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『憲法学者の思考法』木村草太

気鋭の憲法学者が時事問題を憲法の視点で解説した本。
なるほどー、の連続で面白かった。

例えば同性婚。憲法24条で婚姻の成立が「両性の合意のみ」とされているのを踏まえると、同性婚は憲法では認められていないようにも思える。でも「両性」という表現には男性側の意向のみで結婚が決まった時代の反省が、「のみ」という表現には当事者以外の家族の意見が強かった時代の反省が表れている。あくまでも個人を尊重する文脈での条文であり、24条は同性婚の否定ではない。同性婚について議論するなら、24条よりむしろ14条の平等原則を根拠にした方が正当性を主張しやすい....とかとか。

自分も一度は勉強したことのあるはずの「憲法」をフル活用して、ロジカルに解決の糸口が提示されていく。自分のなけなしの知識もカラーになっていくような感覚だった。
研究室に閉じこもらず、こうやって最高峰の学問を実社会に確実に繋げていくスタンス。めちゃくちゃ勇気をもらえる。

文章もとても分かりやすく、浅学ないち市民の自分にも確実に届く。そういう意味でも、学術と社会を繋げてくれる有り難い橋渡しだと思った。

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