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「鮒ずし」は驚くほどたっぷりの白ごはんを詰め込む!

2024年8月20日21日
滋賀県多賀町敏満寺にある料理屋FUJIYAさんで鮒ずしを漬けるので、見学いかがですか?と連絡をいただきました。
以前からずっと知りたかった鮒ずし漬け。見学とさらに撮影記録をさせていただけることになりました。
昔は夏の土用までに漬けていたそうです。そうすると、翌年の春祭り「ハレの日のご馳走」に仕上がりが間に合うそうです。
多賀町内でも少し前までは各家々でふなずしを漬けていたと聞きます。70歳代の方たちの親世代は、ほとんどの世帯で漬けていたのでは?と思われるほど多くの人が鮒ずしを語ってくださいます。平成のはじめ頃まで、琵琶湖の近くから魚屋さんが、湖魚の行商に来てくれて、注文しておくと塩切鮒を持って来て、ご飯を炊いておくと漬けるところまでしてくれたそうです。
なにせ、水かえが臭くて臭くて、子どもの仕事で嫌でたまらんかった、とも聞いたことがあります。
今回は、水をかえない作り方を教えていただきました。


1日目


8月20日(火)
鮒50㎏は塩漬けされた状態で近江八幡の漁師さんから購入されるそうです。
塩漬けした鮒のことを、塩切鮒と言っています。
春頃ビワコで漁獲された天然のニゴロブナの鱗と内臓を取り除き、塩に漬けて約3ヶ月漬けて発酵させています。鮒の魚醤が出来ています。独特の魚臭が漂い、一気に東南アジア感が。
聞いた話では、内臓の取り除き方も、エラ?口?から針金を入れてきれいに内臓だけ取りだすとか、色々やり方があるそうです。

すごい塩の量です
独特の匂いが漂ってすでに発酵しています
魚醤。鮒の魚醤って販売されているのを見たことが無いかもです。
魚を調理する時は、冷たく魚が冷えているイメージですが、
暑い日に、常温のまま作業しているのが不思議な感覚でした。
鮒60㎏分。塩切済。
底に塩が層になって、たまっています。

鮎の魚醤と比べると臭すぎて、鮒の魚醤が市場に出回ることはあまりないそうです。ナンプラーのように野菜炒めに使ったらいいよ!とのことですが・・・。
このプンと臭うものから、旨味や味の深みが出るのかちょっと不安・・・。YOBISHIスタッフYさんは、魚醤の下にたまった塩を持ち帰り、天日干しして魚醤塩を作る!と、塩を持ち帰っていました。
10㎏の鮒を塩漬けにすると、水分が抜けて約7㎏まで減るそうです。
ちなみに塩切鮒のお値段は
オス1㎏…1600円
メス1㎏…4000円
メスは子持ち。卵が入っています。倍以上の値段で高級!オスは身が美味しいそうです。

上の鮒は、お腹がぺったんこなので、オス。


FUJIYAさんの奥さんは、朝からひたすらお米を研いでご飯を炊いてくださっていました。2.5升×9回、1升×1回ご飯を炊いて、翌日用に冷ましておきます。ごはんは固めに炊くそうです。

早朝からの準備、ありがとうございます
炊けたご飯はジュウに広げて冷まします
エアコンと扇風機の風で冷ましています。

なんと!漬けてみませんか?と!!
嬉しいことにYOBISHIプロジェクトのも漬けることに!!

①    鮒を塩漬けから出します。

②    鱗のついていた黒いぬめり、頭の部分をブラシで洗います。昔は包丁の背で洗っていたそうです。鱗の下が青っぽくきれいになります。青ぽいのが見えると臭みが無くなりますが、どこまで丁寧に磨くかは好みで。

流水で洗います
鱗のついていた部分を磨くと青っぽくなります。

③    上あごの中に手を入れて、袋のような皮をとる。口の中の顎の粘膜のようなものをとる。残っていると臭みの原因になるようです。オスはツボあらい(内臓をわりばしでかきだすようにきれいに洗う)をします。目を取り除く人もいるそうです。

