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記事一覧

July, July / Tim O'Brien

1969年に同じ大学を卒業した学友たちの、2000年7月の同窓会の話。 主人公は不在で、卒業生1人…

横山 秀
12日前
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『黄色い家』川上未映子

いやぁ...しんどかった。1冊に100冊分の不条理が詰まってた。 水商売のシングルマザーのもと…

横山 秀
2週間前

Klara and the Sun / Kazuo Ishiguro

いやー、良かった!! ちょっと切ないけど、じんわり温かい名作。 主人公のクララは人の形を…

横山 秀
2週間前

『やさしい猫』中島京子

入管に収容されたスリランカ人の父のために、妻や娘が奮闘する小説。 小説といっても、綿密な…

横山 秀
2週間前
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『万延元年のフットボール』大江健三郎

とある地方の山に囲まれた谷間の村に帰ってきた兄弟のひと冬の話。 地理的にも心情的にも閉塞…

横山 秀
2週間前
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MAO II / Don DeLillo

おお……。展開こそ少ないけど、ずっと緊張感のある小説だった。 貧困と暴力が蔓延する、ディ…

横山 秀
2週間前

『水中の哲学者たち』永井玲衣

勝手に学術的な内容を期待していたので、エッセイ風に綴られる平易なコラムの数々に、最初は「違うな」と思ってしまった。でもだからといってこの本を閉じてしまうのは、もっと違うなと思った。 というのも筆者は「哲学対話」を実践していて、そこでは誰の意見も否定せずにゼロベースで「なぜ人は生きるか」のようなテーマを考えている。そんな筆者が答えのない日々の思考を淡々と開陳する本書に対して、早々と「エッセイ」と決めつけて途中で閉じてしまう行為は、「哲学」と「対話」からの逃避だと思えてならなか

『中動態の世界 意志と責任の考古学』國分功一郎

要約 現代の諸言語は、能動態と受動態の二項対立を前提としている。でも実際の日常は、「する…

横山 秀
2週間前

A Pale View of Hills / Kazuo Ishiguro

「ザ・カズオイシグロ!」って感じの、記憶がテーマの作品だった。 代表作のRemains of the d…

横山 秀
2週間前

『憲法学者の思考法』木村草太

気鋭の憲法学者が時事問題を憲法の視点で解説した本。 なるほどー、の連続で面白かった。 例…

横山 秀
2週間前
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『献灯使』多和田葉子

複数の友人が話題にしてると気になるの定理で読んだ一冊。冒頭から主人公の名前が「無名」だっ…

横山 秀
2週間前
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『JR上野駅公園口』柳美里

とある男性の一生を、一人称の詰り手で回想した話。 出稼ぎ続きで家族の時間の奪われ、働く目…

横山 秀
2週間前

Leviathan / Paul Auster

いやー、面白かった...。内容に共感したとか表現が気に入ったとかより、シンプルにストーリー…

横山 秀
2週間前

『わかりやすさの罪』武田砂鉄

フリーライターの武田砂鉄が「わかりやすさ」をテーマに書いた一冊。 「悲報」のテロップで受け止め方を規定してくるニュース番組、 会話だらけで全部説明するドラマ、 「~はバカ」とすぐ決めつけてくる論客、 キャッチーな言葉だけを連呼する政治家..。 現代に跋扈する「わかりやすさ」に対して、筆者は疑義を呈していく。 確かに社会には色んな立場・事情の人が居て、誰の目も「悲報」「バカ」と即決できることなんてまずない。 そして社会だけでなく、自分自身の中にも色んな考えがある。 でも多く