漫画キングダムから学ぶ会社経営 #20:機能しない組織
本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は20回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。
前回、前々回と成功する組織運営としてのNo.2の役割ついてまとめました。「#18: No.2の役割」では、No.2に求められる役割とその能力について、「#19: No.2の責務と役割分担」では、飛信隊を例に、その役割をどのように各副長が補っているのかをまとめました。また、No.2というのは複数人でも構わないという点についても触れました。詳しくは各記事をご覧ください。今回は優秀なNo.2がいても失敗する組織の例についてまとめたいと思います。
その組織とは大国楚の汗明軍です。汗明と言えば、ご存じの通り、合従軍の時の大国楚の大将を務めた楚の大将軍になります。臨武君が言うように、大国楚で将軍になる事、ましてや大将軍になる事は他国と比べて何倍も競争が激しく、まさに汗明は楚における武の象徴として現れます。汗明曰く、過去には秦六大将軍の王齕にも重症を負わせたとの事で、天下無双を自負します。その最強を誇る汗明軍はなぜ失敗した組織になるのでしょうか。
一言でいうと、合従軍の戦いにおいて、兵の数で劣る蒙武軍に負けてしまったからです。その理由は、蒙武の汗明を上回った武力だけではなく、あの戦いにおいてはNo.2が機能していなかった事が大きな敗因になります。
汗明軍には、副長とは描写されておりませんが、貝満、剛摩諸、仁凹という3人の側近がおり、No.2の役割を担っております。これら3人は全員軍師かつ、貝満、剛摩諸は将軍の位という、一見鉄壁のNo.2(達)に見えます。しかしながら、彼らは相手の動きや作戦に対してそれらしい事は言うものの、蒙武軍の図中にまんまとはまり、結果、蒙武vs.汗明の戦いまで持っていかれてしまいます。汗明の武力に絶対的な自信があるので、あれは汗明軍にとっても望む所だと言う意見もあるかもしれませんが、負けてしまった以上、そんな事は言い訳にしかならず、例えボスの汗明がそれを望んでいたとしても、それを阻止し、最善の形で戦に勝つように持っていくのがNo.2の役割になります。「#18: No.2の役割」でも記載しましたが、No.1の為にも、チームの為にも、広い視野をもって修正する能力はNo.2に求められます。ましてや、この3人は軍師という戦略を練る専門家であるというのにも関わらずあんなに易々と突破されては、組織として機能していないと言わざるを得ません。組織として機能させるつもりがないのならば、最初から組織など持たず、龐煖のように個だけで戦えば良いのです。途中失敗はしましたが、自軍の媧偃を使って、一騎討の助けに向かった禍燐の方が、組織の長としてよほど優れている事が伺えます。実際、その後禍燐は楚軍で重要なポストにつき、秦国にとっての大きな壁となる事が容易に想像できます。
このように、如何に優秀なトップと配下がいても、お互いの役割をしっかりと果たさなければ、組織としては機能しない事がわかります。特に戦にとって重要な事は、まず、死なないというのが最優先課題になります。そのうえ、どのように相手の領土を取るか、武将を倒すかという話になります。
ビジネスにおいては、各組織によって求められる事は異なりますが、何が一番大事なのか、何のためにこのチームは存在するのかを考えなければなりません。その目的に向かっての適材適所になります。昔、プロ野球で巨人軍が他チームの4番ばかりお金で獲得するが、優勝ができない事がありましたが、適材適所を見誤ったチームや組織としての運営の失敗例になります。
皆が働きやすく、また力を発揮しやすい組織にするためにも、トップの人間はお互いに意見を交わせるNo.2を置き、お互いに信頼関係を築くべきだということです。
今回は汗明軍という、キングダム内でも意外とファンが多い、大国楚の軍及びそのNo.2達について、機能しない組織として考察しました。
では、また次回。
注)写真はすべて漫画キングダムより引用