ロールモデルを目指すと失敗する。その必然性と解決策とは?(後編)
こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。
本noteは、先日投稿した『ロールモデルを目指すと失敗する。その必然性と解決策とは?』の後編です。
前編は以下よりどうぞ。
30秒で読みたい人のための要約
結論。”主人公のように”働く
最初に結論から。
自分のやりたいことを仕事にしながらも、会社の利益や成長につなげる。
具体的なキャリア開発に必要なのは、”主人公のように働く”です。
…大丈夫。
きちんと説明します。
あなたは誰?
質問です。
物語において、「主人公」とはなんでしょうか?
(シンキング・タイム)
おそらく、「最後に一番強くなる存在」や「元気があって明るい」、もしくは「勇気を持って立ち向かう」などが挙がったでしょう。
しかし、最も弱い主人公や、根暗で隠キャ、最後までぐずぐずしている存在もいます。「ドラえもん」の野比のび太は、その典型。
ぼくの仲間のイデトモタカは主人公を、次のように定義しています。
すっきりしますね。
言い換えると、「変化幅が最も大きい存在=主人公」です。
なので、いくら「ドラえもん」で、いくらジャイアンが一番強くても、出来杉くんが優秀でも、彼らには変化幅が無い(ように描かれているため)、主人公たりえません。
人生最後の後悔
では、キャリア開発、特段ここでは企業で働くことにおいて、なぜ主人公であることが必要なのか?
末期がん患者の緩和ケア看護師(=死に際の痛みや不安をセラピー療法などを使い、和らげる)のブロニー・ウェア氏は、2012年、ひとが死に際に後悔する上位5つのリストを作りました。
キャリアとは、なにも仕事で得た知識やスキル、経験だけを指しません。
その語源である「轍(わだち)」が示すとおり、あなたが人生で経たものすべてが、キャリアです。
(人生の)キャリアで後悔しないために、自分らしく生きる。つまり、自分の人生=物語において、もっとも変化する存在であることが必要なのです。
あいつならきっと……!
では、具体的にどうするのか?
まず具体的に、キャリアのゴールをイメージしましょう。前編で説明した、”WOOP (ウープ)”で考えても結構です。
その後、あなたが憧れる主人公を1名、思い浮かべます。
たとえばぼくは、漫画「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」に出てくる影の主人公、ポップを選びます。
その後、キャリアに向けて、あの主人公ならどう変化していくか?を言語化
します。
なぜ、番狂わせは魅力的なのか?
あとは、置きかえた行動を、とるだけです。
ただ、「わざと手を抜く必要があるのか?」と思うかもしれません。
もちろん、目指すキャリアへ一直線に行動できれば、それが最良。
しかしここで言いたいのは、たとえな意図せぬ変化や怠惰(たいだ)で目指すキャリアから遠ざかっても、その変化を大切にする、です。
変化とは、エネルギーの移動です。
すべての生き物はエネルギーを求め、食事をし、行動します。
ぼくらが弱小チームの強豪撃破に熱狂するのも、そこに発生するエネルギーが大きいからです。
おなじく映画やドラマ、漫画や小説などエンタメ全般では、主人公の変化量こそ肝(きも)です。
最初からモテる女子が主人公の少女漫画など、誰も読みません。
地味で根暗な主人公が、恋愛やファッションを通じて成長し、綺麗になる。そのストーリーとエネルギーの変化量に、人は魅了されるのです。
俯瞰するとは?
この一連の思考を、ぼくは「脚本家(きゃくほんか)思考」と名付けます。
自分の人生を物語とした際に、どんな場面展開があるのか?
目指すキャリアのゴール以上に、そこに至るまでの道のりをいかに面白く、魅力的なものにするのか?
主人公の変化を俯瞰して、失敗さえも必要性を見出す。
脚本家のような視点を持つことが、これからのキャリア開発には必須です。
それを示すエピソードが、日本を代表する精密機器メーカーから垣間みえます。
いくら損失出した?
新任部長研修(=部長になる上で必要なマインドやスキルを学ぶ研修)での話です。
研修は2日間にわたり、初日の懇親会には、全役員が参加します。
さぞ、これからの戦略や組織のあり方について薫陶(くんとう)がある、かと思いきや、毎年役員の失敗エピソードで終始するそうです。
「A事業の戦略を自分が作ったが、大赤字だった。」
「買収した企業とうまくいかず、2年で撤退した。」
「ある研究結果を特許申請してしまい、逆に他社が模倣製品を開発した。」
どれもこれも、数億〜数十億の損失額。
しかし役員陣はむしろ競うようにエピソードを話し、またそこからの学びをお互いにシェアしあう。
一般的な大企業であれば、自らの出世のために隠すような失敗も、むしろ会社と周りの糧になるならと開示する。
この姿勢に新しい部長陣は感化され、組織として失敗を恐れなくなるとのことです。
結果的にその会社は、ある領域においてグローバルNo.1。実に6割もの市場シェアを誇っています。
強みはすごいが、ゴミになる
もちろん、失敗もなく、最初から飛び抜けて優秀なスキルや経験があれば、ここまでの話はあまり参考になりません。
しかし、どんなにすごいスキル、たとえば論理的思考力やプログラミングなどでも、必ず上にはうえがいます。
たとえ国内のプログラミングコンテンストで優秀だったとしても、海外のコンテンスト優勝者やGAFAMの熟練プログラマーには、負けるときも。
さらに、ひとは老いる生き物。必ず1位を明け渡すときがきます。
その時に大事なのは、失敗を、エネルギーに変換できるか。
あたながあなたの人生の主人公として、キャリアを俯瞰しながら楽しんで働けることを、ぼくも陰ながら願っています。
30秒で読めるまとめ
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次回は2023年03月11日(土)更新予定
よろしくおねがいします。
がんばるぞ。
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