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「へっぽこ大航海時代」フリーランス嫁 &元会社員夫の移住日誌

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東京から瀬戸内海の島へ、移住3年目。迷いに迷うフリーランス嫁と、新米ハンター夫の「へっぽこ移住」実況中継。目指すは「自給自足」?!
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【第1話】来年、たぶん移住します。どっかに。

【第1話】来年、たぶん移住します。どっかに。

◇移住シンクロ率400%となった男 「来年の事を言えば鬼が笑う」というコトワザがありますが、笑っていただきましょう。

――来年、ド田舎に移住します!!

 え、どこにと聞かれましても……、場所はまだ決めておりません。時期も分かりません。仕事の当て? ないっすよ、そんなもん。ないないづくしのフルコース。でも行くのです! 行かねばならないのです!!

 ここまで宣言するからには、よっぽどの熱意がある

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【第2話】獣をこの手で殺して喰っておきたい

【第2話】獣をこの手で殺して喰っておきたい

 グハハハハー、お前ら皆殺しじゃぁ~! なんて襲いかからないのでご安心を。今回は、自給自足とかそういう方面の話である。

 先日、夫から「田舎に移住する&自給自足だ」と宣言されて焦ってはみたものの、例えば、獣を狩って殺して食べることなんかは、「死ぬまでに一度は経験したいリスト」に元々入っていたことだ。だって、考えてみたらおかしくないですか? 我々だってオオカミやミジンコと同じ地球生物。スーパーで真

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【第3話】 移住か、別居か

【第3話】 移住か、別居か

◇城を更地に戻す感覚 ンモー、困った。いつ八丈島から書類通過の通知が来てもおかしくないのである。夫はこちらの生活に未練がない。決まれば即座に荷物をまとめて、大海原へと旅立つであろう。私はついていくのか、それとも別居か。考えは何もまとまっていない。落ち着け、落ち着くんだ自分。

 どうしても引っかかるのは仕事のことなんである。そもそもフリーランスの人間にとって突然の移住とは、今まで築き上げた城をいっ

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【第4話】移住先、決まっちゃいました

【第4話】移住先、決まっちゃいました

◇みかんとタオルと水軍と

 新天地が決まりました、しかも4月頭には引っ越すみたいです。早いと3月末かも。まさかこんなにトントン拍子で移住が決まるとは、当の本人たちも実感がわかないワケで……。

【みかん/タオル/村上水軍】

 さて、移住先はどこでしょう? このヒントだけで分かった方は、すばらしいインテリジェンスの持ち主だ。ウルトラクイズ出られるかも、センター試験通るかも。

 正解は、愛媛県今

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【第5話】移住にまつわるお金の話、仕事の話(1)

【第5話】移住にまつわるお金の話、仕事の話(1)

◇給料もらえて住宅もタダ?! 地域おこし協力隊  移住って言ったら、一番心配なのは「お金」のことでしょう。いくら出費が減るとしても、ある程度の現金収入は必要だ。交通費とか病院とか、あと税金! 息してるだけで1人5~6万円ぐらいはブッ飛びますぜ。おー、怖っ。

 瀬戸内海に縁もゆかりもなかった我々が、どうして愛媛県今治市で生活できる(正確には「生活できそう」)のか? それはもうひとえに「地域おこし協

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【第6話】移住にまつわるお金の話、仕事の話(2)

【第6話】移住にまつわるお金の話、仕事の話(2)

◇フリーランスが「移住します」とクライアントに告げてみたら… 前にも書いたが、ライターやカメラマンにとって、都会にいることは仕事を確保する上で非常に有利であるーーというのが私の見解であった。だから、突然地方(しかも島)に移住するなんてクライアントに告げたら、その時点で仕事は打ち切られるだろう。「便利」の切れ目が「縁」の切れ目だ。

 最近の収入は、だいたい月22~23万円。保障のないフリーランスに

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【第7話】移住11日前、やっと新居確定!

【第7話】移住11日前、やっと新居確定!

 ついに引っ越しが3日後に迫る。忙しすぎてブログなんて書いている場合ではないのだが、状況・心境が刻一刻と変わる中、なんとか移住前に「今」を焼き付けておきたいとパソコンに向かった次第である。殴り書きだが、それもまた一興。許してちょんまげ。



 3月30日に引っ越すというのに、物件の候補が役所から送られてきたのが3月11日。やはりそこは島時間なんだろうか?

