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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #35:新人教育で伝えたい事

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は35回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回、前々回とトレーニング関係のお話をしました。前々回は「#33:教育の種類と重要性」というテーマで、社員教育の種類やそれぞれのメリットをキングダムに出てくる教育プログラムと照らし合わせて考察しました。また、前回は「#34:OJTの意義」という事で、OJT(実務を通しての教育)を通じての部下の成長と、上司は何を学ばせたいか。という点についてまとめました。まだお読みでない方は、まずはそれぞれの記事をご覧ください。今回でトレーニングシリーズは一旦終わりとして、最後に新人教育で上司や先輩が最も伝えたい、伝えるべき事は何かをキングダムに照らし合わせて考察します。

キングダム内では兵隊、軍師問わず、様々な教育プログラムがある事は、前回、前々回とお伝えしました。その中でも最も印象に残っている教育(この場合は新人教育)がありました。それは、飛信隊、副歩兵長松左の新人に対する接し方でした。松左の最期に関しては、個人的には王騎将軍の死と同じ位のインパクトと涙をもたらしてくれました。具体的に見ていきましょう。

ご存じの通り、松左は飛信隊結成時からの古参で、飄々とした性格、視野の広さ、客観的な物事の捉え方を兼ねそろえていて、短気で感情的な他の古参達と上手くバランスを取り、飛信隊には欠かせない存在でした。崇原という剣の達人の歩兵長と共に、副歩兵長として、飛信隊の原点である、歩兵隊を取りまとめます。崇原は完全に個の強さで歩兵長として、背中で引っ張るタイプですが、松左は人当たりの良さとコミュニケーション能力でチームをまとめます。この二人のリーダーの関係はチームとしてとてもバランスが取れています。

趙の中枢都市、 鄴攻略に向けて、飛信隊は隊の増員と強化を求められ、飛信隊にも1000人の難関試験を突破した隊員が入隊します。新人のほとんどが歩兵なので、必然的に副歩兵長であり、コミュニケーション能力に長ける松佐が新人教育を任されます。松左は、新人たちに基本的な陣形や戦略と同様に、より大事な事を伝えます。それは、以下の3点です。

1) 先輩や上司が尻ぬぐいをするのは当然
これは、朱海平原の戦いで度々出てくるシーンですが、松左や崇原は新人達をよく助けに行きます。お互いを助け合うという意味では当たり前かもしれませんが、本来なら戦争中の緊迫した状況なので、そこまで周りに気を配る事はあまり効率的ではありません。しかし、松左や崇原は、中長期的な彼らの成長を促す為、あまり過保護にはせず、ピンチになるまでは放置。そして、瀬戸際で助けるというOJTを行います。また、助けた事に関しては、上司が部下を助けるのは当たり前だという姿勢を崩しません。結果、松左は最後、干斗達を助けた事により戦死してしまいますが、上が下の人間を助けて当たり前という、組織において最も大事な考え方を松左は新人達に伝えました。

松左 干斗

2) 個々の成長が隊の成長と直結する
単純に計算すると、より大きな組織や軍であるほど、組織の中における一人当たりの貢献度というのは薄れてきます。例えば10人のチームにおける1人と、1,000人の組織における1人では、責任感が100倍違う、という計算です。しかし、これは本当なのでしょうか?私はどちらかというと腐ったミカン理論の方がしっくりきます。1人の愚かな行為は周りにも伝染し、大きな組織でもすぐに機能しなくなります。逆も然りで、1人の優れたリーダーにより、周りが感化され、1,000分の1以上の効果をもたらす事は少なくありません。松左が最後、自分の命に危険がある事を承知の上で、干斗達新人を助けにいったメッセージはここにあると思います。5,000分の1(当時の飛信隊は5千人隊なので)の命ではなく、自分達のミスは周りを巻き込むことがある事。また、そうならない為には、どんな大きな組織でも個々の成長がマストであり、強いては、それが隊の大きな成長につながる事。を伝えたかったのだと思います。

3) トップと同じ夢を見る幸せ
また、朱海平原の戦いにおいては、終始、隊長信と飛信隊員の絆の強さが描かれました。特に信が飛信隊員を鼓舞して、力を貸してくれというシーンは名シーンでした。あの時も、松左は「信と同じ景色を見たくなる」と新人達に声をかけます。これは組織において非常に重要なメッセージになります。トップの見る景色や目標をしっかりと隊員と共有することにより、隊の結束及び強みが増します。このような事は、経験を重ねると見えてくる場合もありますが、一生理解できないまま、チームを去る人も少なくありません。新人で経験できるのは紛れもなく大きな財産で今後の成長の柱となります。

松左 1

これらの教えは、全て現代ビジネスにも応用できます。

上司が部下を守るのは当たり前ですが、そのような器の大きい先輩は自社にどれくらいいますか?また、あなた自身がしっかりと部下を守る事ができますか?
大企業にいても、常に自分の成長を促し、周りに影響を及ぼす存在になれていますか?
経営者の方は自分のビジョンをしっかりと共有できていますか?社員の方々は社長や部門長の景色を見て仕事に臨めていますか?

皆さんも今一度、自身や自社を松左や飛信隊に照らし合わせて、4月から入ってくる新入社員の方々に接してみてはいかがでしょうか。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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