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「100億人:私達は何を食べるのか?」人口増殖と食糧危機に対して、現代の工業型農業や畜産業の裏側にある真実と、消費者として何を知り何を選ぶべきかを考えさせられるドキュメンタリー

100億人:私達は何を食べるのか? (2015 年 1時間42分)

一言でこの映画を纏めるなら


今回、このドキュメンタリー映画を簡潔に私の視点から纏めるとすると

”工業型農業や畜産業の裏側にある真実と、消費者として何を知り何を選ぶべきかを考えさせられるドキュメンタリー”

と言えると思います。

どんな人にオススメの映画か?

「口にしている食べ物がどのように私たちのところにやってきているか」を、世界規模視点で知ることができる映画です。

その裏で

「搾取している側」と「搾取されている側」
②一時的な効率性や生産性を追い求めるが故のリスクや環境破壊など持続可能な社会構築と矛盾する真実
③消費者として何を知り何を選ぶべきか

を非常に考えさせられるドキュメンタリーと思います。

我々は化学的進歩や発展の恩恵を受けている面も勿論ありますが(一般的にもドキュメンタリー作りとしては、搾取「する」側vs「される」側に見える構成でもあるので注意も必要と思っていますが)、その代償や裏側をあまりに知らずに生きていることを思い知らせれました。

特に日本は自給率が非常に低く、輸入に頼っている中で、どれだけの他の貧困な農業の国の人たちの生活の犠牲の上に食べ物がきているか、またその食べ物がどれだけ安全なのか危険なのかもわからないまま過ごしている人が多いのではないでしょうか?

このドキュメンタリーを見たら明日からの消費行動や食事の選び方が少しでも変わるのではと思っています。一人でもそういう人が増えれば、少しづつでも地球が良くなっていくことを心から願わずにはいられません。

※ちなみに本題の趣旨ではありませんが、工業製畜産業の工程を追っている場面があります。

孵化した鳥が選別され(選別されたひよこはシュレッダーにかけられ)、生かされた鳥は予防接種注射を打たれ、死ぬほど狭いケージに閉じ込められ、養鶏センターに運ばれ、そこで早く大きく育てられ(そういう育てられ方をしています)、成長したら足から釣り仕上げられ、生きたまま首を切られ、羽を剥がされ、皮を剥がされ、血を抜かれ、あらゆる部位に切り刻まれ、我々がスーパーで見るようなパッケージにされる一連の流れが収められています。

私は以前から個人的にこのような状況を見て、肉を食べない(食べれない)選択をしていますが、衝撃度の高い場面かと思うので、ご注意ください。

今回も、自身の勉強の為に内容をまとめたので、目次だけでも概要がわかるので、もしご興味がある方はお読みいただけたら嬉しいです。


人口増殖による食料需要

人口が100億人になるのも目前

現代でもフードロスの問題や肥満の問題が取り上げられている一方、すでに世界の3人に1人は十分な食料にありつけず、飢餓や栄養失調に陥るという事態が解決されないままである。

好きな食べ物を選り好みできなくなる日も来るのでは?

そのような中、将来人口が100億人になるのは目前と言われており、将来全員の食料が確保できるのは深刻な問題である。

世界の食文化は多様だが、例えば東南アジアの食生活は様々な昆虫類も含まれているが、おそらくこれは万人受けではない。しかし食糧難がやってきた際、食べ物の選り好みなど言っていられないのではないはないだろうか?

このドキュメンタリーは、各国のその解決策を追っていくと共にその裏側の問題にスポットを当てている。

種子生産(交配種)の裏側

品種改良や遺伝子組み換え、交配種の研究

実は多くの農作物の種子は大企業が握っており、世界の4分の3はたった10社が握っているのである。

ドイツの大企業の種子研究センターでは、品種改良遺伝子組み換え、また交配種の種子の研究を行なっている。これらの研究で開発された種子は農作物の成長・収穫が早く効率的だという主旨からだ。

世界の人口が食品に有り付けないのであれば、これらの研究は必要というが、長期的な健康の不安は払拭できないのは事実であろう。

自然災害に弱い交配種を買わされるインド農家達

これらの、種子で農作物を育てる農家(特に顧客はアジアの小さい農家が多い)収穫量は上がるが、毎年種子を農家は買わないといけないので、企業への依存が必須になるというデメリットが深刻だ。

