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伝わるものを書いた方がいい https://mobile.twitter.com/butinthings_

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2024.9.3

自転車は風の皺をめくり 姿かたちと馴染み始めると 置かれた秋が そこへ目立ってゆく 今から過ぎようとする 反対のあの歩道には 朝雲で照らされた コンクリートのひろがり…

秋
2日前
6

長い木陰どおり

午前中に春は打ち上がった それは湿り気がしつこい 新しい夏の季節の 斜めに架かる日照 沈んだ灯りは 一日を過ごせば 眼には仕方ないと 諦めつつも 傍から通過した 電車の…

秋
12日前
4

以前(2021.8.2)

超越は向こうのほうで  やっと僕らを捕まえた そこにある静けさ 脇方で歌う車道ども すぐに風吹く草っ原 あ もうすぐ雨が降る 不思議な全体は瞬く間に汗をかくし 汗疹は赤…

秋
12日前
3

音楽に寄る(5)

d4vd "Here With Me" 椅子に座れば 所についた 皺の方へ 何とはなしに 気持ちが向かう 心地 ただよう 指を伏せて 自分のことを 改めて感じる この 温かさ 身体にまつわ…

秋
3週間前
3

今ここで聴こえる音について。素描

今ここで聴こえる音について 隣室で暮らす人には分からないし 関わりを持つとするならば それは想像によるほかないのか 私が今 実家のベランダに上がり 辺りの吹きすさぶ…

秋
1か月前
9

以前(2021.7.24)

青く光る林の切れ目は しくしく見詰める蝉とまとまり 寂しい夏の暮れ間です 教習所への道のりは いつもさわやかで 窓からの差し込みは風とともに すると突然つめたいもの…

秋
1か月前
5

音楽に寄る(4)

Donut Dodo "Ferris Wheel Frenzy" 思い出してみる プールから駆け出れば 髪を乾かし 一目散に着替えを済ませる 幼きあなたへ 帰れば今日は金曜日 ご飯やお風呂をすませ…

秋
1か月前
6

音楽に寄る(3)

LA Priest "It's You" でらために道なりに 近くも遠い 心のうちがわを散歩してみる そこに愛おしいものはあるが 厭わしいものは限りなく小さくて 目の眩む歩道の描写が飽…

秋
1か月前
6

家に居よう

午睡が垂れていきます 橙にひかる手摺とベランダの外に眠り こんな猛暑は潜り抜けて 姿をやつしたまま 日陰にいのちを宿します

秋
1か月前
6

小さいころの思い出

まだ留守番の難しい小さなころ 母親のパートについていくことがあった 当時の母はポスティングの仕事をしており 子供用の椅子が備え付けられた自転車に私はくっつき 住んで…

秋
1か月前
4

音楽に寄る(2)

MGMT "Alien Days" まるで読み聞かせに喜ぶ子どもとして 私は一から描かれる けたたましい気分が常にあり 目覚ます合図は向こうまで敷かれているも 歓びの身体は 溶けて…

秋
1か月前
5

音楽に寄る(1)

Louis Cole "Life" 雄奥の輝く稜線をすべり 乱れ打つ木の影は 次々に葉を巻き散らしていく 真昼の空々に響く整列のストリングスや 熱望されたサクスフォンの数がある限り …

秋
1か月前
6

2024.6.9

春が開くも うちへ招くことも忘れ 起きたそばにずらした窓から 自由に風は入ってくる うつむくカーテンが 顔をこしらえて 外の向こうでは 隣の建物が近い うす汚れた白壁…

秋
2か月前
11

2024.6.8

この部屋に来てふた月が巡り 昼夜をともにする日々は過去へ連なる それでも外の中にいるのは 身振りの染み付き それから椅子から眺めるまなざし これら習慣の移調が間に合…

秋
2か月前
6

2024.6.8

昇る光に今日も立ち帰り 背を低めた天井の静けさに 意識の脈を通わせる

秋
2か月前
4

以前(2022.4.13)

小さな空気 身体を起こして 山をこえて 耳のうごきをみると 人の姿がたしかにあって うごくうでやてあし 指先ひとつひとつの 空気との触れ合いが 谷底で光る生活となる

秋
3か月前
6

2024.9.3

自転車は風の皺をめくり
姿かたちと馴染み始めると
置かれた秋が
そこへ目立ってゆく

今から過ぎようとする
反対のあの歩道には
朝雲で照らされた
コンクリートのひろがり
そこへ芽を吹く
ささやかなかなしみ
鋭い清涼のなかには
たくましさが宿る

異なる土地で見たことのある
煤けた景色なんかも
色合いとして
あたりへこだましている

そうした瞬間のうち
置かれた秋は脇道を抜けていく

長い木陰どおり

午前中に春は打ち上がった
それは湿り気がしつこい
新しい夏の季節の
斜めに架かる日照

沈んだ灯りは
一日を過ごせば
眼には仕方ないと
諦めつつも
傍から通過した
電車の位置を
振り返るようにして

以前(2021.8.2)

以前(2021.8.2)

超越は向こうのほうで 
やっと僕らを捕まえた
そこにある静けさ
脇方で歌う車道ども
すぐに風吹く草っ原

もうすぐ雨が降る
不思議な全体は瞬く間に汗をかくし
汗疹は赤白と滑り出す
すべてはかつての覚え書きで
豊かな景色はいつでも隠れる波の真ん中
向こうではあんなに綺麗に光がくだっているのに
わたしのもとは常に青青く
時に緑がかっている

