複雑だからこそお客様視点を突き詰めるエンプラ×Vertical SaaSのマーケティング
A1Aのマーケティングを担当している奥村です。
ブログリレーということで、弊社PdMの北野の記事(↓)に続いてブログを書きます。
まず初めに、簡単に自己紹介させていただきますと、インターンからそのまま新卒でA1Aに入社し、これまでインサイドセールス、データオペレーションの立ち上げを経験し、現在は新プロダクトUPCYCLEのマーケティングの立ち上げを行っています。
さて、このブログではA1Aのマーケティング組織に興味を持ってくださった方向けに、複雑だからこそお客様視点を突き詰める事のできるエンプラ×Vertical SaaSのマーケティングの魅力をお伝えできればと思います。
具体的にはエンプラ×Vertical SaaSのマーケティングにおいて、どんな難しさがあるのか、何を大切にしているのか、そして立ち上げフェーズであるA1Aのマーケティング組織ではこれからどのような挑戦や面白さが待っているのかについて書いていきます。
A1Aのマーケティング組織が向き合う難しさ
A1AのプロダクトであるUPCYCLEは大手企業かつ、自動車業界の調達購買部門のお客様をターゲットとしており、いわゆるエンプラ×Vertical SaaSとなっています。
そのためHorizontalであったり、SMB向けのSaaSのマーケティング活動とはまた違った難しさがあり、具体的には大きく3つの要素が挙げられます。
(※なぜ、我々がこの領域で事業を展開しようとしているかについては、代表の松原が記事を書いていますので、もしご興味ありましたらお読み下さい。)
難しさ①:ターゲットをとことん絞っている
1つ目の難しさはターゲットをとことん絞っているため、アプローチできる企業数に限りがあるということです。
これは、A1Aが創業当初にリリースしたRFQクラウドからのピボットを経て、誰の何の課題を解決をするのかを大切にしていることと繋がっています。
後述する「難しさ②:お客様の業務がとんでもなく奥深い」に関連する話なのですが、製造業の調達購買領域は業務の複雑性が高く、それゆえ業界ごとに業務プロセスが大きく異なるという特徴がありました。
その中で我々は最初のプロダクトであるRFQクラウドからの学びを踏まえて、新しいプロダクトのUPCYCLEではお客様にしっかりと価値を届けるためにターゲットを自動車業界のお客様に絞るという意思決定をしています。
(※ピボットの経緯にご興味がある方はこちらのブログをご覧下さい。)
しかし、これはセールス・マーケティングの観点から見ると、アプローチできる企業数が限られているため、課題が顕在化していたり、興味を持ってくれている層を焼畑的に刈り取るようなやり方だと、あっという間にアプローチ先が枯渇してしまうという難しさを抱えています。
難しさ②:お客様の業務がとんでもなく奥深い
2つ目の難しさは、先ほど触れたように、製造業の調達購買領域は業務の複雑性が高く、非常に奥深いということです。
特にUPCYLCEがターゲットとしている直接材(製品に使われる部品や原材料)の調達業務はものづくりに密接に関わるため、コストだけでなく品質や納期、供給安定性、設計部門や仕入先企業との関係性など様々な要素が複雑に絡み合っています。
また、その複雑さゆえに暗黙知も非常に多く、個人商店的、職人的な業務となっていることが特徴です。
そのため、私もA1Aに入社して4年が経過しており、これまでたくさんのお客様のお話を聞いたり、様々な書籍に目を通してもいるのですが、それでもなお、まだまだお客様の業務に対して勉強が足りないなと痛感することがあります。
このような複雑で奥深い業務を行っているお客様に対して、いかに有益なコンテンツを提供することができるのか、これもまたA1Aのマーケティング組織が向き合っている難しさです。
難しさ③:お客様のシステム導入検討プロセスが複雑かつ長期的
3つ目の難しさはお客様が大手企業ゆえ、システムの購入決定プロセスが複雑であるということです。
UPCYCLEのお客様は大手の企業様が多いため、システムの導入検討をする人と実際のユーザーが異なってくるケースが多いです。
また、情報システム部門やDX部門の構想との兼ね合いもあるなかで、ステークホルダーが多く、導入検討プロセスが複雑であり、それゆえに商談のリードタイムも長期化しがちです。
