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CTO&COOが語る新サービス『UPCYCLE』誕生の裏側

A1Aのブログをご覧いただきましてありがとうございます。
2024年8月5日に各種リリース情報と併せて、新サービスの『UPCYCLE (アップサイクル)』(以下、UPCYCLEと明記)を正式に発表しました。

今回は、CTO 佐々木とCOO 西島にUPCYCLEについて様々な質問をぶつけて、記事にしましたので我々の新しいサービスを知っていただけると嬉しいです。

佐々木 延也 プロフィール
A1A株式会社 CTO
株式会社カカクコム、株式会社Speeeでのシステム開発を経て、A1A株式会社を共同創業。製造業の経営と現場、両方に価値があるプロダクト作りを目指しプロダクト組織を管掌。

西島 誉典 プロフィール
A1A株式会社 COO
株式会社キーエンスに入社後、営業として静岡・山梨の大手製造業を担当した後、資材管理部にて購買を担当。その後、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社。製造業領域の営業を経て、A1A株式会社に入社後、COOに就任。


UPCYCLEの概要

ーー まず、UPCYCLEがやっと情報公開されます。あらためてターゲットユーザと解決する課題を教えてください。

西島  UPCYCLEは、製造業において量産メーカーの調達・購買部門の方たちがメインのターゲットユーザになります。俗にバイヤーと言われる方々です。彼らは所属する製造業の企業の中で、売上のうち6割を占めると言われ原材料や部品の調達を行う方達です。

大企業になれば、バイヤー1人当たり数10億円規模のような高い買い物をしているので、「できるだけ最適な値段で、適切な品質で、確実な納期で買いたい」とか、取引される加工品のコストを1個あたり1円下げるだけでも、経営に与えるインパクトが大きかったりします。

だからこそ、バイヤーの方々はコストを下げるために、日々さまざまな情報を使って「コストが妥当なのか?」「適切な価格なのか?」ということを判断しているんです。
今は、それらを判断するために必要な情報が散在していたり、属人化されていたり、要は活用しにくい状態になっている会社さんが多いので、『UPCYCLE』がそれらの情報を活用しやすい" カタチ "に整理してあげて、原価低減できる余地を探しやすくしたり、コスト分析をしやすくします。

ーー UPCYCLEはどんなことができるプロダクト・サービスなのでしょうか?

佐々木 先ほど、西島が「情報を活用しやすい" カタチ "に整理する」と話しましたが、その中で一番重要なポイントが見積明細です。
見積明細というものは、仕入れ先である各サプライヤーさんによってフォーマットや書き方がバラバラだったり、内容もかなり細かい情報が書かれているので、これらを活用するには、フォーマットや書き方を揃えて構造を標準化・統一した形に変えないと活用が難しいんです。

UPCYCLE サービス概要図

UPCYCLEは、書類データをUPCYCLEにアップロードしていただくだけで、この一連のプロセスを自動で行って、情報を活用できる形に様式を揃えることで構造化データベースとして構築するんです。

そして、構造化された見積明細データを、実際に査定するときの分析や、量産後にコストダウンを考える場面でのアイデア探しや、新たな案件でのコスト試算などに使えるようにすることで、これまでよりも高度な業務を実現できるようになると考えています。

本質的な課題に向き合った結果UPCYCLEが生まれた

ーー UPCYCLEを開発するに至った背景や経緯を教えてください

佐々木 調達・購買活動において最も重要度が高い情報は先ほど例に出た見積明細なのですが、重要かつ細かな情報がせっかく手元にあるのに活用できていないという会社さんがかなり多かったので、その課題を解決したいと思ったのが一番大きいです。

我々は当初、『RFQクラウド』という社外のサプライヤーと一緒に使う見積EDIというコンセプトの製品を提供していたのですが、RFQクラウドではDXまで実現するのは難しいという結論にいたりました。
RFQクラウドはその特性上、見積依頼者が見積の入力フォーマットを指定して、サプライヤーへ入力依頼をかけるのですが、サプライヤーからすると入力が手間で抵抗感が強かったり、ITに不慣れなことで入力方法が難しいというような問題がでてきたんです。
結果として、導入企業である見積依頼者側とサプライヤー双方の負荷がとても大きくなるし、本来は原価低減やコスト分析をしたかった導入企業では、それに必要な見積書データの収集が不十分になってしまいました。

