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珠玉集

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心の琴線が震えた記事
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#読書感想文

11月前半のエンタメ事情|読書・映画感想

11月に入り、読書欲が戻ってきました。 私は遅読です。漫画であれば、戦闘シーンの「ダダダダダダダダタダー」とかも真面目に読んでしまう。 それでも今月は今のところ満足な読書体験ができています。 だけど最近視力が弱ってきていて、目の疲労から一時中断することも多く、読書の合間に映画も観ました。 そんな記録です。 ①夏木志朋著 『二木先生』 読みながら嫉妬してました。このテーマで私も書いてみたかった~、という。 全身全霊でこの一冊を書かれた感、作者の気合いをビシビシと感じ

くま読書 私の身体を生きる

たまに、テーマとして書きにくいことをがんばって書いてみようと思う時がある。 書きにくいことは「死」であったり 「性」の話でもあったりする。 なぜ書きにくいのかというと、書きことばに落とし込むためにある種の慎重さが必要だからだ。 慎重に書かなければいけないのに、なぜ書きたいのかというと 自分が真面目に考えたい気持ちがあるからこそ、であって。 誰しもが抱えているからこそ、でもある。 私は、蔦屋書店で見かけてからずっと気になっていた、ある一冊の本を拝読した。 読後は私

河合隼雄さん

私に得意科目があったとしたら きっとたぶん 得意科目は 「悩むこと」 だったと思います 本当には今起こっていない事を心配して 縦にしたり横にしたりあれこれ 終わった事をあれこれ パンみたいにこねちゃって 先の事を考え 心配しすぎて 困っている 困っている自分に困っている 悩む事にずいぶん熱心だったから 今年 note をはじめてから色んな事を思い出します 好だった音楽、好きだった小説、好きだった絵の事、好きだった洋服の事 ともかく「好きな事」

募集締め切りました#本代サポートします

はじめての企画で不手際があり申し訳ございません。わからないことは#本代サポートします のコメント欄にご質問ください。 書店においてない本の場合、書店に出向き本を取り寄せた時点で『取り寄せました』とコメント欄でお知らせくだされば、その時点で参加人数に加算致します。 感想文の期限はありません。 今年中でも来年でも。 現在レシートアップ9名様  海外枠1名で10名様となり募集は締め切らせていただきます。 参加をお考えだった方々申し訳ありません。 今回の学びと反省を含めてまた

多読のススメ。

たくさん本を読んでおいてよかったなあ、と思う。 私はとても忘れっぽい。 部屋のもよう替えをしたら、必ず、何をどこにしまったのか忘れてしまう。 ハンカチや靴下、秋物のシャツ、お気に入りのネックレス。 たいてい、欲しいと思う時には見つからない。 それなのに、読んだ本の内容だけはなぜか覚えている。 覚えている、というか、欲しい時にちゃんと思い出せるのだ。 それは、たいてい小説以外の本を読んでいる時にやってくる。 超文系な私だけど、知りたいことは山ほどあって、本屋さんや図書館

河合隼雄『で』語るなんて出来ないが、読書は惑うことを肯定してくれた。

読んだことがなかった河合隼雄の著書を読みたくなったのは、薦めてもらったからだ。本を読むのに薦めてもらうきっかけほどありがたいと思うことはない。 私はずっと一人で読書してきたからだ。周りに誰も本の話をする人も現れず、本が好きだとも言えずに過ごしてきた。いったい誰が、どこで本が好きで読んでいるのかが分からないくらい不思議でしょうがなかった。 SNSのおかげで本当に本が好きな人がいることを知ることが出来た。今は聞いたらすぐに教えてくれる人達がいる。 教えてくれる人達がいるのな

宮沢賢治の元素図鑑

作家・詩人である宮沢賢治が鉱石好きだということはなんとなく知っていたのですが(作中にいろんな鉱物の名前が出てくる) 鉱物&元素好きの息子がこの本を読んでいたので ↓  宮沢賢治の元素図鑑ちょっと借りて読んでみると… すごく良い!!!文学と化学をいっぺんに学んだ気分!!! 宮沢賢治の文章と、 そこに含まれている鉱石の名前。 鉱石の解説と写真。元素のいろいろ。 それが1冊になってるんです。 読みだしたら、心の中で (へぇ〜)とか (あっ、あれがそうか…)とか

