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さよなら青空。2

青いシロップのかかったかき氷にこれでもかと練乳をかけると、綺麗な青色は可愛い水色に変身を遂げた。

「翠春先輩ってやばいくらいの甘党ですよねぇ。」
宇治金時を口に運びながら実玖がつぶやく。

「そうかな?」
確かに私は甘党だけれど、皆大体こんなものだと思う。逆に練乳もアイスもトッピングされていない宇治金時は苦くないのだろうか。一口食べてみたい気もするけれど、やめておく。

「いや、大分重度の甘党さんですよ??まさか自覚ないとか…?」
「残念ながらないねぇ。」
「やばぁ…。」
実玖は若干引いた顔をしながら若干溶けてしまったかき氷をずずっと啜る。

「めちゃくちゃ色付きそうだよね、宇治金時。」
「見てみます?」
そう言ってべっと出された舌が思った以上に綺麗に抹茶色に染まっていて、それが何だか妙にツボにハマってしまった私は肩を揺らして笑ってしまった。

「ははっ…、すっごいよその色。ふふ…っ。」
「ちょっとツボはまりすぎじゃないですか…!?あー、傷ついちゃったなぁ。翠春先輩なんてもう知りませんよーだ。」
実玖はそっぽを向いた後、ちらりとこちらを見た。幸いなことに本当に機嫌を損ねたわけではなさそうだ。

「ごめんって。ほら、私のやつも一口あげるからさ、機嫌直して、ね?」
「絶対口の中死んじゃうんで要らないです。」
「じゃあ、、、お団子?」
「食べ物で釣るのやめて下さい。」
「だめかぁ。」
「私のことなんだと思ってるんですか?」
「可愛い後輩?」
「そこは疑問符つけないで言い切ってくださいよっ。」
「乙女心難しい…。」
「翠春先輩も十分乙女じゃないですか。」

…私が乙女とはどういう事だろう。服装もラフなものが好きだし、周りの子達に比べたら地味な方だと思うのだが。

「どうしてそう思うの?」
「だってずっと同じ人の事好きなんですよね?佐藤先輩が言ってました。」

どうやら友人はちゃっかりこの可愛い後輩に私の重要機密をばらしてしまったらしい。

「あー…、とりあえず佐藤はこの旅行が終わったら詰めとくね。」
「うわ、まさか私聞いちゃまずかったですか…?」
「別に駄目じゃないけど、実玖に色恋の話するとは思わなかったから。」
「聞かせてください、翠春先輩の好きな人のこと。」
「面白い事にと思うけどいいの?」
「いいです、私が気になるので。」
「分かった。」

果たしてあれを恋と呼んでいいのか分からないまま彼女のことを語ろうとしている。

あの夏の私のーーの事を。