吉野かぁこ

フリーライター/「カラス友の会」主宰・カラス雑誌『CROW'S』発行人|共著…

吉野かぁこ

フリーライター/「カラス友の会」主宰・カラス雑誌『CROW'S』発行人|共著『狩猟用語事典』(山と渓谷社)、『Voyagerーー虐待サバイバー、救済の物語』(花伝社)、編集協力『狩猟者のためのハンドクラフト教書』(山と渓谷社)/ ご連絡は ysnoaymi@yahoo.co.jp

マガジン

  • SMよ、人生をひっくり返してくれ

    他人に怒れない私が「怒りの練習」のために、SMバーでS嬢としてデビューする体験ルポです。子ども時代に虐待をうけた後遺症の克服にもなればと、身体を張って実験中!

  • Arts & Culture

    アートやギャラリー「脳の裏庭」のことetc. しまなみ海道のことが中心、たまに遠征。 Graphics:wirestock/出典:Freepik

  • 「へっぽこ大航海時代」フリーランス嫁 &元会社員夫の移住日誌

    東京から瀬戸内海の島へ、移住3年目。迷いに迷うフリーランス嫁と、新米ハンター夫の「へっぽこ移住」実況中継。目指すは「自給自足」?!

  • 江戸中期から伝わる「皮なめし」をイノシシでやってみた

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「現役市長」の仕事部屋には、トロフィーと革張りのソファがあるのか? 確かめに行ってみた

自分がフリーランスということもあって、人の仕事部屋を見るのは好きだ。 本棚やデスク周りって、人柄や仕事への向き合い方が出たりするからだ。特に普段「縁が遠い」と思っているような職種の方であれば、未知の世界をのぞくようでなおさら興奮する。 そんなある日。ひょんなことから、現役市長の仕事部屋を見せていただくことになった。 きっかけは、先月5月21日に行われた愛媛県今治市のシンポジウム。 今治市といえば、今治タオルや造船で知られているが、私はここに移住したライターという立場でパ

    • 【父の死12日目】遺産放棄もラクじゃない

      父が急に亡くなってから12日目。お葬式をしてから8日目。 ここに書くことで、怒涛のように押し寄せる有形無形のものを消化しようとしているんだと思う。今しか感じられない、今だけのこと。明日はわからない。 実印をつくる、そこはパリピ仕様で 今日は、印鑑をつくった。 印鑑登録をして、実印にするためのものだ。社会人が持つ中でたぶん最高峰のハンコ。 父の遺産をぜんぶ母にあげるために必要なのだという。 どうやら口頭で「私は遺産いらないから。あとはヨロシコ」って、母と弟に伝えるだけでは

      • 親って本当に死んじゃうものなんですね

        6月18日、父が人生を完成させました。 70歳、がんの転移でした。 コロナもろもろで3、4年会ってなくて、父は入退院繰り返してもわりと元気にやってたの。なのに6月11日に突然母から「今月いっぱいもたないらしい」と戸惑った声で電話あって、その日のうちに埼玉に飛んで帰って―― たった7日だぜ。 ウソみたい。 まだ70歳だよ、あと10年ぐらい遊べたじゃん? 夢落ちかドッキリでしょ?って今も思ってる。 でも、いつまで経っても、「どっきり大成功!」のプラカードを掲げた芸人は現れな

        • SMよ、人生をひっくり返してくれ㉒ それじゃ悪いSになっちゃう(前編)

          虐待の経験から「人への怒り方」を見失ったオトナが、SMというシステムの中で「怒りのぶつけ方」を探すという試み。 前回のレポートから、だいぶ時間が経ってしまった。 なんでそうなったのか、現時点では自分でもはっきりとはわかっていない。考えるのが怖かったのかもしれない。だからここで書きながら見つけたい。 店長貸し切り、ガチンコ6時間「お悩み相談」 キッカケは、昨年夏に行った広島のSMクラブ「Z(仮名)」だ。SM歴の長い店長を貸し切れる「お悩み相談」コースを予約し、昼の1時ごろ

