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五年目

13
2023年
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#詩

17時半

17時半

真夏の喫茶店、窓際のテーブルで向かい合ってる、しゃりしゃりしたビニール袋に包まれているおしぼりが冷たい、クリームソーダのバニラアイスがエメラルドのソーダに溶けるその瞬間、すべてが過去になったみたいですこし寂しくなる、なめらかで曖昧な緑、炭酸がまろやかになって一日が終わる

不確か

いつだって本心のよめないその薄っぺらい笑顔をはりつけているあなた、そんな笑顔でも向けられると安心してしまうからどうしようもないね、あなたが不機嫌なところを見たことがない、わたしは見られているのに、いつだってわたしの前を歩くあなたの背中を頼りにしてること、たぶん知らない、知らなくていいよ、全てを見せることが正しいとか愛だとかおもわない、でも後ろを歩かれると不安になって何度も振り返ってしまう、あなたは

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水族館

水族館

水族館の巨大水槽、きっと魚たちはそれが世界だと確信して優雅に泳いでる、わたしたちもきっと同じで、自由のふりして生きてる、気付かなければ大丈夫、まだ世界は美しい、降り注ぐ光は飼育員という神様によって制御されているからいつだって安全安心な世界、マンボウって意外と死なないんだって、蝉が七日以上生きるのと同じだね、弱いってだけで優しくしてしまう人間たちの気味悪さ、護ってあげるとか繊細なんだねとか勝手に言っ

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おはようわたしたち

おはようわたしたち

誰かに存在を認めてもらいたいのにいつまで経っても掴ませてくれないあなた、知られることが怖いからなのか、相手に依存することが怖いからなのか、それでもあなたはいつだって優しくてあたたかくて隣にいて笑ってくれるから、放っておいても大丈夫なんだと勘違いしてしまう、ひとりでもちゃんと生きていて、構わなくても勝手に隣で笑っているあなた、いつの間にかその熱だけを残して居なくなって気づかされる、寒い、わたしじゃな

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