はな

月に一度を目標に読書感想文を書いていきます。

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最近の記事

四月の読書:『デスマスク』(書きかけ)

 暖かい日が多くなってきましたね。みなさまはいかがお過ごしですか?  今月は『デスマスク』(岡田温司、岩波新書)を読みました。一見ぎょっとするタイトルですが、これまでの私の関心にもつながってくるテーマが扱われています。 概要・感想  この本では、主にヨーロッパの歴史の中でデスマスクが扱われてきたいくつかの局面を取り上げることにより、それぞれの時代でデスマスクが果たした役割や、そこに投影された人々の世界観などが分析されている。  各章はほぼ時代順に構成されているが、それは必

    • 三月の読書:『だれか、来る』

       こんにちは。このところ文字を読むペースが上がってきたけど相変わらず積読は多くて、それなのに気になる新刊はどんどん出るし……と本好きあるあるのジレンマに頭を抱えてます。でもそれだけこれから読める本があるって幸せだな。  今月は、2023年にノーベル文学賞を受賞したヨン・フォッセの『だれか、来る』(河合純枝訳、白水社)を読んでみました。 感想  表題作「だれか、来る」は、海に面した一軒の家を舞台に、他人から逃げるように二人きりで引っ越してきた「彼」「彼女」と、そこに訪れる「

      • 二月の読書:『ミステリウム』

         こんにちは。二月といえばバレンタイン。バレンタインといえばチョコレート。誰かからもらったりはしませんでしたが、それでも他の月に比べてもりもり食べていた気がします。  さて、今月ご紹介する『ミステリウム』(エリック・マコーマック、増田まもる訳、創元ライブラリ)はちょうど去年のクリスマスにめでたく文庫化されました♡そして作中の主要な出来事はちょうど今ごろの時期(二〜三月)に起こっているのであります。今読むしかないだろ。 「歩きながら私は、その日が二月十四日の水曜日であることを思

        • 一月の読書:『アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』

           年が明けてそろそろ一ヶ月が経とうとしていますが、明けましておめでとうございます。今年も良い本との出会いがたくさんあるといいなあ。  さて今月は『アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(香月孝史・上岡磨奈・中村香住編著、青弓社)。以前から気になっていた「推し活」文化について、中でもアイドルやそれを応援することに焦点を当てた本です。 全体の感想  この本では、アイドル文化が孕む様々な問題について「ファンダムの外側から」ではなく、自身も

        四月の読書:『デスマスク』(書きかけ)

        • 三月の読書:『だれか、来る』

        • 二月の読書:『ミステリウム』

        • 一月の読書:『アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』

          十二月の読書:間に合わなかったので一年のまとめ

           こんにちは。今月も無軌道な読書生活を送った結果、一冊たりともまともに読み終わらないというありさま! 仕方ないので今年を振り返る記事でお茶を濁します。 今年読んだ本  もともとは特にテーマを設けて読書を始めたわけではないのですが、noteを始めたころから、自分の「推し」について知ろうという目的が生まれました。まずはなぜ推しに惹かれるのか、推しの魅力の正体は何か、という方向から、本人とは関係のないジャンルを回り道して読んできました。  その結果、言語やそれ以前のコミュニケー

          十二月の読書:間に合わなかったので一年のまとめ

          十一月の読書:ケリー・リンクの新訳短編♡

           先月はご心配おかけしました! 体調、何とか回復しました。  今月は取り上げようと思ってた本が思ってたよりつまらなかったりなかなか読み進められなかったり、結局ちゃんと一冊読みきれなかったので、近い時期に別の場所から翻訳が出た同じ作家の二つの短編について語ろうと思います。 「白猫の離婚」 『すばる』12月号に掲載された「白猫の離婚」(金子ゆき子訳)は、ドーノワ夫人による童話「白猫」を下敷きにしつつ、現代のアメリカを舞台とした短編。  裕福な父親が後継者候補の三人の息子に何度

