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映画日記

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映画やドラマについて。
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自由な中年女になる!

自由な中年女になる!

劇中でのなんとも爽快なパンチライン! 

昨日、『ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語』を観に、映画館へ。待った甲斐があった。観賞後、素直にそう思える傑作だった。

当初は3月公開される予定だった作品で、とても楽しみにしている作品だった。公開に当たった関係者の方の記事を読み、別の感慨もこみ上げてくる。

グレタ・ガーウィック監督女性作家オルコットの名作小説をグレタ・ガーウィッグ監督を現代版ア

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ガールクラッシュと搾取構造

ガールクラッシュと搾取構造

想像する以上に、「ガーズクラッシュ‼︎」なドラマで(ゆえに、“クラッシュ“なギャルズだったのかと、今更、感動)、青春群像劇だった。

当時、家族で悪役同盟とクラッシュギャルズの試合や歌番組を観て、友達と雑誌をまわし読みしていた記憶があり、その残像と重なる部分がありすぎて、ニヤニヤ&大興奮(とはいえ当時を知らなくても大丈夫)。一気見してしまった。

とにかくアクセル全踏みのベタなプロット、何よりプロ

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自分のご機嫌、誰がとる?

自分のご機嫌、誰がとる?

『ナミビアの砂漠』の山中監督のインタビューを読んでいるが、私が内面化してきたであろうことをズバズバと指摘してくれるようで、最初はそれを申し訳なく思っていたけれど、だんだん清々しい気持ちにすらなってきた。

「自分で自分のご機嫌をとろう」と、私はメディアで多く発信し続けてきた自覚もあるが、やはりそれ(ざっくり言うならば、我慢)によって、その場はうまく回れども(いや、その気になっているだけかもしれない

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うぶ毛はムダ毛なのか?

うぶ毛はムダ毛なのか?

「葉子ちゃん、ひげ生えてるよ」。

中学生の頃、同級生から言われて驚いた。今、思えば、陰で言われ続けているよりはマシだと思うけれど、とにかく「恥ずかしい」と思って、家に帰って母親に「なんで言ってくれなかった!」と怒った記憶がある。多分、当時の大人から見たら、うぶ毛って初々しさの象徴のようなものだったと思うので(個人的にも、今となったらそう思えるのだが)、母親は微笑ましく眺めることはあっても、「剃り

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英語と標準語。日本語と方言。

英語と標準語。日本語と方言。

エミー賞授賞式の壇上に真田広之さん。日本語の謝辞が聞ける日が来た(そもそも『SHOGUN』劇中の7割が日本語)!!

数日前のVMAステージで、Megan Thee Stalionがパフォーマンス。共に千葉雄喜も"Mamushi"をパフォーム。日本人ラッパーが、日本語のラップ。会場が一体になる。

エミー賞のレッドカーペットのインタビューで真田さんは、「日本の映画製作者たちは時代劇を西洋化、現代化

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アメリカ副大統領候補のこと

アメリカ副大統領候補のこと

(おそらく2018年から)積読しっぱなしで、途中、netflixでの映像化を観たばかりに、読んでいた気にすらなっていた『ヒルビリーエレジー』をやっと読む。

言わずと知れた、共和党の副大統領候補に選ばれた J.D.ヴァンス の回顧録。トランプを大統領にまで押し上げた、ラストベルトの困窮する白人たちの悲哀がわかると当時ベストセラーになった一冊。それは本当によくわかるけれど、

出版から時が経ち、「な

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『ナミビアの砂漠』と『pink』

『ナミビアの砂漠』と『pink』

『ナミビアの砂漠』を観たら、どうしても岡崎京子『pink』が読みたくなり、実家にあるのに新装版を買って読む。そして、2度目の鑑賞。

ニヤニヤ苦笑しながら観ていたら終わった初回と違い、やたらと主人公カナの苛立ちとメンタルヘルス問題に意識が向かう。

『pink』のあとがきには、“愛と資本主義をめぐる冒険と日常“と書かれているが、カナは「日本は貧困と少子化で終わるので今後の目標は生存になります」と言

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忘却の空の下で。映画『あんのこと』

忘却の空の下で。映画『あんのこと』

昨日は肌寒く豪雨。本日は晴天の夏日。なかなか梅雨入りだと宣言はされない。

コロナ禍。慢性鼻炎持ちだからか、高温多湿時のマスク着用はとても息苦しかった。自宅に戻り、マスクをはずす時の爽快感は心身ともにホッとできる瞬間だった。あんなに鮮明だった身体の記憶までも簡単に忘れてしまう自分に驚く。

