何色を見ているか

色のついたものを、
必死に見ようとしていたのかもしれない。
鮮やかな色。濁った色。
明るい色。くすんだ色。
でも、いちばん見えていなかった色は、
透き通った色だった。
色を見ようとしても見えない色。
ああ、透明だったのか、
ということがわかるまでには、
たくさんの色を見る時間が必要だった。
そういうことなのかもしれない。
澄んだ湖面は、透き通っている。
人は、光それ自体を見ているのではない。
光に照らされたものを見ているのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?