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          色なんて、好きに呼べばいい

          春めいた道を歩いていて、気づきました わたしは、わたしを整理して きれいに陳列することに疲れました インスタ写真にはテーマの統一が大切です Xの自己紹介欄にはアピールしたいことを そのために切り捨てた、渋滞したわたしの一部 もうたくさんです 雑草はすべてすてきです ぼうぼうの草を刈って整えたくなる性の 造園業者は必ずいます その人が好きに刈ってくれたらいい、お任せします わたしはぼうぼうのままで、ぼうぼうと広がり 疎まれ、時に朽ち果てることにしました わたしは、自分を編

          色なんて、好きに呼べばいい

          ひとりぼっちのバランス

          鍾乳洞のしずくが 人知れず垂れるように 遠くの島から ぽつんと朝日が生まれた やあ、この世界へようこそ 朝日の誕生は ひとりぼっちで見て その感動を コートの下に抱きしめたまま 寒空の下を帰りたい ひとりであることがうれしく ほこらしくある わずかな時間 ベッドのぬくもりに包まって 誰かと見る朝日も 特権階級みたいでよかったけど 私は 今のところ光るしかない君と 同じ空気を嗅いで ここにいたい 朝日もひとりぼっち 私もひとりぼっち それで おあいこ になることが さ

          ひとりぼっちのバランス

          赤外線ドローンで夜の野生動物を探す、サッカー岡田監督に”護られた”公園で

          今週、岡山理科大学獣医学部のとある活動チームからお誘いいただき、「ドローンで夜の森を捜索する」というイベントに参加してきた。 思えばドローンってちゃんと触れたことなかった。夜の獣たち、どんな風に見えるんだろう? 今回の舞台は、愛媛県今治市にある「しなまみアースランド」という公園。運営しているのは、サッカーの岡ちゃんこと岡田武史監督率いるFC今治の会社だ。 なぜスポーツチームが公園の運営を?と思ったら、岡田監督って40年以上も環境保護活動に関わっているんですね。FC今治の

          赤外線ドローンで夜の野生動物を探す、サッカー岡田監督に”護られた”公園で

          西陣織がテクノロジーと現代アートに狂い咲いていた

          布がアツい。最近、ヒートテックの超極暖で悦に入っていた私をぶん殴るような新商品が現れた。 「布に電子回路をプリントしていて、布そのものが発熱します。電源を入れると5分で約80℃まで上がります」というショルダーバッグで、その中に入れておくとレトルト食品を温められるらしい。 「運動部でがんばる息子に温かいお弁当を食べさせてあげたい」という親心からの開発だったそうだが、80℃ってローストビーフとか作れちゃうレベルじゃん。布、いったいどうなってるんだ。どこまで進化する? 進化と

          西陣織がテクノロジーと現代アートに狂い咲いていた

          「たった3滴のお茶でもてなす」という茶道の世界をのぞいて来た

          京都の宇治でたててもらった抹茶がおいしすぎて、困っている。 それは先月末に旅行で訪れた、お茶と宇治のまち交流館「茶づな」だった。 イートインのような喫茶スペースだったので侮っていたが、泡がスタバのカプチーノのように滑らかで濃密だったのだ。はふーん、とろける。 驚いてお店の人に「茶せんでたててるんですか?」と聞くと、「はい、そうですが」と当然と言わんばかりの涼しげな京都スマイル。これがお茶所の矜持か。 おいしいものの罪とは、身の回りの「そこまでおいしくないもの」を色褪せ

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          フィジェットトイを身に着けて

          今朝、Amazonからフィジェットトイが届いた。 無限プチプチが好きな人なら、きっと好きに違いない。電気のスイッチやロッカーのダイヤル、ゲームの操作スティックなど「感触が楽しくてつい弄っちゃう」ギミックが集結した夢のおもちゃである。 fidget=そわそわするの意味だそうで、精神を落ち着けるための道具でもあるらしい。ストレス解消にも有効で、ADHDや自閉症の人のなどのメンタルケアにも用いられているようだ。1個数百円から手に入る手軽さも魅力である。 なぜそんなおもちゃを購入

          フィジェットトイを身に着けて

          ピースサインじゃなきゃ、何をすればいいのか

          写真を撮られるとき、どんなポーズをとったらいいのか。 これは人類にとって永遠の課題かもしれない。 「そんなの自然体でいいじゃないか」とノーガード戦法で挑める方におかれましては、「うらやましいです」としか言いようがない。素の自分にすこぶる自信がなく、何か盛り付けをしなければ申し訳ないという意識でここまで来てしまった。先日新聞を見ていたら、ろくろを回すポーズだらけで笑ってしまった。カメラマンも盛り付けには苦労する。 小中学生まではピースサイン一択。コギャルブーム到来の高校時代

