2024.9.3


自転車は風の皺をめくり
姿かたちと馴染み始めると
置かれた秋が
そこへ目立ってゆく

今から過ぎようとする
反対のあの歩道には
朝雲で照らされた
コンクリートのひろがり
そこへ芽を吹く
ささやかなかなしみ
鋭い清涼のなかには
たくましさが宿る

異なる土地で見たことのある
煤けた景色なんかも
色合いとして
あたりへこだましている

そうした瞬間のうち
置かれた秋は脇道を抜けていく

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