世界へ発信

      木材のトレーサビリティは、現状、信用ベースに頼っている。それが産地偽装や違法伐採に繋がっていることに、木を扱う人は皆気づいているが、とても管理しきれないので、最終的には木はどれも一緒でしょという横着な扱いをしている。 ウッドショックから始まった国産材人気は、おそらく今後産地表示を差別化に使おうする業者が多くなると想像する。 森林面積の多い飛騨高山だが、飛騨の木材市を眺めてみても、他県からの木材が多く出品されており、その後それらの産地はきちんと明示されていくのかとても心配。

      • 大工を見てると、将来の木工の姿が見えてくる

        新築中の建物を建てる中で、大工というものが想像していたものとだいぶ変わっていることに気づいた。 今から20年ほど前に自宅を建ててもらった大工は、全て手刻みだった。その当時でも少なくなっていたので、今思うと仕事を依頼できて本当に良かったと思う。室内を見回すと、至る所にコミセンと呼ばれる、ホゾを抜けないようにするための部材が顔を覗かせている。その部材の角は鉋か鑿で綺麗に削ってある。長さが微妙に違うのは、手仕事を感じさせ愛嬌さえ感じる。 建前も壮観だった。土台に立つ柱のホゾがき

        • 建築と環境アレルギー

          ここ数年、木材から揮発する成分(とても低濃度!)が、どう人に影響しているかを大学と研究しています。影響具合は脳波で調べています。2022年春、その分析結果の一つが出たのですが、とても興味深いものでした。人が香りとして認識できる濃度まで高めたものには無反応なのに、認識できない低濃度まで薄めたものには脳波に変化があるのです。(この時は、鎮静時に出るθ波が増) 大学研究者としては逆の結果だったようですが、私としては想像通りの結果でした。森林浴、フィトンチッドなど森林の効能が言われ

        ヒノキ皮剥き間伐をしてみた

          SDGs未来都市 岐阜県高山市主催 期間限定オンライン展示会 ”めぐるめぐらす” に参加します|エコフレンドリー|サーキュラーエコノミー|新しい言葉が次々と生まれ人々の関心は”自然”へ|樹木の成分が広げる世界|個人名で出展する意味とは

          ここ数年、人類が環境に負荷をかけてきたツケがまわってきているように感じます。気候変動しかり、ウイルスしかり。経済は大きな打撃を受け、多くの人たちは自分の置かれた状況を見直す機会を得ました。そしてこのようなタイミングで、高山市はSDGs未来都市に選定されました。 昨年同じ時期にあった展示会の流れを組むものですが、今年はSDGsを意識して企画された展示会となっています。当初は会場を用意し、リアルで行なわれる予定でしたが、度重なる緊急事態宣言の発令によりオンライン化されました。

          SDGs未来都市 岐阜県高山市主催 期間限定オンライン展示会 ”めぐるめぐらす” に参加します|エコフレンドリー|サーキュラーエコノミー|新しい言葉が次々と生まれ人々の関心は”自然”へ|樹木の成分が広げる世界|個人名で出展する意味とは

          運命の出会いで入手したモンスターウルシ・まさかの製材拒否!さて困ったウルシの製材・原木から染み出す驚異の樹液パワーは別格・師より教わるその対処法とは

          今年も多くの原木を入手したが、最後の最後に出てきたのがウルシだった。岐阜県産ではなく長野県産ということもあり、入札を見送るつもりだった。過去にかぶれ、全身醜い水泡まみれとなり、二度と触るものかと誓った苦い経験があるので、その時点では記念に写真を撮っておくつもりだけだった。土場に並ぶ姿をみてその太さに驚き、興味津々なるも、体質によっては樹液の揮発成分にも反応すると知る今、少し離れて腰を引きながらの撮影となった。その写真たちが以下のもの。 ウルシというとウルシを採取する(漆掻き

          運命の出会いで入手したモンスターウルシ・まさかの製材拒否!さて困ったウルシの製材・原木から染み出す驚異の樹液パワーは別格・師より教わるその対処法とは

          自然ツアー・生きている樹木の姿を眺め、木材のサステナブルを考える・使われている木材がどんな環境でどのように育ったのか知っていますか・子供たちにこそ体験して欲しい

          私たちが使う飛騨高山の木材。木材市場に並んでいる原木を見ても、どんな葉をつけ、どんな樹形をしていたかを想像できる人はいません。細かったり、少し曲がったり、節があると、価格が下がってしまうので、輸送費をかけてまで運ぶことはしません。基本、太く、まっすぐな原木のみが並ぶことになります。 でも、山に入って木を眺めていると、細く、曲がった木が実に多いことに気づきます。私たちが好んで入手する原木たちは、実は特別だったと気づくのです。 実際に原木から見ている私たちでさえ、こんな状態な

          自然ツアー・生きている樹木の姿を眺め、木材のサステナブルを考える・使われている木材がどんな環境でどのように育ったのか知っていますか・子供たちにこそ体験して欲しい

          新しい試み・伐採現場を見学、立木の状態で木材を購入・完全なトレーサビリティ・伐採業者の進む高齢化・新規参入の少ないこれからの林業と木材活用を考える・木材のストーリーを愛するお客様のための家具を作りたい