          ピースサインじゃなきゃ、何をすればいいのか

          瀬戸内のマニアックなお寺で巨匠の神業を”発掘”する。美人画・鏑木清方など「近代美術展」耕三寺で開催中

          しまなみ海道でちょっと風変わりな観光名所といえば、生口島(いくちじま)にある「耕三寺(こうさんじ)」(広島県尾道市)です。 耕三寺は、初代住職が亡くなった母親のために30年近くかけて建てたお寺。「お母さんのためにここまでするなんて!」と、その愛に圧倒されるほど凝った建物の宝庫で、堂塔など15棟は国登録有形文化財となっています。 境内には、地獄と極楽が体験できる洞窟や、約3000トンの大理石を使って彫刻家が制作したという純白の山のごとき大理石庭園など、いたるところに趣向が凝

          瀬戸内のマニアックなお寺で巨匠の神業を”発掘”する。美人画・鏑木清方など「近代美術展」耕三寺で開催中

          SMよ、人生をひっくり返してくれ㉑ この子を解放してあげたいと思った(後編)

          Mは、鞭の当たり方でSの気持ちを読む ほんのちょっとのつもりで飲んだ広島のSMバー「Club Mazan(マザン)」で、男性のお尻連続斬りをすることになった私。 一仕事やり終えたような気持ちになり、席に戻るとすっかり顔を真っ赤にした先輩が「お疲れさま」と迎えてくれた。 「私・・・大丈夫だったですかね?」 「え、いい感じだったよ」 「どのへんがですか?」 採点を求める生徒のように、ちょっぴり先輩を質問攻めにしてしまった。 そのやりとりを見ていた誰かが 「Mってね、Sの顔を見

          SMよ、人生をひっくり返してくれ㉑ この子を解放してあげたいと思った(後編)

          SMよ、人生をひっくり返してくれ⑳ この子を解放してあげたいと思った(前編)

          広島の夜は長い。そして、何が起きるかわからない。 ほんの1、2杯お酒を飲んで帰る予定だったSMバーで、今、私は鞭を持ち、お客さんに囲まれている。 時間にして10時ごろだったろうか。私が来店したときよりも明らかに人数が増えた。「Club Mazan(マザン)」のお客さんは横のつながりもあるらしく、ちょくちょくスマホをチェックしては「〇〇くん、これから来るってさ~」などオーナーに報告している。十数席のカウンターには老若男女、ファッションもばらばらでいろんな素性と思しき人達がひし

          SMよ、人生をひっくり返してくれ⑳ この子を解放してあげたいと思った(前編)

          タイ人の友達が島に来て、誕生日祝ってくれるってさ

          来年の1月末は私の誕生日なのだが、タイに住む友人のヌイがなんと日本まで来てお祝いしてくれることになった。しかも東京や大阪じゃなく、瀬戸内海の小さなこの島に! ヌイはバンコクで働くおねーちゃんで、20年以上の付き合いになる。私が学生のころ一人でバンコク旅行していたときに友達になった。マイペンライのタイ人気質を絵に描いたような人で陽気すぎてたまにテキトーなんだが、面倒見がよく、西日本豪雨のときはバンコクからわざわざ長靴を送ってくれた。 長年の関係が続いているのは、ひとえにヌイ

          タイ人の友達が島に来て、誕生日祝ってくれるってさ

          SMよ、人生をひっくり返してくれ⑲ 女性の肌に触れるという冒険

          壁の時計を見て、すくっと立ち上がるマスター。 「ツバキちゃん、そろそろ始めようか」 隣に座っていた”先輩”曰く、ここ広島のSMバー「Club Mazan(マザン)」では、営業時間中に何度かショータイムがあるそうだ。それはお客参加型のパフォーマンスで、楽しみにしている常連さんも多いようす。 ツバキさんは、カウンターの内側に並べてあるソファーにゆったりと腰を下ろした。客席から見るとちょうど舞台のようだ。 いったい何が起きるのだろう。 お尻が見えそうなデニムのショートパンツから

          SMよ、人生をひっくり返してくれ⑲ 女性の肌に触れるという冒険