長谷川

夕暮れ、夏影の雲

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夕暮れ、夏影の雲

記事一覧

だから僕は音楽を辞めた

心の中に穴が空いている、どこまでも続いている空洞。 暗い暗い底が見えない物だ。 何時からだろうか、何をしても穴が埋まらないと感じるようになったのは。 自分が開け…

長谷川
2か月前
4

もう一度僕の名前を呼んでくれるだろうか

長谷川
8か月前
2

darkest before dawn

夜の時間の流れはとても心地良い。 昼の半分くらいのスピードで時間が過ぎていく。 外に出てみると、街灯がポツポツとあるだけで、家の明かりなど付いている訳もなく静ま…

長谷川
8か月前
3

春化粧

今年は桜が咲く時期が例年より少し早くて、今週半ばまでが見頃らしい。なんだかあっという間にどんどんと咲いて、すぐに散っていくようだ。 そんなに急がなくていいのに、…

長谷川
1年前
4

目が染みた話

歳を取った、一つ取った、何も無い部屋で春になった。 そんな気分でいる。 子供の頃は誕生日に貰うプレゼントが楽しみで、誕生日が来てもすぐ次の誕生日が来ないかと願う…

長谷川
1年前
7

戻りたいと思う日が幾つもある、一度も戻れた事は無い。その戻りたい日の一日一日が、ゆっくりと身体を蝕んでいく。過去を振り返る事はそんなに悪いことだろうか。過去の積み重ねで今があるというのに。

長谷川
1年前
3

口実

ふと目を開く、そこには広大な晴れ空が広がっている。 目の前には誰かが立っている。 髪が肩くらいまで伸びた女性の様に見える。 女性はゆっくりと歩き出す、吸い寄せら…

長谷川
1年前
3

冬ざれ

冬の季節の青い空が好きだ。 空気に張りがあって澄んでいるこの空を枯れた樹と共にずっと見ていたい。 気づいたら年が明けていた。 そしてもう1月2日である。どうせすぐま…

長谷川
1年前
6

バイト

ゆっくりと肌に空気を浴びながら歩き出すと、それと同時に枯れた葉と沈んだ心が道端に転がるのを感じている。 またこの季節か、と思う。 少し前まで暑かったような、気…

長谷川
1年前
6

残暑

駅前は商店街、午前十時の空といわし雲。 僕はゆっくりと歩いている。平日のそこまで人通りの多くない通りを歩いている。 今日は少し雲の量が多いように感じた。 雲が多…

長谷川
1年前
9

美しい夜が知りたいのだ。

長谷川
1年前
4

俺がどんなに人に嫉妬しようと、満たされたいと思おうと、月明かりは美しい。

長谷川
1年前
4

何も満たされない、どうしたらいい。常に言い続けている。何も満たされた気がしない。

長谷川
1年前
4

七月、夏影

気が付けばそこは、見慣れた教室の中だった。 13:00 、開いた窓から入る風がカーテンを揺らしている。教室には僕が一人。午後の授業が始まっている筈なのに、誰一人居な…

