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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #21:俯瞰的な捉え方

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は21回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

#18から#20まで3回に渡り、組織におけるNo.2の役割と重要性を説いてきましたが、No.2シリーズは今回で一度打ち切りとします。複数回に渡り本トピックを深堀したのは、それほど組織におけるNo.2の役割が重要だという事です。「#18: No.2の役割」では、No.2に求められる役割とその能力について、「#19: No.2の責務と役割分担」では、飛信隊を例に、その役割をどのように各副長が補っているのか、また、No.2というのは複数人でも構わないという点についても触れました。「#20: 機能しない組織」では、優秀なトップや部下がいるにも関わらず組織として機能しなかった大国楚の汗明軍についてまとめました。詳しくは過去の記事からご確認ください。

No.2の最後を飾るのは、趙の金毛についてです。

ここで金毛!?キングダムファンからは失笑や疑問が出そうですが、実は私も金毛については、なぜ彼が将軍かつ、三大天に近いと言われた慶舎の副官を務めていたのか甚だ疑問でしたが、58巻の死ぬ直前に彼の重要性について腑に落ちたのでまとめます。

地味なキャラクター故、皆さんあまり記憶にないかと思いまので、今一度金毛という将軍について簡単にまとめます。上記にも記載した通り、金毛は趙の将軍であり、慶舎軍の副官を務めます。キングダム内での金毛の描写は慶舎が討たれた黒羊の丘の戦い、と、その後の朱海平原の戦いになります。その朱海平原の戦いで、飛信隊軍師の河了貂を討ちに出ますが、仁淡兄弟により逆に討ち取られます。このように、戦歴やキングダムを流し読みしていると、全く活躍しない雑魚将軍の一人として捉えそうですが(実際私も最初はそうでしたが)、ではなぜ彼が李牧も認める三大天の最後の席に近いという慶舎の副官を務めていたのか、という観点から読み返してみると、金毛はNo.2として非常に優秀かつ、慶舎という変わった武将にとって最高のパートナーだった事が伺えます。金毛の優秀な言動を見ていきます。

1) 冷静かつ先が読める。
黒羊の丘の戦いでまず感じたのが、金毛は非常に冷静だという事です。戦の途中、総大将かつ自分のボスである慶舎が討たれてしまいます。この時代の武将達ならば、ここで大きく取り乱すか、自分の命を投げだし玉砕覚悟で主の元へ行くというのが普通の武将です。実際キングダムでもほとんどの武将がそのような行動を取っています。しかし、金毛は落胆し怒りに震える場面はあるものの、大きく取り乱したり、意味のない玉砕を命じる事は行いません。むしろ、その戦の副将を務めた紀彗に判断を委ねたり、岳嬰を叱ったりと、冷静に対処します。趙国にとって最も良い選択をすぐに考え、選ぶ目を持っています。これは、感覚で物事を捉える本能型の武将である慶舎にとっては非常にありがたい側近だったという事がわかります。

金毛 1

2) 自分の意見をしっかりと述べつつも、上下関係をわきまえる。
上記にも述べましたが、金毛は慶舎が討たれた後、副将である紀彗と話し合いをし、総大将死亡の情報を隠し戦い続けます。また、桓騎軍の脅迫で紀彗が自身の城である離眼城に引き返すという選択にも、そのリスクをしっかりと伝えた上で位上位者である紀彗の意見を受け入れます。これはどちらもイレギュラーな対応で、本来なら取らない対応なのですが、戦い続ける事は趙国勝利という目的の為、紀彗の意見を受け入れる事は、上官に従順という意味でNo.2の人間としては、優れていると言えます。特に紀彗に対しては、客観的な観点に基づいた自分の意見をしっかりと述べた上で責任者に決定権を任せるという点は副官として完璧な対応になります。

3) 俯瞰的な捉え方
最後に朱海平原の戦いにおいて、飛信隊の頭脳である河了貂を討ちにいく時の事です。金毛は本戦において李牧軍の将軍の一人として、パッとした活躍もせずに無難に戦っていました。終盤で、飛信隊が横から攻めてきた時にもかなり押し込まれます。その中、あのごちゃついた戦場で相手の中枢部が河了貂であると見抜きます。そして、自分でも言っていましたが、金毛は「自分は俯瞰的に物事を捉える事ができる」ので、河了貂までたどり着けると言い、討ちに出ます。俯瞰的と言うのは、客観的もしくは鳥瞰的ともいいます。この場合は鳥瞰的の方が近いニュアンスになります。つまり、「高いところから見下ろし眺めること」ができる能力になります。戦場においては、鳥やドローンを使ったように、広い視点で瞬時に全ての位置情報を把握する非常に優れた能力になります。ですので、混戦になればなるほど、その能力が活かされます。李牧や王翦、など超一流の戦術眼を持った武将や、ひょうこうや信など、超本能型の武将に見られる特徴になります。金毛はこの戦いで、結果、仁淡兄弟に討たれてしまいますが、金毛の能力の凄さを垣間見たシーンでした。

金毛 3

このように、金毛という武将は一見なんでもないような将軍ですが、No.2として、特に慶舎という武将にとっては最高の右腕だったと言えます。「#18: No.2の役割」でも述べましたが、No.2はNo.1のような派手さやカリスマ性はそこまで必要ありません。組織の要として、ボスもチームも影でコントールできる金毛のような武将がいると、組織がすごく安定します。

ビジネスにおいても、全員が全員社長やリーダーになる必要はないのです。それを支えるのが得意な人も世の中に多くいますので、自身の性格や特徴を考えて、俯瞰的に将来について考えてみてはいかがでしょうか。

では、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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