高橋慶生

コピーライターです。

高橋慶生

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記事一覧

名もなき偉業

自分の子どもの誕生日というものは、やはり特別だなと思う。大きくなったねえ…と、最近毎日のように言っている気もするが、本当に日々、ぐんぐん育っていく人間たちと生活…

高橋慶生
3年前
13

記事寄稿)障害の当事者って、誰のことなんだろう。

オンラインで実施したイベントのレポート記事を、電通ダイバーシティラボのcococolorに寄稿しました。 一緒に登壇したのは、難聴児とその家族のサポートに取り組む、株式…

高橋慶生
3年前
2

書くことは、託すこと。

自分が書いた言葉で、企業が、そこで働く人が、変わってほしいと願うこと。 それを願い、祈りながら、私は書く。 言葉は、私の願いを乗せて、旅立ってゆく。 一人ではで…

高橋慶生
3年前
3

結晶化する

ある考えや情報が手元にあるとき、 そこにある種の「圧」をかけてみる。 ギューッと圧縮して余計なものを振り落としていくと、 そこに力が生まれてくる。 それが上手く…

高橋慶生
3年前
1

下書きと上書き

完成するまえの文章を、下書きと言う。 書き直す、書き換えることを、上書きという。 ならばその間は、何というのだろう。 下書きと上書き。 すべての文章は、そのあい…

高橋慶生
4年前
2

書くことは、聴くことなのかもしれない。

あ、と思う瞬間があった。この記事を書いているときだった。 2回にわたって学校を取材させていただいた。話を聞いて、現場を見て。 そこに光るものを、できるかぎり曇り…

高橋慶生
4年前
7

何色を見ているか

色のついたものを、 必死に見ようとしていたのかもしれない。 鮮やかな色。濁った色。 明るい色。くすんだ色。 でも、いちばん見えていなかった色は、 透き通った色だった…

高橋慶生
4年前
3

まだ名前のない幸せを

自分はコピーライターとして何をしたいんだろう。何を拠り所に書いていくんだろう。いまのところの答えは、この1行です。 それは、まだ誰にも見つかっていない幸せかもし…

高橋慶生
4年前
3

ミュージカルは一枚画のクリエイティブだ、と思った。

ご縁があって、ミュージカルの舞台を観に行った。 音楽座ミュージカル「7dolls」。 舞台はときどき見に行くけれど、ミュージカルは、ほぼ初めて。 きっとストーリーのな…

高橋慶生
4年前
9

アタマの中に大阪人を住まわせる

生まれも育ちも大阪なのだが、就職して東京に来て、気づけば人生の半分が関東在住という計算になる。 コピーライターという職業だからなのか、いまではすっかり流暢な「東…

高橋慶生
5年前
5

ひらかれた内省

以前このnoteにも記したが、ひとりで深く潜る時間、をとても大切にしている。 「自分の中での問答というものだけがその人を育てる」 この言葉に何度支えられたのかな、と…

高橋慶生
5年前
3

見つかった、を見つけてくれる人。

企画をする。アイディアを出す。そういう仕事をしていると、日常的に、自分のアイディアを誰かに伝えるシーンがあり、誰かのアイディアを聞かせてもらう場面がある。単に良…

高橋慶生
5年前
6

おにぎりふたつ

コンビニの棚の前に立って、さて何を食べようかと考える。 おにぎりをふたつ買おうとするとき、無意識に「違うものふたつ」を選ぼうとしていることに気づく。栄養バランス…

高橋慶生
5年前
6

「うまい」より「うれしい」

200ページに満たない文庫本だけど、内容の濃密さがすごい。 すごくいい本でした、ということなのですが、中でもこれはものすごい言葉だぞ、とハッとさせられた一説があり…

高橋慶生
5年前
10

いつか思い出すひとこと

この言葉は一生忘れない、 というほど強い感覚ではなく、 でもふとしたときに、 また思い出すだろうなと予感する言葉。 …って、いいなと思うのです。 なんとなく伝わるで…

高橋慶生
6年前
11

できないことは、ふえるほうがいい。

仕事をはじめて10年以上たちますが、 できることがふえた、という実感よりも、 ああまた、できないことが見つかった、という 絶望(ちょっと言いすぎか)のほうが、 体感的に…

