『中動態の世界 意志と責任の考古学』國分功一郎
要約
現代の諸言語は、能動態と受動態の二項対立を前提としている。でも実際の日常は、「する(能動)」と「させられる(受動)」に区分できない行為にあふれている。例えば誰かにお金を差し出す行為は、現代語では能動態で記述される。でももしカツアゲでお金を差し出しているのであれば、その行為は受動的とも言える。逆に寄付であった場合でも、その行為の裏には無意識の名誉欲があったかもしれないし、そもそも「お金があればこの人は助かる」という考え自体もどこかで学び得たものだし、100%自発的な行為は