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【読書感想】朝比奈なを「ルポ 教育困難校」

私は、いわゆる「教育困難校」の出身ではないのですが、この本は誰かに勧められて知ったと記憶しています。というのも、自分の子供がLD(学習障害)の傾向があると知ったのが小学4年の終わりごろ。まさに、この本に書かれている

先天的な学習障がいを持ちながら、今まで気づかれずに何も訓練をうけなかった (本書、P53より引用)

という子どもに我が子をするところだったのです。
私自身が知らない「教育困難校」というところはどんなところなのか、どういう子が集まっているのか…というのを純粋に知りたくてこの本を手に取りました。

「教育困難校」の現状とその背景について書かれている本

私の中では、「教育困難校」というと、テレビドラマの「ごくせん」みたいなものを想像してしまうのです(ちょうど今、コロナ禍でドラマの再放送やってるし)。
実際の「教育困難校」がドラマのそれと似ているのかは分からないのですが、読み進めていくうちに

「現実世界に、本当にこういう高校が存在するのか」

と愕然としてしまいました。私が知っている「高校」とはあまりにかけ離れているのです。
「教育困難校」に教員として勤務していた経験がある著者が書く、教育困難校の実態。データで見る「教育困難校」、どんな生徒が通っているのか、教員の日常、進路指導、今後の展望が元、教員の立場から生生しく書かれています。

「教育困難校」を否定するわけじゃないけど…

「教育困難校」そのものは、現代社会において必要な場所だということは理解はします。
現時点の日本において、高校に行くというのは社会につながる「最低条件」になりつつあります。将来、就職しようと思えば「高校卒業」は最低条件みたいなものだし、アルバイトも「高校生であること」を求められることが多いとか。
「義務教育」ではないのに、実質「義務」に近い高校教育。そして、義務教育とは違い、学力や将来の方向性で行く学校を決めます。
家庭の事情なのか、学力の問題なのか…いろいろあると思うけど、行き場のない子供たちの「最終的な受け皿」が教育困難校なのだとすれば、やはりそれは必要な場所なのだと私は考えています。

「教育困難校」に進学するのは「自己責任」?

まず、読み進めていって、私がまずショックを受けるのが第2章。
発達に凹凸があったであろう子が、親が気づかないまま適切な対応をされずに「教育困難校」へ進学したケースが書かれているのです。その人は、その高校に進学したことを後悔しているそうです。

彼は「自分と同じような高校生を作りたくない」と何度も口にした (本書、P42より引用)


これを読んで、私は泣きそうになりました。なぜなら、自分の子供がこの本に書かれているケースと同じ道をたどるかもしれなかったから。
(読書感想とはずれますが)発達障害…特に学習障害に関しては、まだまだ認知も理解も少ないと感じています。我が子に関しても「気にしすぎ」「そうは見えない」「成長すれば治る」って言葉はたくさんいただきますね(理解の声よりそっちの声が多いかもw)。
本書によると、「教育困難校」へ通う子の中には、アルファベットが書けない生徒が相当数いるらしいです。そのことに関しては、以下のように書かれています。

全く勉強をする気がなく覚えようとしない生徒も少しはいるが、先天的な学習障がいを持ちながら、今まで気づかれず何も訓練を受けなかったからという理由がほとんどではないかと推察される。(本書、P53より引用)

義務教育の過程で周囲の大人に気づかれ、適切な支援を受ければ「教育困難校」へ進むことがなかった(かもしれない)子供もたくさんいると思われます。

そもそも、行き場が無い子の受け皿が「教育困難校」であるべきなのか

そもそも、勉強をしたくない子までもが「高校に行かないと社会につながらないから高校へ行く」という雰囲気になっているから、仕方なく高校に行く…という今のシステム自体に疑問を感じます。
もっと多様な生き方や価値観が認められればいいのに、というのもあります。
本人に高校進学をしてまで勉強をするという意思が感じられない場合は、高校に進学しなくても自分らしく生きられる道があってもいいと思うし、勉強したい意思はあるのに、(経済的、発達、などなど)何らかの理由で「いくら勉強してもわからないから諦める」状態になっている子に対しては、特性に沿った適切なサポートができるような体制を整えてほしいと切に願います。

この本を読んで「教育困難校」という存在を知りました。もっと低年齢のうちに適切なサポートを受けられていたら、こういう進路を選ばなくてもいい子もいるんだろうな…と思いつつ、現状、小学生の親をやっていると「気づかれていない子」がいるのも実態なんだろうな…というのもわかります。



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