高橋慶生
6年前
5
名もなき偉業

名もなき偉業

自分の子どもの誕生日というものは、やはり特別だなと思う。大きくなったねえ…と、最近毎日のように言っている気もするが、本当に日々、ぐんぐん育っていく人間たちと生活することは、この上ない幸せだなと思う。

子どもは天真爛漫だ、という言葉をときどき耳にする。そのたびに、本当に?と思う。子どもは怒られても数分経つとケロっとしているとか、昨日のことなんて忘れて今を楽しんでいるとか。

少なくとも自分はまった

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記事寄稿)障害の当事者って、誰のことなんだろう。

オンラインで実施したイベントのレポート記事を、電通ダイバーシティラボのcococolorに寄稿しました。

一緒に登壇したのは、難聴児とその家族のサポートに取り組む、株式会社デフサポの牧野友香子さん。

話しているだけで、こちらがエネルギーをもらえるような方です。

記事の中でも触れましたが、このイベントで私がテーマにしたのは「障害の当事者って、誰のことなんだろう」ということ。なんの話?と思われる

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書くことは、託すこと。

書くことは、託すこと。

自分が書いた言葉で、企業が、そこで働く人が、変わってほしいと願うこと。

それを願い、祈りながら、私は書く。

言葉は、私の願いを乗せて、旅立ってゆく。

一人ではできないことを、言葉に託している。

私の代わりに、力となってくれることを願いながら。

結晶化する

結晶化する

ある考えや情報が手元にあるとき、

そこにある種の「圧」をかけてみる。

ギューッと圧縮して余計なものを振り落としていくと、

そこに力が生まれてくる。

それが上手くいったものが「結晶」になる。

結晶になると、持ち運びができる。

こんなのどう?と他の人に見せられるし、

あ、こっちと組み合わせよう、と楽しんだりできる。

いい結晶は、ひとつとして同じものがない。

下書きと上書き

下書きと上書き

完成するまえの文章を、下書きと言う。

書き直す、書き換えることを、上書きという。

ならばその間は、何というのだろう。

下書きと上書き。

すべての文章は、そのあいだにあるのかもしれない。

それでも書く意味があるとすれば、

いましか書けないこと。

自分しか書けないこと。

もし、いまここに、この人間がいなければ、

生まれなかった言葉。

いつも、それだけを目指して書いていけばよい。

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書くことは、聴くことなのかもしれない。

書くことは、聴くことなのかもしれない。

あ、と思う瞬間があった。この記事を書いているときだった。

2回にわたって学校を取材させていただいた。話を聞いて、現場を見て。
そこに光るものを、できるかぎり曇りなく、伝えたいと思った。知ってほしいと思った。

そのために、どんな視点で書けば良いのか。どんな言葉を選べば良いのか。それだけを考えているうち、ふと、「書いている」という感覚がなくなった瞬間があった。

書くことが上手くなりたい、とずっと

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何色を見ているか

色のついたものを、
必死に見ようとしていたのかもしれない。
鮮やかな色。濁った色。
明るい色。くすんだ色。
でも、いちばん見えていなかった色は、
透き通った色だった。
色を見ようとしても見えない色。
ああ、透明だったのか、
ということがわかるまでには、
たくさんの色を見る時間が必要だった。
そういうことなのかもしれない。
澄んだ湖面は、透き通っている。
人は、光それ自体を見ているのではない。
光に