エラの下から手をいれて膜をきれいにとりのぞきます
膜がとれたところ
きれいに洗い流します

④    キッチンバサミで尾びれ以外のひれを切り落とします。

尾びれだけを残します

⑤    ザルにさかさまに、口を下にして水を切ります

口を下にして水切りします

⑥    洗濯ばさみで吊って、蝿が来ないようにネットでカバーをして一晩干します。

洗濯ばさみで尻尾を挟んで干します
蝿が付かないように網に入れます

⑦    5㎜のビニールロープを1.4m、9本切ります。幅広めに三つ編みにします。

幅広の三つ編みにします

YOBISHIプロジェクトの特技?!縄ないの出番!!と、藁を使うことを提案しましたが、安定した乳酸菌発酵にどう左右するか分からない恐ろしさがあり、仕上がりが保証できないかも・・・と却下。
昔は縄だったそうですが、とにかく虫がわきやすかったと。
縄は、重石をしたあと、水分が出て漬けているものが浮いてくるのを抑える役割をするそうです。

2日目


8月21日(水)
① 軒下に干していたのを取り入れます。

一晩干しました

今回YOBISHIプロジェクトが漬けた分量

オス3㎏
メス3㎏
ごはん4㎏
22匹(たぶん)

②    樽にビニール袋を2枚、底がバッテン×になるように重ねて入れる

樽に日付と分量を書いています
干した魚を外しています

③    ごはんを底に敷き詰める

底だけでも結構な分量のごはん。贅沢です

④    ボウルに殺菌用米焼酎を入れる。アルコール度数25%  
お酢で手をぬらしながら漬けていたという話も聞きました。今回は焼酎を手に付けながら漬けます。

⑤    鮒のお腹、エラ、口にご飯を詰める。手に米焼酎を付けながら詰める。手についてたご飯粒は焼酎でボウルの中に落とします。エラの下に臭みとりのために山椒を詰めていたという話も聞きました。

お腹にご飯をしっかり詰めます
エラの下にもしっかり詰めます
もう食べられません・・・と、かわいそうに思いながら詰めましたが、始めだけで・・・。
最後の方は無でした。
口の中にも詰めます
手にごはん粒がたくさんつきますが、ボウルに入れた焼酎で洗い落とします。

⑥    樽の中に交互に鮒を入れる。鮒の背が樽に当たるようにします。魚が重なる部分にはご飯を入れます。
背を外に当てる理由は分からないとのこと。魚が重なるところにはご飯を入れて、必ず魚と魚が触れないようにします。ごはんに糀を混ぜるという話も聞きました。

背を桶の縁に沿わす。腹は縁の方に向けない。
魚どうしが触れないように、間にご飯を敷く
尾と頭を交互に組む
下の魚が見えなくなるようにご飯を敷き詰める。
次の段は、横に組んだので、縦方向に組む。

⑦    4段ほど魚の向きが段ごとに同じ向きにならないように組んで重ねていきます。このあたりは、たくあん漬けや、イタドリ漬けと共通します。

⑧    最後にご飯を敷き詰めて、上からボウルに入れて、手を消毒していた焼酎と中に沈んだご飯粒も一緒にふりかけます。

焼酎の中に沈んでいるご飯も一緒に上からかけます

⑨    ビニール袋をたたんで空気をぬく。

⑩    三つ編みにしたビニールひもを縁に入れます、縁を抑える役目をします。
⑪    落し蓋でビニールひもを抑えます。

三つ編みの紐を落し蓋で押えます

⑫    内容量と同じ重さの石を重石で置きます。今回は10㎏なので10㎏の重石をしました。ビニールで囲い虫が入らないようにしっかり口を結びました。

10㎏のブロックを置きました
虫が入らないように上から袋をかけて口を縛りました

気温が上がる西日の当たるところは避け、朝日のあたる東側の軒下に保存します。

漬けてから

1ケ月後、上がった水は捨てずに、虫がわいたり気になったら捨てます。
カビが浮いてくるのが気になったらすくいとります。

3月に開けた時、掃除をします。上がって来た水は捨てずにそのままにしておきます。
3月か4月に開けて、骨まで柔らかくなっていたら、すべて出し、ごはん(飯・イイ)と一緒にラップに包んで冷凍保存しておくとそれ以上発酵がすすまないそうです。冷凍すると身が包丁で切りやすいそうです。

さて、まずは9月20日頃どのくらい水が上がってきているのか・・・楽しみです。

米どころならではの、ふんだんな白ごはんを使った発酵食品。この保存方法を考えた昔の人はすごい・・・。
滋賀県中で作られる鮒ずし、その初めの一歩を体験することができてました。

おいしくなあれ!!

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