音楽に寄る(5)

d4vd "Here With Me"

椅子に座れば
所についた
皺の方へ
何とはなしに
気持ちが向かう
心地
ただよう

指を伏せて
自分のことを
改めて感じる

この
温かさ

身体にまつわる
優しいもの

遠くからあらわれ
今では
身近に暮らす
どうしてだろう

眠り
朝を迎えても
いつでもそばに

遠くある日も
温かくて

今ここで聴こえる音について。素描

今ここで聴こえる音について
隣室で暮らす人には分からないし
関わりを持つとするならば
それは想像によるほかないのか

私が今
実家のベランダに上がり
辺りの吹きすさぶ様子に気づき
森のさやかな揺れを感じていると
思う
このなかで
確かに耳に馴染んで聴こえてくる
それは記憶や想像の音で
きっと実は静かに思えてくる

それでも耳には時間が譲られて
草葉のはためきを聴いている
時間は現実のそれと変わりな

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以前(2021.7.24)

青く光る林の切れ目は
しくしく見詰める蝉とまとまり
寂しい夏の暮れ間です

教習所への道のりは
いつもさわやかで
窓からの差し込みは風とともに

すると突然つめたいものが顔をとらえ
全身おそろしげである
それが心地よくて
なんだか崩れ去ってゆきたい

音楽に寄る(4)

Donut Dodo "Ferris Wheel Frenzy"

思い出してみる

プールから駆け出れば
髪を乾かし
一目散に着替えを済ませる
幼きあなたへ
帰れば今日は金曜日
ご飯やお風呂をすませたら
寝そべりながら
家族とテレビや手元にゲーム
一つもいとまがない
そんな幼きあなたへ

毎日は楽しさで溢れていたのか
そんなこともなかったのか

気づけば遊びは離れつつ
しかし触れ合うこともあれば

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音楽に寄る(3)

LA Priest "It's You"

でらために道なりに
近くも遠い
心のうちがわを散歩してみる

そこに愛おしいものはあるが
厭わしいものは限りなく小さくて
目の眩む歩道の描写が飽くまで揺れ動く

奇妙な日の当たりに射しこまれて
汗ばみと争いながらも思うのは
昨日もこんな景色だったろうかと
惑うほどには身体はおかしいか

きっとそれは一年も前のことだろう
つい昨日のように見えるほどに
明る

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家に居よう

午睡が垂れていきます
橙にひかる手摺とベランダの外に眠り
こんな猛暑は潜り抜けて
姿をやつしたまま
日陰にいのちを宿します

小さいころの思い出

小さいころの思い出

まだ留守番の難しい小さなころ
母親のパートについていくことがあった
当時の母はポスティングの仕事をしており
子供用の椅子が備え付けられた自転車に私はくっつき
住んでいる町のあちこちを一緒に回っていった
退屈しないようにと母親が気にして
ココナッツサブレを私に持たせ
時折袋を開けて勝手に食べていたと思う

ある日
今もよく知るアパートへたどり着くと
少し待っててねと、いつものように声をかけられ
母が

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音楽に寄る(2)

MGMT "Alien Days"

まるで読み聞かせに喜ぶ子どもとして
私は一から描かれる

けたたましい気分が常にあり
目覚ます合図は向こうまで敷かれているも
歓びの身体は
溶けて伸び出してしまう

夢に芽生えて伸びる神経の道のりは
あれやこれやと自由に接がれて
豊かな草原の景色や
知らない緑の一面を
懐かしいものとして出会わせる

頭のなかに位置する
最も穏やかで愉快な
それでいて軽やかな記

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音楽に寄る(1)

Louis Cole "Life"

雄奥の輝く稜線をすべり
乱れ打つ木の影は
次々に葉を巻き散らしていく
真昼の空々に響く整列のストリングスや
熱望されたサクスフォンの数がある限り
脈打つ調べは止まることを知らず
遠くから圧倒される私の姿は
苦しむことひとつなく
次へ次へと求め気持ちを高めていく
まさに合わさるように
身体を全身預けたい
そんな私には目もくれず
月明かりはやがて訪れて
暗がりの森

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2024.6.9

2024.6.9

春が開くも
うちへ招くことも忘れ
起きたそばにずらした窓から
自由に風は入ってくる

うつむくカーテンが
顔をこしらえて
外の向こうでは
隣の建物が近い

うす汚れた白壁のさび模様や
伸び切った灰色の蔦の葉が
配管をよく伝わっている

季節を思う景色に乏しく
涼しさや
汗ばむ身体に頼っていると
かつて馴染んだ暮れの合図が
街をすこしだけ騒がし
その裏手には
自動車と路面の関係が
常に耳を取り囲んで

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2024.6.8

2024.6.8

この部屋に来てふた月が巡り
昼夜をともにする日々は過去へ連なる
それでも外の中にいるのは
身振りの染み付き
それから椅子から眺めるまなざし
これら習慣の移調が間に合わないのだと
そんなことを
理由の一つに数えてみる

2024.6.8

昇る光に今日も立ち帰り
背を低めた天井の静けさに
意識の脈を通わせる

以前(2022.4.13)

小さな空気

身体を起こして
山をこえて
耳のうごきをみると
人の姿がたしかにあって
うごくうでやてあし
指先ひとつひとつの
空気との触れ合いが
谷底で光る生活となる