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まだ名前のない幸せを

自分はコピーライターとして何をしたいんだろう。何を拠り所に書いていくんだろう。いまのところの答えは、この1行です。

それは、まだ誰にも見つかっていない幸せかもしれない。それは、誰かの心の中にはあるけれど、みんなが「それそれ」といえる名前がついていない幸せかもしれない。

名前は、まだない。それは、可能性しかないのだと思う。
#熟成下書き

(このハッシュタグも「名前をつける」素晴らしい言葉だと

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ミュージカルは一枚画のクリエイティブだ、と思った。

ミュージカルは一枚画のクリエイティブだ、と思った。

ご縁があって、ミュージカルの舞台を観に行った。

音楽座ミュージカル「7dolls」。

舞台はときどき見に行くけれど、ミュージカルは、ほぼ初めて。

きっとストーリーのなかで「歌う」ことがメインとなるのだろうな、とイメージしながら、席に座る。

幕が開く。

え、なんか次々登場する俳優さんみんな、めっちゃいい声・・・。って、すぐに引き込まれていったのだけど、このシーンのあたりで、ふと気づいた。(

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アタマの中に大阪人を住まわせる

アタマの中に大阪人を住まわせる

生まれも育ちも大阪なのだが、就職して東京に来て、気づけば人生の半分が関東在住という計算になる。

コピーライターという職業だからなのか、いまではすっかり流暢な「東京弁」を操って生きている。大阪の人間は、大阪弁/関西弁(この2単語の使い方を間違えるとアブナイ)を「方言」「なまり」と呼ばれることを極端にきらう。それとおなじ温度で「標準語」という表現も素直には受け入れがたいものがある。

「なまり、出な

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ひらかれた内省

ひらかれた内省

以前このnoteにも記したが、ひとりで深く潜る時間、をとても大切にしている。

「自分の中での問答というものだけがその人を育てる」
この言葉に何度支えられたのかな、と思う。

これは自分が野球というスポーツをやっていた影響が、少なからずあると思う。野球は、チームスポーツであると同時に、残酷なまでの一対一の競技でもある。マウンドに立つのはひとり。打席に立つのはひとり。応援はできる。アドバイスも送れる

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見つかった、を見つけてくれる人。

見つかった、を見つけてくれる人。

企画をする。アイディアを出す。そういう仕事をしていると、日常的に、自分のアイディアを誰かに伝えるシーンがあり、誰かのアイディアを聞かせてもらう場面がある。単に良し悪しをジャッジするというだけでなく、テーブルに乗せた「アイディアのかけら」のようなものからブレイクスルーが生まれることも多々あるし、メンバー同士のアイディアが化学反応を起こしたりもする。

ひとりで考えていて「あ、これいいかも」という瞬間

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おにぎりふたつ

おにぎりふたつ

コンビニの棚の前に立って、さて何を食べようかと考える。

おにぎりをふたつ買おうとするとき、無意識に「違うものふたつ」を選ぼうとしていることに気づく。栄養バランス的には「いろいろ食べなさい」なので、理には適っているのだが。

休日に出かけた先で同じようなシチュエーションがあり、息子が迷わず「いくら」「いくら」のふたつをカゴに入れたんです。

え?同じのだよ?と聞いたら「だっていちばん好きなのだもん

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「うまい」より「うれしい」

「うまい」より「うれしい」

200ページに満たない文庫本だけど、内容の濃密さがすごい。

すごくいい本でした、ということなのですが、中でもこれはものすごい言葉だぞ、とハッとさせられた一説がありました。同時に、本当の意味でこの言葉を理解できていないな、という歯がゆさもあり。

ここに書き留めておきたくて、滞っていた更新をようやく再開した次第です。

コピーライターという肩書から、ぼくはいまでも「なにかうまいことを言う人」のよう

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いつか思い出すひとこと

いつか思い出すひとこと

この言葉は一生忘れない、
というほど強い感覚ではなく、
でもふとしたときに、
また思い出すだろうなと予感する言葉。

…って、いいなと思うのです。
なんとなく伝わるでしょうか。

実例でご説明します。

今週、会社の歯科検診に行った。

ひととおり歯科衛生士さんに見てもらい、
歯も歯ぐきも健康ですね、お疲れ様でした〜
のあとに、ぽろっと、

「ご両親に感謝ですね」と、
何気なく言われたんです。

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できないことは、ふえるほうがいい。

できないことは、ふえるほうがいい。

仕事をはじめて10年以上たちますが、
できることがふえた、という実感よりも、
ああまた、できないことが見つかった、という
絶望(ちょっと言いすぎか)のほうが、
体感的にはだいぶ多い。
そんなことないですかふつうは。

その度にどっと疲れるので、
できればもう少し
楽しくやれればなと思うのですが、

それはちゃんと向かい風のほうへ
歩いていることなんだ、と思い込ませて、
その事実そのものを礼賛するべ

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