映画『あんのこと』を観た。入江監督は、「コロナ禍というものをきちんと残しておきたかったんです」とインタビュー

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思春期=『私ときどきレッサーパンダ』

思春期=『私ときどきレッサーパンダ』

(instgramより転載)

“思春期あるある“てんこ盛り(特にヲタ属性の方)。“母娘あるある“もてんこ盛り(特に母親が厳しかった方)。ナイフみたいに尖りがちで、自分の中の何かが破裂しそうになる、あの頃をポップに描ききってるのが偉業。さらに、生理の話をがっつり入れたのも偉業。

いつの間にか折り合いをつけて大人になったわけだが、まだまだこの感じ、自分の中に残っているなぁなんて思いつつ。自己受容か

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『THE BATMAN』=これが、バットマン

『THE BATMAN』=これが、バットマン

(instagramより転載)

とにかく暗くてシリアス。陰鬱で、徹底的にオフビート。「これがバットマン」「これがゴッサムシティ」を再定義しているかのよう。私たちは、こっちでいきますんで」という、DCからMARVELへの挨拶状みたいな一本。

“闇”な世界観に浸りたい人には、たまらない3時間。

(そう、3時間。体勢を変えずにいすぎたようで、最後、腰がくだけるかと思いました☺️)

MCUに毒され

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『ハウス・オブ・グッチ』

『ハウス・オブ・グッチ』

豪華な(懐かしの)大映ドラマ観てるみたいで、名優たちの悪ノリ?的こってり演技対決が楽しかったです。

「ミケーレはパオロが転生したのかも?(センスの話として)」と考えると、ジャレッド・レトが演じることに妙に納得。

こんなドタバタの中(ドタバタだから?)、救世主トム・フォードが現れ(トム期がグッチに対する個人的ピークゆえアガりました☺️)、今やドラえもんとまでコラボして…ほぼ事件は社会人になってか

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ジョーカー

ジョーカー

衆議院選挙。そして、ハロウィン当日。痛ましい事件が起きた。選挙結果ももちろんのこと、いろいろと頭の中が整理できない。

映画『ジョーカー』を観た時に書いた約2年前のnote。

映画が公開された当時、深く共感した西森路代さんの寄稿。

アーサー、そしてジョーカーは、現実の世界において弱い立場にある人間に目を向けることのできない人に共感されるようなキャラクターではないし、この映画は人の露悪的な感情を

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【最近のお仕事】僕は、正しく傷つくべきだった

【最近のお仕事】僕は、正しく傷つくべきだった

映画『ドライブ・マイ・カー』の主人公・家福は、妻を失った後、最終的に「僕は正しく傷つくべきだった」という境地にたどり着く。ライター西森路代さんに映画評を寄稿いただき、記事がTwitterで拡散し、さまざまなコメントが寄せられた。

セルフケア、家父長制がテーマの映画「傷つくことに正しさなんているのかよ!」と、(ジェンダーで区切って語ることは的確ではないかもしれないが)主に男性とおぼしきアカウントか

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メンズ美容とバックラッシュ

メンズ美容とバックラッシュ

2008年のノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんが死去。ニュースで過去の講演会の動画が流され、「未来は良い方向に向かっている。逆流もある。けれど、未来は明るい」というようなことを語られていた。その信念があってこそ、研究に没頭、邁進できたのだろうと思う。

先日、お笑いコンビの「きつね」の大津さんの美容に関するインタビューをアップした。その美容への探究心はもちろん、大津さんの物事を俯瞰から見て、そ

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