そういった複雑かつ長期にわたる導入検討プロセスに対して、いかにマーケティング活動を通じて有益かつ多様なコンテンツを届けることで、お客様のシステム導入の検討を支援していくことができるのかという、エンプラ向けSaaSならではの難しさがあります。
難しいからこそ大切にしていること
先述した通り、「①ターゲットをとことん絞っている」「②お客様の業務がとんでもなく奥深い」「③お客様のシステム導入検討プロセスが複雑かつ長期的」という難しさがあるからこそ、A1Aのマーケティング活動において大切にしていることが3つあります。
大切にしていること①:お客様との継続的な関係性づくり
まず、大切にしていることの1つ目として、「お客様との継続的な関係性づくり」があります。
先述した通り、A1Aは「ターゲットをとことん絞っている」ため、焼畑的な活動をしてしまってはすぐにアプローチ先が枯渇してしまいます。
さらに「お客様のシステム導入検討プロセスが複雑かつ長期的」であるため、単発的なアプローチではお客様から忘れ去られてしまい、失注してしまいます。
そのため、お客様の中で課題が顕在化していなくても、システム検討が頓挫してしまっても、有益な情報を提供し続けることで継続的に接点を持ち、第一想起を常に獲得できるようにすることが、何よりも重要であると考えています。
そして、このお客様との継続的な関係性づくりを実現するために、重要視していることが後述する「大切にしていること②:お客様を深く理解しようとする姿勢」「大切にしていること③:Buyer Enablementの思想」となります。
大切にしていること②:お客様を深く理解しようとする姿勢
大切にしていることの2つ目は、「お客様を深く理解しようとする姿勢」です。
これはマーケターとして当たり前なことではあるものの、日々膨大なタスクを前に顧客理解を徹底することは難しく、実はこれを徹底できる事こそが、B2Bのマーケティング活動における競争力の源泉になるのではないかと考えています。
その中で、これはピボットを経て根付いたA1Aの文化の一つであると感じていますが、ビジネス側、プロダクト側ともにお客様をより深く理解しようとする姿勢があります。
(※ このあたりのお話については、弊社COOのnoteにも記載があります。)
こうしたカルチャーがあるA1Aにおいて、マーケティング組織としてもお客様を深く理解しようとする姿勢を保ち続けるために徹底していることが3つあります。
Point①ペルソナとCJMを大切にする
ペルソナやCJMを作ったものの使われなくなってしまっている、あるいはそもそも要らないんじゃないか、そんな話を目にすることもありますが、A1AではペルソナとCJMを精緻に作成したうえで、各種コンテンツに落とし込んでいます。
具体的には、DMU(Decision Making Unit)における主要なペルソナ複数に対して、それぞれペルソナの詳細像とCJMを作成しています。
また、セミナーなどの各種コンテンツを企画する際には常に、どのペルソナ、どのCJMのフェーズを対象とするのか、どのような態度変容を促したいのかを明文化することで、それはお客様にとって有益なコンテンツになるのかを精査しています。
Point②お客様から直接学ぶ
上記のペルソナ・CJMの製作やコンテンツの企画をするにあたってはお客様から直接学ぶことを重視しています。
例えば、ユーザー企業の役員の方にお時間をいただき、役員、部長、課長とそれぞれの役割や仕事について根掘り葉掘りインタビューさせていただいたり、あるいは調達購買業務経験者の方と相談をしながらコンテンツの企画を練り上げたりしています。
Point③お客様の業務だけでなく、その前後の業務や経営課題、業界動向まで学ぶ
DMU内の多様なステークホルダーに対して、有益なコンテンツを展開するためには、ドメイン理解をその前後の業務や、上のレイヤーまで広げていく事が重要であると考えています。そのため調達購買業務に対する学習だけでなく、その前後、たとえば設計や原価企画業務、あるいは経営課題、業界の動向まで学びを深めることを意識しています。