 翌週の18日、我々は飛ぶようにして

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【第8話】恐怖の引っ越し費用、そして移動スケジュール

【第8話】恐怖の引っ越し費用、そして移動スケジュール

◇3月末は禁断の引っ越しシーズン! ジプシーのように頻繁に引っ越しをしている我々夫婦。たとえ大阪だろうが愛媛だろうが、楽勝楽勝……とタカをくくっていたが甘かった!! 3月末~4月頭は引っ越し屋さん超繁忙期。トラックがないと断られる、運良く残っていてもベラボーに高い! 

 ってことで、秒速で金の出ていく今日この頃なのであった。

 埼玉県蕨市~愛媛県今治市。夫がやっと見積もりにまで漕ぎつけた3社の

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【第9話】カルチャーショック備忘録

【第9話】カルチャーショック備忘録

 大三島(おおみしま)に引っ越して12日が経った。皆さんに伝えたいことは山ほどあったのだが、ネットやスマホはおろか、固定電話さえ通じない通信ゼロ週間だったのである。我が家にはテレビがないので、直接訪問以外の手段において外界との接触は文字通り皆無だった。何が一番辛いかって、「ググれない」ことほど辛いことはない。だって今までの生活じゃ考えつかないような、初めてぶち当たる難問ばかりだったんだもん。ネズミ

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【第10話】続・カルチャーショック備忘録

【第10話】続・カルチャーショック備忘録

 移住26日目。ようやく住まいも整い、一日のリズムがつかめてきた。昨日あたりから仕事モード全開。ぶるんぶるんアイドリングしまくりなのだが、ギアをトップに入れる前に、またしても記しておきたい。前回に続き、カルチャーショック。

②人間連鎖、シナプスの如し こっちに来て驚いたのは、町中の人たちがまるでシナプスで繋がっているかのように、超ナイスな連携をとっているということだ。シナプスって、脳の細胞と細胞

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「伊東建築塾」が再確認させてくれたコト

「伊東建築塾」が再確認させてくれたコト

 前回の話からは脱線しちゃうんだけど、ちょっと箸休めということで。「古い建物の改修にふれると、こっちの身体感覚まで物凄く生き返る」という話です。

 今から79年前(昭和11年)に建てられたという元・法務局(松山法務局 大三島出張所)をコミュニティースペースとして蘇らせる試み。題して「みんなのいえ」プロジェクト。

 建築家の伊東豊雄さんという方がはじめた「伊東建築塾」の塾生さんたちが、改修作業に

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【第11話】カルチャーショック備忘録・完

【第11話】カルチャーショック備忘録・完

 夫はイノシシの解体を習いに、下界に出かけてしまいました。そんな夜にピッタリの話題です。田舎暮らしカルチャーショック、最終章。

③ここは「動物たちの歌舞伎町」である 大三島の人口は約7000人。島ポテンシャルとして多いんだか少ないんだか分からんが、一つ言えることは「人間より動物の方が圧倒的に多い」ということ。自分が寝起きする場所でほぼ24時間、常になにかしらの生き物が幅をきかせている。鳥の盛大す

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【第12話】後出しジャンケン

【第12話】後出しジャンケン

 我が家の裏にある竹やぶには、実に様々なお客さんが訪れる。蚊やムカデは長期滞在型だが、一見さんとしては、電話の受話器みたいな巨漢ナメクジとか、「勝手口に邪魔な枯れ枝が落ちてるなぁ」と思って近づいたら子ども傘サイズのヘビだったり。伊勢うどんみたいなミミズも30センチはあったっけ。無駄にデカい。

 こうなってくると、『となりのトトロ』とか『南国少年パプワくん』作った人にメチャクチャ親近感わきますよ。

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【第13話】そして食い意地は張っていく①

【第13話】そして食い意地は張っていく①

 田舎に行くと「おすそ分け」という習慣があるらしいとは聞いていたが、本当だった。私が最初の洗礼を受けたのは、移住して2週間目のこと。

 こっちのおすそ分けは、スケールがデカい。「キャリーで」というのが、島の人たちの合言葉みたいになっている。キャリーとは、スーパーの買い物かごを二回りぐらい大きくしたサイズの籠。黄色やオレンジが多いかな。農家さんが収穫したミカンを入れておくのに使うのだが、野菜のおす

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