長谷川
1年前
6

夜が溶けて

高校生の内に、学校サボって橋の下でヨルシカとか相対性理論とかくるりとかラブサマちゃんとか聴いてる他クラスの女の子と友達になるとかしてみたかった。 そんな人日本…

長谷川
2年前
10

教室の窓から映るのは、窓の景色を一面に染め上げる桜の花だった。三年生の特権、といったところだった。あの景色を今思い出した、まだ何も知らなかった子どもの時代を。

長谷川
2年前
4
だから僕は音楽を辞めた

だから僕は音楽を辞めた

心の中に穴が空いている、どこまでも続いている空洞。

暗い暗い底が見えない物だ。

何時からだろうか、何をしても穴が埋まらないと感じるようになったのは。

自分が開けた穴である事も、自分が犯した間違いである事も、気づくのが遅すぎる。

自分が自分を常に理解していなければいけない筈なのに、間違いにはどうやっても気づかない。

いつも遅れて答えが配られる。

答え合わせが怖い。

生きていくには金が必

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もう一度僕の名前を呼んでくれるだろうか

darkest before dawn

darkest before dawn

夜の時間の流れはとても心地良い。

昼の半分くらいのスピードで時間が過ぎていく。

外に出てみると、街灯がポツポツとあるだけで、家の明かりなど付いている訳もなく静まり返っている風景がある。

夜にある排他的な空気が好きだ。

暗い店内のBARを出て少し進んだ後撮ったパーキング。

深夜の街灯、光る看板、路地裏、コンビニ、ファミレス、こういったものにとても惹かれる。

確か他の記事でも何度か書いた気

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春化粧

春化粧

今年は桜が咲く時期が例年より少し早くて、今週半ばまでが見頃らしい。なんだかあっという間にどんどんと咲いて、すぐに散っていくようだ。

そんなに急がなくていいのに、咲急いだところで何も良いことなんか無いのだ。もう少しだけ待っていてほしい、もう少しだけ。

たまたま時間が空いたので、1人で来てしまった。きっと今年最後だろうか。 思ってたよりも人が多かった、思わず今日を日曜日だと錯覚してしまった。

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目が染みた話

目が染みた話

歳を取った、一つ取った、何も無い部屋で春になった。

そんな気分でいる。

子供の頃は誕生日に貰うプレゼントが楽しみで、誕生日が来てもすぐ次の誕生日が来ないかと願うばかりだった。

今は少しずつ、歳を取る事への恐怖が年々増していく。

ゆっくりではあるが、確実に老化していく事実に耐え難い。

おかしくなりそうだ。

怖い、このまま老化が進みあちこち病気にでもなり、朽ち果てていく事が怖い。

何故人

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戻りたいと思う日が幾つもある、一度も戻れた事は無い。その戻りたい日の一日一日が、ゆっくりと身体を蝕んでいく。過去を振り返る事はそんなに悪いことだろうか。過去の積み重ねで今があるというのに。

口実

口実

ふと目を開く、そこには広大な晴れ空が広がっている。 目の前には誰かが立っている。

髪が肩くらいまで伸びた女性の様に見える。

女性はゆっくりと歩き出す、吸い寄せられるように僕も足が進む。

景色が瞬時に移り変わる。

桜の並木道、雲が厚い夏空、落ち葉が覆い尽くす歩道、雪が積み重なった山。

それが永遠繰り返して頭の中を回っている、女性は進み続けたままだ。

追いつけそうで追いつけない、思った以上

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冬ざれ

冬ざれ

冬の季節の青い空が好きだ。 空気に張りがあって澄んでいるこの空を枯れた樹と共にずっと見ていたい。

気づいたら年が明けていた。 そしてもう1月2日である。どうせすぐまた年末になっている。

今年の抱負とかそういうのを考えるのもめんどくさくなってきた。 程々に生きられれば良いのかもしれない。

でも去年よりはもっと余裕がある生活がしたい。

今年の抱負

お金を貯める

些細な事でイライラしない

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バイト

バイト

ゆっくりと肌に空気を浴びながら歩き出すと、それと同時に枯れた葉と沈んだ心が道端に転がるのを感じている。

またこの季節か、と思う。

少し前まで暑かったような、気がしないでもない。

音楽を聴くと失恋をした訳でもないが何故か勝手に落ち込む。

さっきまで見えていた青い空の虹は既に居なくなっていた。

霧雨が降ったり、止んだり、少し変な天気をしていた。

秋の日差しが心地良い。

生きる為のバイト

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残暑

駅前は商店街、午前十時の空といわし雲。

僕はゆっくりと歩いている。平日のそこまで人通りの多くない通りを歩いている。

今日は少し雲の量が多いように感じた。

雲が多いせいで青色が薄くなっている事がやるせない。

こんな事にもやるせなさを感じるようになっている。

余裕が無い。

今日も生きているだけだ、何をする訳でなくただただ、生きている。

愛は本当にお金では買えないのだろうか。

本当に人間

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美しい夜が知りたいのだ。

俺がどんなに人に嫉妬しようと、満たされたいと思おうと、月明かりは美しい。

何も満たされない、どうしたらいい。常に言い続けている。何も満たされた気がしない。

七月、夏影

気が付けばそこは、見慣れた教室の中だった。

13:00 、開いた窓から入る風がカーテンを揺らしている。教室には僕が一人。午後の授業が始まっている筈なのに、誰一人居ない。窓の外には空が広がっている。眩しすぎるくらい青い。

廊下に出ても、いつもなら隣から聞こえてくる生徒の声が何もない。

おかしい、と思い校内を歩き回る。 職員室、音楽室、理科室、体育館、多目的室。 どれほど歩いたところで人の気配が

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夜が溶けて

高校生の内に、学校サボって橋の下でヨルシカとか相対性理論とかくるりとかラブサマちゃんとか聴いてる他クラスの女の子と友達になるとかしてみたかった。

そんな人日本に居るんだろうか。

それで、あれどこのクラス?から話が始まって、こんなところで何してるの、みたいになって。

それでその女の子はきっとこう言うんだ。「学校つまんないんだもん」って。

妄想が激しい。

でもそういう女の子良くない?、集

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教室の窓から映るのは、窓の景色を一面に染め上げる桜の花だった。三年生の特権、といったところだった。あの景色を今思い出した、まだ何も知らなかった子どもの時代を。