そしてまだこの開発段階の大企業から購入した交配種は洪水で全滅して、すべてダメになってしまったが、実は伝統的な種子からの穀物は全て生き延びたという事例もある。

交配種は早く育つが、伝統的な従来の米の方が洪水に強く、インドには適しているが、大企業はここに引き続き売りつけようとしており、中小規模の農家の彼らは搾取に苦しんでいる

交配種に必要な肥料や農薬による水質・空気汚染と健康問題

実際、インドの農家も、大企業からの交配種ではなく、洪水や気候変動にも耐性が強い従来の種子に愛着を持て育てており、これらの種子を保護したいと願っている。

種子は企業ではなく農家が所有すべきだが、今は企業の囚人になってしまっており、これでは企業が値段を上げたら種子はどう入手したらいいのか?と不安でいっぱいだ。

交配種を植えれば収穫量が上がると言われたが、これらの種には肥料と農薬が必要で水と空気が汚染され、多くのものが人口的な健康問題を抱えることになった

交配種が売れないと殺虫剤も農薬も売れないという大企業の真実

このような伝統的な種子バンクを大事にして、インドに多く農家が独立性を誇りに思っているが、交配種が売れなければ、殺虫剤も肥料も売れない企業としては面白くなく、インドの農家をまた脅かそうとしている。

肥料製造業社の裏側

無機質肥料は飢餓問題の解決になるのか?

100億人の食料提供には、少ない土地で早く効率的に生産量をあげるのが必須であり、無機質肥料はそれに貢献できるものだというのが開発企業の主張だ。有機農業の収穫量より明らかに収穫量もスピードも速いというのである。

しかし、無機質肥料の生産のために必要な成分の採掘を繰り返し、その廃棄物による山は200メートルは超えるし、必要な窒素肥料も工場で膨大なエネルギーを使用しないと生産できないので、遅かれ早かれ人工肥料は終わりを迎えるのは目に見えているである。

本来の養分循環の仕組み

無機質肥料は世界で尽きようとしており、その環境汚染リスクや健康被害に警鐘を鳴らす、昔ながらの有機農業従事者もいる。

畜産と農業は本当は相性が良く、本来土の養分は自然に循環されるべきであって、養分循環を維持する仕組みが必要で、植物に加える養分が土に帰れば持続可能で常に使うことができる。

無機質肥料の多量の投与は、特に人工的な窒素と人工化学農薬が大量に使用られるため、一時的には生産性は高く収穫量は高いが、地上水や海水にも影響を及ぼし、環境システムを破壊してしまうなど非常に非効率なのが問題だ。

無機質肥料で一時的な生産性を求めるのではなく、持続可能な農業が必要と有機農業従事者は信じている。

養鶏・産卵生産システムの裏側

爆発的経済成長を遂げたインドの養鶏産業

インド人の40%はベジタリアンだったが、最近は肉を食べる人が増えている。何より養鶏産業は、インドでは週に700万以上のチキンが売れており、爆発的な経済成長を遂げており、安価で養鶏が手に入る社会になり、需要がうなぎのぼりだ。

インドの人口はすでに12億人で全員がこの工場式養鶏場で育つ安い肉を食べたら環境への影響は破壊的であるが、実は、結局先進国における人の肉食生活の方が問題であったりする。

というのも、もし全員が西洋諸国と同じくらい肉食べるのであれば、惑星3つ分の資源が必要と言われている。

産卵目的のための交配種の養鶏の残酷な真実

食肉だけではなく、産卵の為の養鶏の裏側もまた残酷である。卵を産むための交配種は、産卵目的に最適化されているので、雄は孵化後、ドイツ国内だけでも年間4千万羽も殺されている現実だ。

交配種は満腹感を感じないように品種改良されていて常に食べ続けるようなっており、鶏も太りすぎて痛くて歩けない状態になっており、そのように大きくなるので2−3倍のサイズになって、産卵後は食肉用に回される

高まる需要に対する安価な生産方法であり、いわゆる「ちゃんと育てられた鶏肉」はこれらの4~5倍の値段がするが、なかなか需要が少ないの現状である。

増える肉への需要に付随する飼料確保の問題

動物の餌の為の大豆畑と引き換えに搾取される土地と労働者

世界の肉の消費量は増えており、安価で効率的に提供できるようこのように残酷な生産方法が行われているが、更に、同時に餌の需要も上がっているのが、実は大きな問題の一つである。