誰にだって物語を語り、作り出すことは許されている

作家の燃え殻さんの「BEFORE DAWN」というラジオを毎週聴いている。 彼のラジオの後半で、リスナーから寄せられたメッセージを紹介するコーナーがある。 先日の投稿の中で、私の心に残ったやり取りがあった。具体的な細かい内容は忘れてしまったが、こんな内容だったと思う。 燃え殻さんはこのように答えていた。 また、最近葉々社で購入し、拝読した「読む力・聴く力」という本のなかで気になった箇所を紹介する。 上記は立花隆さんが述べている内容だ。 それに対して谷川俊太郎さんはこ

読書感想 白川 雅「エジプトの狂騒」

楽しみにしていた「エジプトの輪舞」の続きをやっと読むことができた。 今回も超対策!!kindleの音声出力で読むのは結構難儀だったけれど期待を裏切らな いクォリティーだった。 前回は第二次世界大戦前後が舞台だったけれど、今回は時代をさかのぼってその100 年くらい前、トルコ支配の時代の話。 ちなみに無教養な私はエジプトがずっとオスマントルコの支配下にあったことすら知 らなかった、(汗) 今回の感想は「スエズ運河すげえ!!」の一言に尽きるけれど、これだと1行で感想 文が終

つまみぐい【一】

煮物はしていないが、コンロで手羽中の肉を焼きながら、あることを考えている。 最近「自分が何をされたら嫌なのか」が、あらためて見えた。 こんなことは、おそらくわからない方がいいし、わかったところでどうしようもないのだけども。 小さな「嫌」は、どんどん雪だるまみたいに転がって、止めることもできずに勝手に大きくなってしまう。 一度開いてしまったニットのセーターの穴も、ほつれたところは気づくと昨日より広がっている。 大きくなった「もう無理!」は「怒り」に転じやすい。小さな「

拝啓、ミア・カンキマキさま。

ミアさま、ああ、ミア・カンキマキさま! あなたのお書きになった『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』が、どれだけ私の心を熱くしたかわかっていただけるかしらん? あなたと清少納言(あなたにならってセイと呼ばせてもらうわね)との、国境も時空も越えて結ばれた関係性。その絆に私はときめいてしまった。 ソウルメイト。 あなたとセイはまさにソウルメイトだわ。 好きな作家って、ソウルメイトなのよね。 心から大好きになると、もうどこに行っても、何をしていても、作家さんは私と常に一緒

2024年7月読書記録 謎のアンデッド、川端、無垢なアメリカ

 今月は、青空文庫(太宰治)とそれ以外の小説に分けて投稿します。  青空文庫以外では、8冊の小説を読みました。遠藤周作の2冊は別記事で。 イーディス・ウォートン『無垢の時代』(河島弘美訳・岩波文庫)  ウォートンは20世紀前半に活躍したアメリカの女性作家です。無垢=イノセントという言葉は、アメリカという国やアメリカ文学を語る際の重要キーワードと言われます。清教徒(ピューリタン)が作った国ということもあり、一時期禁酒法が施行されていたり、妊娠中絶が大統領選挙の重要争点になっ

読書感想文はどの本で書く?

 うちには"小さな悪の組織"というのがあって、読書感想文を書くのだそうである。その候補をいくつか積んである。そのなかに「クリームイエローの海と春キャベツのある家」がある。その本で書けばええと思うのだ。ほれ、クリキャベで感想文書いたらええがな。書きなはれ。  なぜそう思うのか。 一冊の本でいくつもの見方が可能であって(それは良作の必須条件である)、作品を通して読んだ人それぞれの考え方があらわれると思ったからである。  主人公の女性・津麦と、津麦が作中で変化していく過程を共有

どうして佐田先生は黒ジャージに白衣を着ているのか? ~渡邉有「月に背いて」感想文~

#創作大賞感想 読んでいる最中、ずっと鼻水が出ていた。 本屋に行っても、図書館に行っても、鼻水を出し続ける僕は、なんらかのアレルギーなのかと思っていた。 ただ、今回ばかりはタブレットでの読書だ。紙のアレルギーというわけではなさそうだ。ではなぜ、これほどまでに鼻水が出てしまうのだろう。 おそらく、アレルギーのように、体の中で、物語が何かを刺激しつづけていたのかもしれない。 興奮するほど鼻水が出てき始めたのは、この小説に暗躍する白と黒に気づいたからである。 * 「月