見出し画像

漫画キングダムから学ぶ会社経営 #41:王になる手段、呂不韋と王翦の違い

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は41回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回#40では「出世と独立」というテーマで、王翦将軍の王になりたいという願望は、現代で言う、出世の先に行きつく独立・起業ではないかという事で考察しました。まだお読みでない方は、こちらのリンクよりご確認ください。

さて、今回は、キングダム内でもう一人、王になる事を夢見た男、呂不韋について考え、前回まとめた王翦将軍との違いについてまとめたいと思います。

呂不韋に関しては、史実にも歴史の教科書にも出てくるような、実在した超大物です。キングダムはあくまで、史実を基にした漫画なので、今回の内容は実際の呂不韋ではなく、漫画キングダムにおける呂不韋として捉えて頂ければと思います。(どのキャラクターにも言えることですが。)

呂不韋は、元は町の商人で、その商売力で、一商人から丞相のさらに上の位「相国」にまで成り上がった、サクセスストーリーの持ち主です。呂不韋の出世の基盤は商売なので、彼の歴史、人脈、などから察するに、財力は恐らく小国の国家予算レベルだったと想像できます。一代でこれほどの大富豪になったのは、現代のGAFAM創業者に似ていると言えます。また、呂不韋は商売だけでなく、話術やビジョンなど、人間としてもかなり魅力的であったと言えます。昌平君や李斯、蔡沢と言った超大物を部下に抱えていたことからも容易に伺えます。しかし、彼は最終的には謀反により失脚、もちろん位も全てはく奪され、史実では自殺、漫画内では自殺に見せかけ、放浪の旅に出るという流れで恐らくこれ以上キングダム内で出てくる事はないでしょう。

呂不韋 2
なぜ、彼は王族以外の道では中華トップクラスの成功を収めたにも関わらず、謀反など起こしてしまい、失脚したのでしょう。これは、当初から描写されていますが、彼も「王様」になり、本当のトップになりたかったからです。しかし、ここでの「王様」は前回「#40:出世と独立」でまとめた王翦将軍の王様になりたいという目標とは大きく違います。王翦将軍の場合は、自身で新たな王国を作り上げる、ビジネスで言うところの独立・起業ですが、呂不韋の場合は現王(嬴政)を自身の罠により失脚させ、自身がそのまま秦国の王になるという、完全なる謀反、ビジネス的には、かなり悪意のある乗っ取りで、色合いが完全に異なります。

このような乗っ取りや謀反に近い行為は現代ビジネスや会社でも、規模の違いはあれど多くみられます。大きな規模だと、社長の座を奪うために、また、小規模では、自分が出世する為に、同期やライバルを実力ではなく、姑息な手段で蹴落とすなどです。しかし、私の経験上、このような考えややり方で出世する人間は呂不韋のように最終的に破滅しています。そして、王翦将軍のように独立志向の人間も少ないながら会社にはいます。どちらも野心があり、出世欲が強いので一見同じ人種に見えますが、周りの人間、特に上司となる人達は彼らは別の人種だという事を理解しなければなりません。独立されると、優秀な人材を失うので会社としては損失になりますが、大きな視点でみると、最終的には、独立、成功する人間は恩を返すような人が多く、利益となって返ってくるでしょう。しかし、ご想像、またはご経験の通り、人を騙したり、落とし入れたりして出世する人間は、会社にとって癌でしかありません。それにまとわりつくハイエナのような人間も同じく会社にとっては最終的に不利益をもたらします。

組織の上に立つ人達は、自分自身が仕事をできる事も重要ですが、このように、部下や周りの人間にもしっかりと目を配り、会社や組織にとってどのような利益、もしくは損害をもたらすのか、しっかりと見極める必要があります。「#8:実は最強のリーダー!?蒙驁将軍」でもまとめましたが、蒙驁将軍はこのように人を見極める目が非常に優れていました。実際、危険人物扱いで窓際に追いやられていた王翦将軍救い出し、自軍の副将に迎え入れたのも蒙驁将軍です。出世欲や野心が強い部下は仕事もでき、優秀な人間が多いのも事実ですが、自分の思いが強い故、逆に周りが見えなくなっている事も多々あります。上司として正しい道しるべを示す必要があります。

今回は前回の王翦将軍に続き、王になる事を夢見た男、呂不韋の生き方を王翦将軍との比較で考察しました。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?