ただ、製造業メーカの調達・購買担当の方々の「やはり見積明細は活用したくて…」という根強いニーズや本質的な課題は変わらないので、我々は、それならサプライヤーを絡めずに、自社だけでデジタル化してDXに繋がるような道筋を作るしかないと思ったんです。
そこで、「サプライヤー毎にフォーマットも書き方もバラバラな書類を共通化して活用できるようにするというプロセスを全てA1Aが担うことで、サプライヤー側が感じていた変化による痛みというものを生まずに自社だけで変化できるようにしましょう。そうすれば調達・購買担当のみなさんは見積明細などの情報を活用できて、よりコストインパクト出せるのではないだろうか」というところで、UPCYCLEというプロダクトを考えました。

ーー 調達・購買部門が現在直面する課題ってどんなことなのでしょうか?それも誕生の背景としては関係がありそうですが。

西島 関係はあると思っています。お客さまとのお話で、「昔の製造業って、高度経済成長の時代は成長期だから投資をどんどんして、たくさん作ったらたくさん売れるっていう時代だった。」という話をよく聞きます。
しかし、今の世界だと経済活動が成熟期に入っており、いかにコストを下げていくかというとは経営レベルでも調達・購買部門に求めることになっていきます。
さらに、近年は世界各国のものづくりがレベルアップしていてどんどん品質が高まっているので、調達・購買活動の中で世界中の良いものの取り合いになって、良いものをしっかり確保しなければいけないという、違う角度の難しさが生まれています。また、SDGsの普及や、グリーン調達なんかも調達・購買部門に求められる新しい概念であったりしますし。
なので、企業の事業成長や海外でのグローバル競争など、調達・購買部門のやるべき仕事が非常に変化してきているのにも関わらず、昔からやり方が変わってない部分が今の課題とおっしゃっている会社が多くあるのが現状です。

構造化されたコストデータと業務の高度化がUPCYCLEの独自性

ーー UPCYCLEの独自性、プロダクトサービスの強み、ユニークな点を教えてください

佐々木 ユニークな点というのは2つあって、まずひとつは、見積明細まで構造化して活用できる形でデータ化しているという点です。
調達・購買部門担当者はやりとりする相手には、社外のサプライヤーがいるので、コントロールできない領域として、サプライヤー各社様々な考えで見積書を提出しているわけです。
これに対して、UPCYCLEは見積明細のデータを構造化して持つことができるので、今までなんとなくブラックボックスであったサプライヤーの見積書の作り方という部分にアプローチできるというところが強みになっています。

もうひとつが、サプライヤーを絡めずにデジタル化、そしてDXへアプローチできる点です。
先ほどお話しした明細までデータ化して活用していくことをやろうと思った時に、見積書をやりとりするEDIも、そのアプローチとしてはソリューションになり得るかもしれないのですが、そうするとサプライヤーが関わってくるのでDXまで突き詰めるのが難しいです。
特にハードルが高くなるのが、海外拠点も含めたグローバルにデータ活用する時です。日本の製造業はグローバルメーカーが多いので、例えばインドネシア拠点の調達コストを見ようとした時に、インドネシア拠点でも日本と同じ見積EDIを使うとして、その見積EDIをインドネシアのサプライヤーにも説明して使ってもらわなければいけないなど、かなり難易度の高い変化を起こしていかなければ実現できないのです。
つまりUPCYCLEだと、サプライヤーの思想や見積書のフォーマットに関係なく、社内の調整として変革が実現できるというところで、グローバル的なコスト目線での変化を起こしやすいという部分もユニークな点なのかなと思っています。

CTO 佐々木 延也

西島 営業という視点では、お客様から見積EDIと比較されることがあったりもします。でも、最終的にお客さまが比較検討していった結果、UPCYCLEと見積EDIは全く違うサービスだなって認識をされることが必要であると思っています。
そこまでたどり着いた時に、すごくユニークでA1Aにしかないサービスってお客さまも気づかれることが多いです。

"プロセスをデジタル化するツール"なのか?、"構造化されたデータを使い業務を高度化するツール"なのか?、それが違いだという話をよくお客様からもされます。
お客様のニーズとしては、見積書のやりとりを効率化するよりも、その先の「もっといい仕事をしたい」というところが実際に解決していきたい課題感であったりするようなので、UPCYCLEの特徴である"使いたいデータが取り出しやすい"ことや、それによって”業務の品質を高める”という部分が強み、ユニークな部分だと感じています。

ーー UPCYCLEは構造化データをつくって、それを保有するという独自性がありますが、これまで"活用できるデータ化"が難しかったのはなぜでしょう?