          十一月の読書:ケリー・リンクの新訳短編♡

          十月の読書:おやすみ

           こんにちは。急な体調不良に見舞われたので、今月はタイトル通りお休みいたします。  これ書いてる今も熱が下がらず頭がぼーっとしてます。普段あまり風邪ひかないので知らなかったのですが、熱が出ると本を読む集中力さえもなくなってしまうのですね。  季節の変わり目、インフルエンザ等も流行っているようですので、みなさまもどうぞご自愛くださいませ。 これから読みたい本の話など  ご挨拶だけだとお読みくださった方に申し訳ないのでもう少し。  ここ数ヶ月「推し」をテーマにした本をよく読ん

          十月の読書:おやすみ

          九月の読書:『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』

           こんにちは。読書感想文を書き始めてこれで五回目、決まった期間に本を一冊きちんと読み切れるようになったのは嬉しいです。また、こうして感想を書くことや今まで扱ったテーマとの緩やかなつながりを考えて本を選ぶと、普段読まないタイプの本を読むことも増えて、それもまた面白かったり。  今回は『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』(久保(川合)南海子、集英社新書)。自分自身の推しについて知りたくて本を読んでいるフシのある私としてはついに本丸か!? というような気持ちで手

          九月の読書:『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』

          八月の読書:『言葉の誕生を科学する』

           こんにちは! 自分で始めたことなのに夏休みの宿題を最終日にこなすような気分で今これを書いています! いえい!  今回読んだのは『言葉の誕生を科学する』(小川洋子・岡ノ谷一夫、河出文庫)。前回から引き続き「言葉」というものへの関心から手に取りました。 感想  人間だけが持つ言葉というものの起源(進化ではなく、誕生の瞬間)を知るために、ハダカデバネズミやジュウシマツなどの動物行動学を研究する岡ノ谷氏。本書は、彼の研究に興味を抱いた作家の小川氏が主に聞き手となり、それぞれの動

          八月の読書:『言葉の誕生を科学する』

          七月の読書:『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』

           暑い日が続きますがいかがお過ごしですか。私の部屋のエアコンはよりによってこんな時に壊れてしまい、送風口から吹きつける熱風にゴキブリも部屋の隅で干からびてバラバラになっておりました(でもここ数年ずっと出てなかったからエアコンのせいだけではなく私の部屋の環境が彼らにとって過酷すぎるのかもしれない)。  だからというわけでもないですが今回はあっさりさっぱり(?)、『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(今井むつみ・秋田喜美、中公新書)を読んだ感想を書いていこうと思います。

          七月の読書:『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』

          六月の読書:『カスパー』

           こんにちは。前回お読みくださった方、ありがとうございました。ネット上で個人が自由に発信できる時代においても、書いたものが誰かに届くのは新鮮な喜びです。  さて今回は『カスパー』(ペーター・ハントケ、池田信雄訳、論創社)。ノーベル賞作家であるハントケが1966年に執筆した戯曲で、今年行われた日本での公演にあたって出版された新訳です。 公演の感想  実は東京芸術劇場での上演を観に行った際、興奮冷めやらぬままにTwitterに長文の感想を投下していた。  戯曲の内容について

          六月の読書:『カスパー』

          五月の読書:『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』

           はじめまして。 これからこちらに読んだ本の感想を記録していこうと思います。読むのも書くのも遅いので、とりあえず月に一度の更新が目標。 よろしくお願いいたします。  今回は 『謎ときサリンジャー 「自殺」 したのは誰なのか』 (竹内康浩・朴舜起、 新潮選書)。文芸批評の本なので、感想を書いていくうえで、本書とサリンジャーの小説のいくつかの内容にも触れますが(そういう小説じゃないけど)ネタバレが気になる方は注意してね。 感想  小林秀雄賞受賞の報道で本書を知った私は、サリン

          五月の読書:『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』