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青木夕海
2024年2月1日 09:54
あなたがうたたねをしていると、ふいにでんわがなる。非通知としるされている。ほんとうはこういうのはとらないほうがよいといわれているけれどあなたは気になって気になってしかたがなくてつうわボタンをおしてしまう。ひとのいきづかいすらしない。ただの沈黙。いや、かすかになにかがきこえる。水のおとがする。ほそくいとのようにでている水がはつらつなおとをたてながらじゅんかんしてひとつながりにおちる。母だ。母がばらの
2023年4月4日 17:03
中学時代、霊感のある友達がいた。彼女とはクラスも部活も一緒で、おまけに私と同じ塾に通っていた。一緒に帰ることも多くて、歩きながら彼女は、こういう幽霊がいたよって私に話してくれたり、この道はあれが出るようになったから嫌だって言って遠回りしたり、なんとなくその日、私に憑いているひとを教えてくれたり。いまでは嘘だあって思うけど、当時の私はけっこうのほほんとしてたので、全く疑うことなく彼女にしか見えない世
2022年12月26日 18:36
01.夢の中でいつも訪れる喫茶店があって「あ、今日誰もいないんだ」って窓際の席に腰かけたら、目の前に昔好きだったひとが笑っていて「え、いつ帰ってきたの?」って私が訊く前に、その人は「ずっと此処にいたよ。ずっとずっといるよ」って、ずっとずっと喋っているから、なんかおかしいと思って、そしたら、その人、機械だったみたい。「もしかして初めて会ったときから? 」なんて考えてるうちに、その人は珈琲も注文し
2022年9月6日 20:15
春までは夢をみていていいですかピントをちょっとぼやかしたくて手記としてアコーディオンがひらかれるモラトリアムにながれた曲を紙で切る傷あとみたいな雨がふる金魚のいない鉢にめがけて潔癖な経験しかないひとびとの夢が集まる標本室にたんぽぽの血が白かったと知るときの昔の自分に会えるとしたら
2022年8月25日 18:57
切り抜きで推しの勇姿をくりかえしみる休日のしんどい朝に咀嚼音だけがほんものヴァーチャルの世界に秋の匂いがしている推したちが今日もてぇてぇドット絵の花火があがるのきれいと思う虚構の姿だから喋られることたくさんあって息継ぎをする人類総二次元時代 声帯のぬくもりだけで射精するひといつもどおりのつまらない自分だし 仮想でまとう鎧は重い脱ぎ捨てた鎧をただしく弔ったひとにだけ吹く追い風