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おはようわたしたち

誰かに存在を認めてもらいたいのにいつまで経っても掴ませてくれないあなた、知られることが怖いからなのか、相手に依存することが怖いからなのか、それでもあなたはいつだって優しくてあたたかくて隣にいて笑ってくれるから、放っておいても大丈夫なんだと勘違いしてしまう、ひとりでもちゃんと生きていて、構わなくても勝手に隣で笑っているあなた、いつの間にかその熱だけを残して居なくなって気づかされる、寒い、わたしじゃなくても誰かに笑うあなたを見て安心しました、あなたはちゃんと存在していることに、忘れかけた、忘れようとしたのに当たり前に戻ってくるあなたはずるい、ぼやけて消えるはずだったお互いの輪郭が甦る、隣にいることが普通だという顔をする、あなたはわたしの熱を感じていますか、誰かが隣にいることはすこし怖い、曖昧なまま、居なかったことにはなれず居たことにしかなれないわたしたちは死んでも記憶のなかで永遠に眠っているだけで、どうかそのまま起こさないで、起きないで、寝顔が安らかなひとは誰かに愛されている、いつもより遅れて戻ってきたあなたは、たぶんもう存在してなくて、それでもいつも通りに人懐っこい笑顔でお互いの存在を肯定する、朝日が眩しい

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