佐々木 まず難しいのは、"活用できるデータ"にするとなった時に、そのデータ構造がそもそもすごく複雑で難しいというところがあるのだと思います。
特に、コスト情報を活用したいというお客様は、大量の部品などを買っている企業が多く、複雑な部品や機能部品のような形になって、ユニット調達になっていきますので、それをデータベースとして活用するために必要なデータ構造が複雑で、仮にExcelで作ろうとしてもほぼ無理だと思うんです。

もうひとつは、調達担当者の仕事は属人化させるべき仕事であるという側面を持っていることです。これは、マイナスの印象を与える意味ではなく、そもそも買っているものが様々であり、買っている部品・技術毎に担当者をつけるというフォーメーションになるので、短期的に見ると横の情報共有の必要性がかなり薄いです。
ただ、担当の入れ替えは定期的にあったり、ベテラン社員が退職するとなると、情報共有の重要度がいきなり跳ね上がるのです。
そうじゃない時は、例えば樹脂関連部品の担当者とプレス部品の担当って情報共有する必要性が殆どない。必要性がないがゆえに長い目で見ると必要な整備をするというインセンティブが生まれにくいところがあると感じています。
調達は突発的なトラブルに対処するといったことも多いので、そうなると明らかに緊急度が低いが、長期目線で見ると明らかにメリットが高い構造化データ構築は優先度が下がってしまうというのがあるのかなと思っています。

UPCYCLE開発の裏話

ーー 新規プロダクト企画や開発ではどんなことに難しさを感じてきましたか?

佐々木 UPCYCLEはBtoB、Vertical、エンタープライズ系のSaaSに該当するので、あらゆることのリードタイムが長くなるというのがまずひとつあります。
プロダクト開発とはそんなものだと思いますが、正解がわからないなかで、前向きにポジティブな空気を持ちながら前に進むっていうのをやるしかないっていうところが難しくて、精神力、モメンタム(勢い)を失わないようにしながら、かといって、価値を届けてるかどうかではなくて作ることにフォーカスしちゃって価値のないものをどんどん作っちゃうみたいなことにはならないようにしないといけない。価値があるかどうか、うまくいってるかどうか、という結果はすぐには得られないので、進むって推進力は失っちゃだめ。ここが難しいところのひとつです。

もうひとつは、お客さまの声を解釈することの難しさで、導入してくださる担当者、利用者、決裁者が一致しているわけではなく、例えば、調達企画が推進して、使うのは調達・購買部門というパターンも結構あるので、そうすると、UPCYCLEを買わない理由や使わない理由みたいなものを分析するときに、組織力学とか購買の意思決定の流れのようないわゆる営業プロセスについての理解も一定ないと、それはプロダクトが原因だったのかどうかということに帰結させることが結構難しい部分があります。

ーー ビジネスサイドとしては、新規事業開発としての動き方は求められたと思いますが、どんな点に気をつけながら推進してきたんでしょうか?

西島 プロダクトのコンセプトと、お客様が実際にやりたいこと、それぞれが言語化されていない領域でどう解釈しながら社内フィードバックしたり、お客様とコミュニケーションとるのか、という点が気をつけていたことです。

Vertical SaaS、特に新しくユニークなプロダクトを提供していくとなった時に、お客様が「確かにそういうことをしたかった!」とおっしゃる"そういうこと"というのが、それから類推されるやりたいことなのか?、それともど真ん中なのか?っていうのが混在してることが多々あったりするので、ペインが何で、本当に困っているのか?何をやりたいのか?現状どうなってるのか?ということを分解していくのが非常に大事だなと思いました。

