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さよなら青空。

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さよなら、青空。(6)

さよなら、青空。(6)

美夜子が人混みに消えてからしばらく経った。
スマホを確認してみても送ったメッセージには既読すら付かなくて、流石に心配になって電話もかけてみたけれどコールが何度か鳴った後留守番電話へ繋ぐ自動音声が流れただけだった。

広場にある時計の針は7時45分を指していた。花火の打ち上げは8時からだ。
焦る気持ちに拍車を掛けるように打ち上げ花火に関するアナウンスが流れる。

あぁ、本当に何も上手くいかないな。

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さよなら、青空。(5)

さよなら、青空。(5)

終業式が終わって夏休みが始まった。
案の定誘いを断れる訳もないまま私は美夜子と露店の並ぶ通りを歩いていた。

すれ違う人の多さに目が回る。時々ぶつかる肩が少し痛い。家を出るまで楽しみにだったはずなのに、今は熱気と慣れない浴衣の帯が苦しくてそれどころではなくなってしまっている。

「春、次ベビーカステラ行こ?」
「あ、うん。」
当然の様に私の手を引く美夜子は私とは真逆でこの空間をきちんと楽しんでいる

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さよなら青空。【4】

さよなら青空。【4】

カランと瓶ラムネの揺れる音がする。
私と美夜子は今はもう使われていない廃れたバス停で暮れていくオレンジ色の空を眺めていた。

「駆け落ちって言うから何かと思えば…。」
「二人きりだから駆け落ちでしょ?」

一台の車がヘッドライトを光らせながら通り過ぎて行った。気づけば夕焼けはすっかり沈んで、遠くの方からは微かに祭囃子の音が聞こえてくる。

「あのさ、私は春の事好きだよ?」

先程クラスメイトが言っ

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さよなら青空。(3)

さよなら青空。(3)

あの日もこんな風に茹だるような夏だった。
蝉がジージーと懸命に命を輝かせていた。

「南さんさ、正直やめた方がいいと思うよ?」
放課後、話したこともないようなクラスメイトが言い放ったのはそんな言葉だった。
「急に何。」
「クラスでは全然話したりしないくせに2組の須和さんとはよく一緒にいるじゃん?須和さん優しいから言わないだけで迷惑だと思うよ、南さんに付きまとわれるの。」

(あぁ、そういう事か。)

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さよなら青空。2

さよなら青空。2

青いシロップのかかったかき氷にこれでもかと練乳をかけると、綺麗な青色は可愛い水色に変身を遂げた。

「翠春先輩ってやばいくらいの甘党ですよねぇ。」
宇治金時を口に運びながら実玖がつぶやく。

「そうかな?」
確かに私は甘党だけれど、皆大体こんなものだと思う。逆に練乳もアイスもトッピングされていない宇治金時は苦くないのだろうか。一口食べてみたい気もするけれど、やめておく。

「いや、大分重度の甘党さ

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さよなら青空。(1)

さよなら青空。(1)

《再会1》
8月25日午後1時、天気晴れ。

シャワシャワと懸命に鳴く蝉がうるさい。

視線の先では淡い青色のワンピースが風で揺れて、後輩が悪戯っぽく笑っていた。

「おっそーい!」
「ここの、坂さ…、キツいんだって…。」
自分の体力の無さに嫌気がさした。もうすっかり息が上がって膝だって笑ってしまっている。

8月もあと残すところ1週間程になってやっともぎ取ったせっかくの夏季休暇に、私は長い長い階

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