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小さいころの思い出

まだ留守番の難しい小さなころ
母親のパートについていくことがあった
当時の母はポスティングの仕事をしており
子供用の椅子が備え付けられた自転車に私はくっつき
住んでいる町のあちこちを一緒に回っていった
退屈しないようにと母親が気にして
ココナッツサブレを私に持たせ
時折袋を開けて勝手に食べていたと思う

ある日
今もよく知るアパートへたどり着くと
少し待っててねと、いつものように声をかけられ
母が戻るのを自転車のそばで待っていた
砂利の広がった駐輪スペースだったような気がする
することもなかったので手にしていたココナッツサブレをその日も食べていた気がする
そんな時だっただろうか
アパートの側にできた陰から猫がこちらを見つめていることに気づいた
あ、ねこだ。と思い、じっとしている姿にやや不安を感じた
そうしていると母が階段を降りてきたので
猫のことを伝えると、ほんとだ、のらねこだね。と少し驚いたように言った
その時になぜか私はココナッツサブレをあげる?と母に尋ねたことをよく覚えている
忘れもしない出来事だが、その記録のためにもと、今、このように書き起こしている。
すると母は、懐いて来ちゃうからやめなさいと、迷いなく私に伝えた。

猫の色は覚えていない
そのくらいだろうか。また何か思い出したらと思う。

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