そして、私たちがお客様とのコミュニケーションを通して、情報を分解して重要度を考えていくという姿勢が重要だったと感じます。
すでに存在するサービスを提案するのではなく、一緒にプロダクト、サービスを創っていくという感じが一番近い印象でしたし、お客様が欲しいと言ったものを作るではなく、お客様が本当にやるべきことを考えて仮説を立てていくみたいなところが非常に大事なポイントだなと今振り返ると思います。

UPCYCLEの深化と広がり

ーー UPCYCLEの価値提供領域の深化、広がりについて考えを教えてください。

佐々木 価値提供領域の深化で言いますと、調達というのは情報がものすごく多いんです。世の中の市況的な情報もあるし、自社が貯めている情報もあるし、サプライヤー毎の情報もあったりします。
見積明細だけではなく、図面、生産計画データや発注データ、サプライチェーンの情報、BCP周りの情報、品質、納期などとにかくいっぱいあるわけです。

詳しくは言えない部分はありますが、UPCYCLEでは調達する製品について意思決定を高度化するために"調達データプラットフォーム"として重要な情報をしっかりと活用できるようにしていくための深化ということに取り組んでいきたいと思ってます。そして、それを調達・購買部門の全拠点で活用できる状態を目指したいと考えています。

広がりについては、A1Aは製造業、特に量産メーカーのエンタープライズ系をメインターゲットとしているので、既存のHorizontalのソリューションでは十分に解決しきれない根が深い課題をどんどん解決していきたいなと思っています。

補足ですが、"未解決の課題を解決する"というのが前提としてすごく重要だと思っていて、もちろん解決策が明確にわかっている市場という視点も重要とはおもいつつ、やっぱり"まだ未解決"という領域に価値提供するということをやっていきたいと考えます。そういう意味でHorizontalだと解決できないことを、私たちでしか提供できないようなプロダクトであるUPCYCLEが解決していくってことかなと。

西島 同感です。すごく抽象度を高めると、やっぱり私たちでしか解決できないような領域を広げていきたいですね。
もともと製造業の調達領域は、すごくアナログな業務領域が広いのですが、バイヤーの皆さんからは「本当はデータを使いたい」とか「データを活用できればもっといい仕事ができる」という意見を聞きますし、自社でそれをシステム化するというのはなかなか難しいのが現状なのだと思います。
だからこそ、私たちがそこに向けてお客様の課題をちゃんと掘り下げてプロダクトを深化させたいって思います。
製造業界に存在するSaaSはHorizontalが殆どだなと思うんですけど、私たちはさらに深く入って、調達・購買活動を深く探求し続けるほど、新しい種が見えてきたりするので、この種というものがUPCYCLEに蓄積されるデータを活用して、様々な提供価値に派生していくようなものであったり、調達・購買部門でソリューションを検討するときに、UPCYCLEが唯一無二の選択肢になるというレベルまで進化させられると思っています。

ーー 最後に、深化と広がりという部分に対して、これを実現するためのA1Aのあるべき姿について聞かせてください。

佐々木 私は、もう行動あるのみ、行動量だと思っています。
なぜならば、未解決の課題を解決するということは、まだ世の中にないものを作ることだと思うからです。つまり、正解がわからないものをやっていく。
検証するんじゃなくて成功すると思ってやりに行かないと結局失敗ってわからないので。
そこまで進んだら、学習して、失敗を認めて、また行動するというのを繰り返していくというのがすごく重要かなって思っています。

西島 私は特にビジネス部門の話でいうと、やはり、とにかくディープダイブ、深く掘り下げていくということがすごく大事なのではないかなと思っています。
それを製造業の調達・購買活動全般領域ぐらいの広さでやっていこうとしているので、すごく深いですし、もしかしたらお客さまも理解しきれていない領域もあるかもしれません。
そして、そこに対して今まで無かったような価値提案をしていく、今までに無いプロダクトを作ってサービス化していけば、お客様を上回っていくようなプロフェッショナリズムが生まれるんじゃないかな。
いろんな観点を踏まえてご提案するときに、問題は何か?本当に何に困ってるのか?といったところまで、お客さまの事業についてちゃんと理解していくところが大事なのではないかと思います。

-- ブログをご覧頂きましてありがとうございました。

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