このドメイン理解の姿勢は、A1Aの書籍購入制度や新入社員のオンボーディングプログラム、Notion上でのナレッジシェアの仕組みなどによっても支えられています。
大切にしていること③:Buyer Enablementの思想
大切にしていることの3つ目はBuyer Enablementの思想の実践です。
「お客様のシステム導入検討プロセスが複雑かつ長期的」である中で、お客様のシステム導入検討プロセスをどのように支援できるのかは非常に重要なポイントです。
ここではBuyer Enablementの意味について、詳細の説明は割愛しますが、下記にて高広さんのnoteの内容を引用させていただきます。
私はBuyer Enablementの文脈において、マーケティング組織にはお客様に対して様々なコンテンツを通じて、下記のような貢献が求められていると解釈しています。
Internal Salesになり得る人に対する課題の整理、解決策の検討に関する学習の支援
Internal SalesがDMU内での合意形成をはかる上で、なぜそのサービスを購入するべきなのかを説明できるようにするためのコンテンツ提供
Buyer Enablementに対してマーケティング組織が貢献できるようにするためには、先述した深いお客様に対する理解をベースに、CJMのフェーズそれぞれの状況に適した内容、チャネルで連続的にコンテンツが配置されていることが重要であると考えています。
そのため、マーケティングコンテンツの全体設計ではそのフェーズのペルソナが求める適切な内容なのか、後段のコンテンツはどういったものが適切か、またその導線はどのように用意しておくのかといった点を重視しています。
A1Aのマーケティング組織の目指す姿と面白さ
これまで、A1Aのマーケティング組織が向き合うエンプラ×Veritcal SaaSならではの難しさと、だからこそ大切にしているお客様視点の徹底について書いてきました。
最後にそんなA1Aのマーケティング組織は何を目指しているのか、また、現在地とその面白さについてお伝えできればと思います。
A1Aのマーケティング活動の目指す姿と現在地
これまで書いてきた内容を踏まえて、改めてA1Aでは下記の様な姿を目指しています。
深いドメイン理解から作り出される専門性の高い有益なコンテンツの提供
お客様視点をもとにした連続的なコンテンツとチャネル展開
上記を通じたお客様との継続的な関係性構築の実現
ただ、これまで色々と書いてきましたが、正直なところ、A1Aのマーケティングの現在地はまだまだこれからというフェーズです。
具体的に言いますと、A1AではUPCYCLEのサービスサイトをリリースする前からマーケティング活動において注力してきたセミナーコンテンツはかなり機能してきており、毎回200~400名ほど集客できるようなコンテンツになってきています。
一方で、これまでステルスでUPCYCLEの営業活動を行ってきた背景もあり、セミナーチャネル以外は全くと言って良いほど手をつけられていない状態でした。
ただ、ようやく2024年8月にUPCYCLEのサービスサイトを公開することができましたので、ここからオンライン・オフラインの多様なチャネルで様々なコンテンツを展開していきたいと考えています。
A1Aのマーケティング組織の面白さ
最後に、これまでお伝えしてきた通り、A1Aのマーケティング組織はエンプラ×Vertical SaaS特有の難しさを抱えるからこそ、お客様に真に役立つコンテンツを展開していくことが求められています。
一方でしっかりと品質の高いコンテンツをお客様に届けることが出来た際には、お客様から感謝の声をいただけることも多く、非常にやりがいを感じることが出来ます。
また、Vertical SaaSにおけるマーケティング活動のベストプラクティスの情報が少ない中で自分たちでベストプラクティスを模索できることや、コンテンツやチャネルをどんどん企画して立ち上げていくことのできる余白が山程あることも、A1Aのマーケティング組織の面白さなのではないかと感じています。
We are Hiring!!
最後にA1Aでは各ポジション絶賛募集中です!
もちろんマーケティング組織でも一緒にエンプラ×Vertical SaaSのマーケティングを立ち上げてくれる仲間を必要としています!
ぜひ、興味がありましたら下記よりご応募いただけますと幸いです!