          飛騨の山間部に住んでいますが、伐採現場をみる機会は非常に少ないのが正直なところ。もちろん危険な作業のため関係者以外は立ち入り禁止で、見たくても近づけないのが普通です。仕事がら日常的に製材された木材や木材市場に並ぶ原木は見ますが、立木の状態を知ることはありません。どんな樹形をしていたのか、どんな状態で伐採されたのかは全く知ることができないのです。 木材のトレーサビリティの必要性を叫んでかなりの時間が経ちますが、どんな山のどんな場所に生えていたのかは情報として集めきれずにいまし

          新しい試み・伐採現場を見学、立木の状態で木材を購入・完全なトレーサビリティ・伐採業者の進む高齢化・新規参入の少ないこれからの林業と木材活用を考える・木材のストーリーを愛するお客様のための家具を作りたい

          クラウドファンディング こぼれ話

          初めてのクラウドファンディング始まりました。 今回は、新しい商品を生み出すためというよりも、新しい木材活用をするための研究資金を募る意味合いが強いのが特徴です。 そこで選んだのは、日本で唯一の学術系クラウドファンディング「academist アカデミスト」。研究支援を受けたいので気軽に申し込んだのですが、エントリー条件が厳しい。研究組織に所属していて、過去に論文を発表していることが条件でした。 今年の春に、木材研究をするキュアウッドラボを設立していたので最初の条件はクリ

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          クラウドファンディング こぼれ話

          竹の新月伐採を参観・竹林の空気は樹木林とは異なる印象・驚異の成長スピード・サスティナブルな資源として注目したい

          10/17木の大学講座(主催:阿部藏之氏) 秋の特別編に参加してきました。今回のテーマは、竹の新月伐採。竹と暮らすokisayaさんは自ら新月伐採した竹を使用してカトラリーを製作しています。その伐採現場の参観でした。 あいにくの雨模様でしたが、竹林の中はそれほど雨を感じません。茂った葉が雨を避けてくれているようです。少し霧がかった竹林に踏み込むと、その空気感の違いに気づきました。

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          家具のデザインに思うこと

          ドイツで60年前に出版された家具の本を持っています。見ると驚くのですが、ほぼ今ある家具のデザインソースが載っています。今も家具を作る人間は、少しでも目立とうとデザインをこねくり回しています。 これって結局、家具業界が持つ需要を、皆で取り合っているに過ぎません。かつては自分もその中にいましたが、そんな家具づくりが嫌になりました。 新たな価値を見出し、新たな需要を生み出す。 これが私の仕事だと思っています。

          家具のデザインに思うこと

          いつまで続けるのか こんな家具づくり

          国内で家具に使われる木材の92%が輸入材。そのうちの13%が違法木材のリスクがあると言われています。国産材ならばいいかというとそうでもなく、結局、トレーサビリティ材(どこで伐採されたかの情報を持つもの)でなければ違法木材の温床です。生産者の意識が低いため、長年何も変わっていません。コロナが時代のスピードを加速させたと言われる今日この頃、もしかしたら消費者の方々の意識変化がこの状況を変えるのではないかと思うのですが、そんな情報を流す人は他に見ないので、やっぱり何も変わらないんだ

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          家具職人が空気を測定する事業を始める理由

          木材が空気中に出す成分を利用して、家具づくりをしています。 と書いても、ほとんどの人が?でしょう。まず、木から何か出ているとは誰も思っていません。実際、私たちの周りの多くの木材は塗装されているので、何も出していないか、逆に塗装から有害なものが出ているくらい。昨年、木材を県の施設に持ち込んで分析してもらったところ、実に多くの成分を放散(揮発)していることがわかりました。この放散成分を活用して、室内を人にとって良い成分で満たし、住まいを快適にできないかと取り組んでいるのです。

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          木材のオーガニック成分で床下抗菌・防カビ

          岐阜飛騨高山の各地でも豪雨の被害がありました。幸いにもこちらでは亡くなった人がいなかったのが、せめてもの救い。九州各地での被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。 知り合いの住まいも床下浸水の被害を受けましたが、谷の水が行き場を失い貯水。床下に入り込んだ水は、隣の田んぼの土が混ざったぐらいで、比較的綺麗な水でした。とにかく出来るだけ畳の下の板を切り、作業をしやすくしたのが良かったようです。水も吸える掃除機で一緒に細かい泥も吸えたし、スポンジによる人海戦術(床下に

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          樹齢53年・地域の暮らしを見てきた桐の木の伐採(2)

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          飛騨川氾濫・床下浸水・床下清掃作業ボランティア

          飛騨川が氾濫しました。この氾濫とは別に、大雨の影響で谷からの大水や土石流で各所で被害が出ています。知り合いの家も罹災しました。 原因は山に放置された間伐材が水路に流れ込み、引っかかることで堰を作ってしまったこと。溢れた山水は容赦無く住宅地を襲い、家の外に置いてあるゴミ箱やプランターなどが地域の排水溝に詰まり、水の逃げ場がなくなり水位が上昇。床下浸水の被害を受けました。車も浸かってしまいました。 山に栄養をという考えで、間伐材はほぼ放置されています。何もなければいいのですが

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