モザンビークでは動物の餌のために、山を切り崩し、たくさんの大豆畑ができている。

巨大な農場所有者は「現地の労働も生み出されている」というが、現地の搾取されている労働者の軍団に支えられており、それはまるで、昔の奴隷制度のような姿である。

持続可能には、利益を生むことが必要で、営利企業こそがアフリカの変革をもたらすと農場経営者は主張しているが、しかし利益を得ているのは少数で、日雇い労働者にお金を払っているだけで、ジャングルから土地を奪っているだけである。

世界の穀物収穫量の1/3以上が飼料となっている

他の大企業はもっと野蛮に現地の民間の小農家の農地を勝手に奪っているという事実もある。

いきなりやってきて、「貧困を助けたい、種子と融資約束し、学校や病院に水道も道路も作ろう」と話を持ちかけるが、結局農地を勝手に占領して、彼らの所有権は土地登記所に乗っていないなど主張し、対価としては1年過ごすにも十分ではないお金しか保証せず、どんどん勝手に小農家の土地を勝手に壊すことが続いて、現地の農家は大変嘆いている。

何故、このように大企業が、アフリカ地域の土地を野蛮にも奪い、この産業に参入しているかというと、大量の需要がある鶏肉の餌に欠かせない、大量の大豆の輸入が必要な為である。

実際に、利益や恩恵を得ている現地の農家はほぼおらず、80%が農民のこの国の人たちは、このような状態が続いたらスラム街に行くしかない未来が待っている

室内栽培や遺伝子組み替え養殖、牛肉培養

室内栽培の取り組み

その他の手法でも各国で、この食糧危機に関しての研究が行われている。
日本では、農薬を使わず人を入れず、ラボで光も自動化した室内栽培を研究している施設がある。土を使わず、棚で育てるので、単位面積当たりの収穫量も100倍と効率が良い。

土は菌が繁殖してコントロールできない為、工場はコントロール下に置かないといけない状態で、管理が厳しい状態だ。また自然からはかけ離れた製造工程でもある。

これは、島国で耕作地に乏しく土地がないので、工夫しているが、当然値段も高く汎用性が高いと現段階では言えず、食糧危機を救う一手になりうるかは現段階ではなんとも言えない

遺伝子組み換えのサーモン養殖

食糧危機は農作物や肉だけではない。養殖業界においても、研究が進んでいる。

例えば、サーモンも、遺伝子組み換えをすることで通常より半分の時間で出荷できる研究が進んでいる。出荷できるまで育つのに通常4年かかるところ18〜20ヶ月で出荷できるので、効率的であり、人類として成功するには技術導入して発展させるべきと科学者研究者は豪語する。

その他、同じ環境下で育てても5~6倍早く成長するサーモンの研究もされているが、これらのリスクは不明なところである。

幹細胞を取り出して増殖させる牛肉培養プロジェクト

また食用の肉の幹細胞を取り出して、培養するというプロジェクトも進んでいる。

工場式農業や畜産業より、犠牲は少ないと思われるが、伝統的な放牧式と比べると環境バランスも非常に悪く、そのリスクは不透明だ。

また研究段階であり培養という形で工場で生産されていて高価なので、貧困層には手がとどかないので、食糧危機の解決というには程遠いであろう。

農業の経済システムの矛盾と解決策

農家の貧困 VS 購入層の貧困

農業は過去30年経済状態酷く稼げていない状態で、各国でも農家の自殺率も多いのは深刻な問題だ。

その解決のために、投機(投資)で商品価値を上げ改善を信じてやまない投機家もいるが、株価の変動が激しい為、急な高騰により、今度は貧困層が購入できないなど、逆に深刻な問題も引き起こしている。

また、これらの投資は大農家のみが利益を得て、小農家は恩恵を受けないどころか、大農家や大企業に賠償され、苦しむ一方であるという負の連鎖を生み出す面も見過ごせない。

小麦やトウモロコシのなどの食物の高騰は消費者が購入できないという事態が生じ、暴動が起きるという負の連鎖が起こるが、一方、貧困農家を救うために、商品価格を高騰させる必要もあるというジレンマがあるのが実態だ。

地域経済支援システム

投機による価格高騰システムは、弊害も多く、恩恵があっても大農場のみというシステムの考え方ではなく、地域の小さな農家にきちんと利益が行き渡るよう、イギリスで、地域での買い物を推奨する取り組みをしているところがある。

現在の経済システム故、小農が追い出されて、巨大な投資農家がそれを奪い市場に供給する商品で育ているが、食糧危機に対応するための、回復力は小農にかかっていると考えに基づいている。なぜなら、自分の土地で、自分の種と土を守っているのは小さい農家だからだ。

経済発展と進歩の追求の元、このような大切なものを捨てているが、それが必要な時がまた必ず来る。しかし、現代のシステムのままではそれらが見つからなくなってしまうだろう。

その考えのもと、地域の小農家のものを、地域の人が買うというシステは、持続可能なシステムとして機能しているように見える。

小農家支援するモデルが解決の鍵

上記の例にあるよう、小農家を支援するモデルが重要という見方は一部でも増えはじめている。

工業型農家は従来より上手に食物を供給できると言っているが、多くの研究が示しているように、小農家を支援するモデルが、土地の最も生産的な使い方だという議論も出ている

また、有機農家は工場型農業より生産料が少ないと思われていたが、実際は途上国の小さな農家の収穫量は大農家より大きい

というのも小農家は、肉体労働でより集中的に田畑を耕作すことができるので限られた土地からより多くを引き出すことができるからである。

機会と化学薬品で耕作される大きな田畑は労働が省けるために農業が安くなるが、それは途上国には十分な労働者がいるから必要ないのである。

消費者が何を選び、何を食べるのか?

食糧危機を救う鍵は各地域農業の経済的自立

大企業に搾取され、作りたいもの地域で食べれるものではなく、輸出するための農業ばかりせざるを得ない状況が問題である。その生産性や利益よりも、その地域が必要で食べたいものが作れず、必要な食料が高騰して、飢餓につながる方が問題である。

つまり、解決には地域の小農場の経済的自立が解決策の鍵となる。世界市場でトウモロコシがこうとしても自分たちで作れれば。

ただ、これが実現するには、先進国が消費パターンを変える必要がある。工場式農場の肉を買わなければ、大きな大豆農家が小農から土地を奪うこともなくなり、また有機農業や地域や季節の農産物を買うようにすることも重要である。

つまりは先進諸国の我々の購買行動が巡り巡って、貢献するということである。

消費者が食物システムを理解すること

こういったことに気づき、先進国都市部でも「どこで」「どのように」生産されたか「わからない」食べ物を食べていることに反感を買い始めた人たちが協力し合い、自分たちの地域支援型農業という取り組みを始めているところもある。つまり、地域で育て地域で購入するというやり方だ。

「食べ物がどこから来ているのか?」に興味関心を持つことで、人々の行動は草の根から変わることで、大きなウェーブを起こすことになる。

消費者は「地域」の農作物を買って「中小規模の農家」を支援すること

これまでの、世界の現状を見渡すと、食物生産がどれだけ複雑であり、グローバル化市場がどれだけ脆弱か明らかになった。

一握りの企業のみに食料供給に関して決定を許するのは大きな間違えだったことがわかる。

結果として、世界中のほぼどこでもいる大規模農家によって少農作と小農家は彼らの土地から追い出されてしまった。しかしその農業手法が持続可能でないために、彼らは子供達やその子どもたちのために食料供給を守れないことに繋がる

これらの大きな問題への解決策は小規模なアプローチが必要だ。特にアフリカやアジアなど人口増加が他の場所よりも急速な場所では、労働力があるため、小農家は限られた利用可能な土地からより多くを引き出せる

そして、何よりもそれにより公正な食物と収入の分配が確保され、これが飢餓と戦う最も効果的な方法でもある。

アフリカやアジア諸国だけではなく、ヨーロッパ諸国でも土壌肥沃度を維持するために小農が必要不可欠であり、政治も助成金で工業型農業を促進するのではなく、その拡大を止めるようにしなければならない。

私たち消費者は地域の農作物を買って中小規模の農家を支援すること。
これが食物システムに必要な安定性を与えるための唯一の方法であろう。

世界中も人口がもうすぐ100億人に到達しようとしているが、私たちのそれぞれの購買活動が全ての鍵となる。


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